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トルコでクーデターが発生。
軍の一部が蜂起して政権を奪おうと軍事行動を展開。
アジアとヨーロッパの架け橋であるボスポラス海峡にかかる橋や空港を占拠した。
もちろん全世界に緊張が走った。
なんといってもトルコは交通の要衝。
現在世界を混乱に導いているシリアやイラクのIS占領地域に近いところで、ヨーロッパに大量流入してきている難民の多くはここを通過してきている。
そのトルコで政変。
原因はいったい何なのか。クーデターが鎮圧された今も原因は未発表だ。
関西空港の出発案内を見てみると今夜のイスタンブール行きを予定通り出発するようなので、きっと街中は普通か、それに近い状態にまで回復しているのだろう。

それにしても今どきのクーデターとは一体なんなのか。
今から30年近く前。
ロシアであったクーデター未遂事件を思い出す。
あの時も大統領だったエリツィンが休暇をとってモスクワを離れていた時に発生して、事件そのものも2つかぐらいでケリが付いたと思う。
解決は今回と同様に軍部の不満分子が行動を起こし、それに対して国民を擁する大統領側が鎮圧したという図式だった。

インターネットが発達して多くの人がメディア以外からも情報を入手できる時代になった現在であればなおさらクーデターは難しいだろう。
軍人の不満なんかに国民が賛同して力を貸すことは考えにくいからだ。
力で抑えようとして国内を掌握しても海外が黙っていない。
国内で展開することは海外でもリアルタイムに把握していくことが可能であり、情報操作によって国民を動かすことなどほとんど無理であるからだ。

最近のクーデターの成功事例は2014年タイのバンコクで発生した陸軍によるクーデターだ。
この時は国会の解散と憲法が停止されたがタイ国内に大きな混乱もなく今日にいたっている。
クーデターはタイの名物と言われるくらい数多く発生しており、私もクーデーターが発生した2006年9月の翌10月にバンコクにでかけたが、それはそれは穏やかな雰囲気で拍子抜けしたことを覚えている。
主要交差点には戦車や装甲車が止まっているところがあるものの幹線道路や高速道路はいつものように渋滞しているし、スクンビット通りに止まっている戦車なんかは俄な観光資源と化していて観光客や地元住民が戦車や兵士と一緒に記念写真を撮影する風景が見られた。
タイの場合、今回のトルコと違ってクーデターといっても実のところクーデターと言い切れないところがある。
といのもタイは国王の下でクーデターを繰り返すだけで現王室を叩き潰して新しい権力者が国王に即位するという乱暴なものではない。
国王の手のひらの上で国民が権力闘争しているに過ぎないのだ。
だからタイ国民としては国父たるプミポン国王があくまでも国を統治しているのだから、それを代行するのが首相であっても将軍であってもあまり変わらないのかも知れない。

ところがトルコの場合、すでに帝政でも王政でもない。
大統領をいただく共和国的イスラム国だ。
従って大統領になにかあって、そこに別の権力者が武力でもって政権を取って代わると大変な事態になるのだ。

今回の原因がロシアとの外交的妥協に対する不満なのか、それともイスラム原理主義に基づく一番考えたくない思想なのか。
大いに気になるところだ。

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