<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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昨年のちょうど今頃。
東京の目黒区立美術館で「村野藤吾の建築 ー模型が語る豊饒な世界ー」という展覧会が開催されていた。
日本を代表する建築家の一人である故村野藤吾が設計に関わった建築物を建築模型を通じて鑑賞するという面白い展覧会だった。
大阪人の私にとっては大阪新歌舞伎座(取り壊し済み、現在隈研吾設計で新築工事中)、近鉄百貨店阿倍野本店新館(取り壊し済み、現あべのハルカス)などや、宝ヶ池プリンスホテル(京都市)のような私もその建築に参加した、という作品が展示されていてとっても楽しかった。

そして秋になると六本木の東京ミッドタウンにあるギャラリー 21_21Design Siteで見ることとなったフランク・ゲーリーの作品群で最新技術とデザインが融合した建築技術から受けた衝撃が加わり、建築模型に対する私の従来持っていたイメージは随分の大きく変わることになった。

もともと模型で建築を楽しむというのは、私も子供の頃から鉄道模型のマニアであることから十分に理解しているつもりだった。
でも、それがこと建築技術や造形アートになるとかなり違うものであることに気づいたのだ。
つまり、趣味でやる鉄道模型のような甘っちょろいものではないということに。

先月、東京モノレールの天王洲アイル駅近くに開館した建築模型ミュージアムはそんな建築を模型を通じて楽しむことのできる日本でたぶんたったひとつの建築模型専門ミュージアムだ。
「建築倉庫 Archi-Depot」
という名のその場所には倉庫の中のように大きな空間に白く塗られたスチールラックが設置され、各棚に数多くの建築模型が展示されている。
縮尺は様々。
その建築物が計画され、設計された時に製作された実際の建築模型で、ジャンルも多岐に渡るのはもちろんのこと、建築家も先に挙げたフランク・ゲーリーや隈研吾など世界の第一線で活躍する有名建築家から地方都市の小学校や庁舎などを設計する無名の建築家まで。
それこそ地位に関係なく優れた作品の数々が展示されている。

東日本大震災で流されてしまった小学校の再建案。
最新のショッピングモール。
個人宅から都市計画まで。
どれもこれも実際の計画のために作られた模型だと思うと、その「模型の実物」を見たくなってくるほど、面白い内容だ。

場所がモノレールの近くなので空港から都心部を行き来する私のような出張族には訪ねやすい場所でもあるし、開館時間も東京ならではの夕刻までなので便利である。

「これかも増えていきますから」

ということなので、少し間を開けて訪れるとまたまた新しい作品がどっさり入ってるんじゃないか。
そんなことがワクワク感に繋がる良質の新しい美術館であった。

なお、嬉しいことに館内撮影自由(ルールはあります)。
カメラ片手に建物の造形を各ポイントから眺めるというのもCGではあまり感じられない模型の楽しみになりそうだ。

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