<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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ずーとむかし、ミヤコ蝶々がテレビのインタビューに答えるのを見て、なるほどと思ったことがある。
「東京のお客さんはミヤコ蝶々が舞台やるいうたら、それだけで皆さん切符買うて来てくれはる。ありがたいこです。でも大阪はミヤコ蝶々が舞台やる、言うたら『それで、蝶々が何やんの』と訊いてくる。聞いてつまらなそうなら来てくれへん』
と。

昨年春に大阪駅に華々しく誕生した伊勢丹三越。
産經新聞ネット版によると188億円の赤字で、JR西日本は特別損失を計上。
仕切り直して来年の春の黒字化を目指すのだという。

そもそも大阪は百貨店激戦区。
中でも梅田は阪急阪神の本拠地で、そこへ東京系の百貨店が店を出しても、なかなか勝ちをおさめるのは難しい。
例えば節季の贈り物では大阪のみならず関西では百貨店といえば高島屋、阪急、大丸の包み紙が好まれる。
いずれも受け取った側は、
「おお、ええところで買うて贈ってくれた。嬉しいやん」
となる。
ところが首都圏の人には信じがたいだろうが、伊勢丹も三越も大阪での知名度は極めて低く、正直イメージもない。
だから東京ではトップレベルの三越で買ったものと分かっても、関西ではイオンモールで買ったのとイメージは対して変わらない。
伊勢丹となると知らない人さえ存在する。

百貨店はイメージを売る店ではないかと私は思っている。
「これ難波の高島屋で買ったんです」
というのと、
「これ新宿のドン・キホーテで買ったんです」
では、同じブランド物のバックでも全然違ったイメージがある。
正直、後者の場合、
「それホンモノ?」
と訊きたくなるくらいだ。

これから大阪の百貨店は増々競争が激化する。
来月には阪急百貨店梅田本店が全館建て替えが完了し、グランドオープンする。
梅田の阪急は電鉄系百貨店のビジネスモデルを確立した伝説の店で、今でも一日の売上は1億円以上。
阪急阪神ホールディング、もといH2Oホールディングスのシンボルでもある。
さらに再来年には阿倍野の近鉄百貨店が日本一の高層ビルと売り場面積でリニューアル。

意外にも客単価は首都圏よりも2割ほど高いという関西圏。
それだけに東京資本の百貨店の関西制覇は難しいのかも分からない。
正直、似たようなコンセプトの店なら、私も伊勢丹三越では買い物をせず、阪急百貨店で買い物する。

「それで、何があんの?」
と効いてくるのが大阪のお客さん。
ひねりも何もない「退屈な」ところでは買い物しないことに気づく必要があるかもしれない。

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