日本を代表するSF作家の小松左京が亡くなった。
小松左京というと「日本沈没」の原作者として知られており、かつ、私が大阪芸大に在学していた頃は文芸学科の教授を務めていたので印象はすこぶる大きいのだが、結局これまでその作品を一作も読んだことのない作家でもあった。
「日本沈没」は1973年に公開された映画を見て知っている。
物語の細かなディテールは忘れてしまったが、徐々に日本が消えて行くのと同時に小林桂樹演ずる田所博士が子供の目にもかなり印象的で、未だに映画やテレビで小林桂樹の険しい顔を見かけるたびに、
「あ、日本沈没のおっちゃんや」
と想い出す。
小松左京というと、他に、ちょうど大芸大の教授を務めていらっしゃった頃、大変肥満した人物であったことも強い印象として残っている。
ヘビースモーカーで肥満体。
もしタバコをやめたらどれだけ太るのかと思って、関心を持って見つめていたのだったが、数十年を経て見かけた小松左京はとても痩せこけ、「ご病気は大丈夫ですか」と声を掛けたくなる姿に変わっていたのであった。
小松左京はSF作家の大物であったと同時に、大阪を拠点に活躍する大作家のひとりだった。
大阪は意外にも大物小説家が少なくない地方都市で、司馬遼太郎、田辺聖子、陳舜臣、山崎豊子などそうそうたるメンバーが活躍した、あるいは活躍している。
小松左京も「作家」という文化人のひとりでは大阪を中心とする関西の顔であったことも、間違いない。
時代がまた一つ、流れた。
| Trackback ( 0 )
|
まさにチェーンスモーカー、1本吸い終わると次の1本に火をつけておられました。
あの頃のイメージしかなかったので、今回のニュースでのお写真を拝見し、その代わり様に「これ誰!」という感じでした。
ご冥福をお祈りいたします。
私は、村野武則、由美かおるのTVドラマが印象的です。五木ひろしが主題歌を歌って、思い切りベタに作っていましたね。
新しい映画について3.11以降ふと思ったのですが、日本は沈没しなくてもあれだけの地殻変動が起これば、原発の放射能の為に人の住めない死の土地となりました、と言う救い様のないオチにしかならないのかな・・・と。
事実はSFよりも恐ろしい、と言う事でしょうか
奈良シカマルさんも大芸大OBですか。
当時の大芸大はビッグな先生が大勢いらっしゃいました。
今でこそ、著名人の大学教授就任は当たり前ですが当時の大阪芸大は珍しい存在。
それにしてもタバコを吸いながらの講義も珍しい。
いまじゃありえない光景ですね。
事実は小説より奇なり。
3.11の災害から数カ月間、テレビで見る映像が特殊撮影かCGに思われたのは私だけではないかもしれません。
それほど、リアルでした。
これは1.17の神戸のケースでも言えるのですが、あの時はテレビだけではなく自分自身の目で傾いたビル、倒壊した家屋、ゴジラが暴れた後のような焼け野原、リュックを背負って歩くビジネスマンの行列などを目撃し、まさにリアル映画に感じられたものです。
日本沈没もそれらと比べると、やはりつくり話。
竹内均先生の学説をもとに想像を広げて作ったお伽話だったのかも知れません。