<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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往年のエロティック映画「エマニエル夫人」で主役のエマニエル夫人を演じていたシルビア・クリステルが亡くなったという。
享年60歳。

エマニエル夫人にはちょっとした思い出がある。
その思い出は、中学の修学旅行とリンクしているのだ。
私は中学校の修学旅行で長野県の車山高原へ行った。
ビーナスライン。
富士山。
白糸の滝。
などなどなど。
なんでこんなところが修学旅行先に決まったのか、まったくもって謎なのであるが、ともかく車山高原にでかけたのだ。
この修学旅行の1日目だったか2日目立ったか忘れてしまったが、誰かが、
「今日、テレビの洋画劇場で「エマニエル夫人」の放送があるで」
となり騒然となったのであった。
折しも私たちは色気づき始めたばかりの中学生のガキども。
その手の番組に興味がないはずはない。
テレビの番組情報は口コミで見る見る間に広まった。
そして話題は、
「学校の修学旅行なのに、そんなエロ映画を部屋で見ることができるのだろうか」
という一点に絞られた。
まだまだ昭和50年代。
学校には力があり、今のように父兄にビクビクするような時代ではなかった。
普通なら、
「見たらアカン!」
となるところ。
なんと私の学校の先生たちは勇気ある決断をしたのであった。

中学校の修学旅行なので就寝時間は2200と決められていたのだが、
「今日の就寝時間は23:00でよろしい」
となり、しかも、エロティック映画の「エマニエル夫人」を中学生である我々ガキどもが見ることのできる許可まで与えてくれたのであった。
偉い校長先生であった。
もし見せなかったら中国のような暴動が発生するのでは、とでも考えたのだろか。

堺市立の中学校のなんとも粋な計らいなのであった。

結果的に、映画は大いに盛り上がったものの、何に盛り上がったのか記憶に無く、おっぱいが見えたぐらいで「おおおお~」っと叫んでいたウブな中学生なのであった。
今では「エロ映画を見たこと」だけが思い出となって残っている。

ところで、この「エマニエル夫人」や「エーゲ海に注ぐ」、「O嬢の物語」などのエロティック映画が流行った頃と、アリスの谷村新司がそのコレクターで有名なビニ本ブームはどちらが先でどちらが後だったのだろう。
時々そういうことを考える。
なんの意味も無いのだが、風俗に関する近代史、ということで、何らかの関係があるのでは、と思わずにはいられない。
阿部定事件を描いた映画「愛のコリーダ」なんかが普通に問題になる時代から、エグいアダルトビデオが出まわるようになるまでの過渡期に、このようなエロチック映画やビニ本が現れた。
今となってはそのように思えるサブカルティックなランドマークでもあったのではなかろうか。

シルビア・クリステル死去のニュースに接して、そんなことも考えたりするのである。

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