平ねぎ数理工学研究所ブログ

意志は固く頭は柔らかく

実効再生産数について考える(再掲)

2023-05-18 08:44:50 | 新型コロナウイルス

追記 2023.05.18

実効再生産数は数理的に何の意味もありません。
それなのに未だに使っています
数理科学を専門にしている研究者は日本(特に京大)には山ほどいるでしょ。
なぜ、彼らは指摘しないのでしょうか。

 


記 2022.02.09

前記事の続きです。

西浦博:実効再生産数とその周辺によると、実効再生産数はつぎのように計算されます。なお、朱書きは私が付け加えました。

この式は間違っています。
正しくはつぎのようになるはずです。

西浦式は明らかにおかしいでしょ。
そもそもnは整数じゃないです(n=7/5)。
セカイテキケンイがこんな初歩的な間違いをするとはねぇ。
京大とは京都にある中学校のことですか?

さて、実効再生産数の意味ですが、どのように考えても意味不明です。
増減の程度を表しているので、増える傾向か減る傾向かくらいはわかります。
ただそれだけです。

ただし、増加している場合でも増分が一定の場合、実効再生産数は減少します。

⊿J(k)が一定ならば、J(k)は単調に増加するので、Rは単調に減少します。
一方、⊿J(k)が一定でなくつぎの関係を満たせばRは増えます。

つまり、新規感染者数のグラフにおいて、下に凸(正曲率)な区間では増え、それ以外の区間では減り続けます。
実効再生産数のグラフをみるときはこのことに注意が必要です。

また、実効再生産数は「ひとりが感染させる平均感染者数」であると言われていますが、そのようなものではありません。
無理にこじつければ、今を起点として2週間遡ってその間変わらないとして求めた基本再生産数ということになります。
でも、この解釈も相当怪しくて(基本再生産数が怪しいので)、結局数理的な意味としてはなにがなんだかよくわからない代物です。
そういってしまうとこれ以上書くことがなくなるので、もう少し考えてみましょう。

ここで、全国の実効再生産数を計算します。
数値は厚生労働省オープンデータからダウンロードしました。

つぎのグラフは、デルタ株がはやっていた時の国内新規感染者数の推移と実効再生産数の推移を示しています。
横軸は時間軸で、119日間の幅をとっています。119日はだいたい4カ月です。
デルタ株の波のかたちはきれいな紡錘状になっており、波の幅は119日内に納まっています。

実効再生産数のピークは、新規感染者数のピークの前にできています。
新規感染者数は日曜日と祝日のつぎの日に減るので、概ね1週間ごとに凹みができます。

凹みの影響を除去するために紡錘状の新規感染者数を適当に作りそれについてみてみます。


実効再生産数は、前述したように下に凸(正曲率)な区間で大きくなっています。
紡錘状の波の場合には、実効再生産数のピークは新規感染者数のピークに先行することがわかります。

常に「実効再生産数のピークが新規感染者数のピークに先行する」かというと、そうでもありません。
つぎのグラフは、2020年11月~2021年2月の新規感染者数と実効再生産数を示しています。

このグラフでは、7週~8週の区間でそれまで低く推移していた実効再生産数が急増しています。
また、実効再生産数のピークは新規感染者数のピークの後ろにできています。
新規感染者数の分布が紡錘状でない場合には、実効再生産数は不規則に変動します。
実効再生産数から新規感染者数を予測するのは原理的に無理だということがこの例からわかります。

オミクロン株の全国新規感染者数と実効再生産数についてみてみましょう。
現在このようになっています。


実効再生産数は、1月11日に最大となりそれ以降減り続けています。
でも、新規感染者数のピークはなかなか現れません。
オミクロン株の感染者が急に増えたので、実効再生産数が1月11日にたまたまピークになっただけであり、
新規感染者数はそのピークとは無関係に増え続けています。
実効再生産数が減り続けているのに新規感染者数は増え続けるのだから、実効再生産数が何の役にも立たないのは明らかです。

最後に、8都道府県の実効再生産数を示します。

米軍岩国基地に波が立って津波が全国に広がっていったことを示すには役だっているかもしれません。

追記 2022.02.09

千葉県の実効再生産数の推移です。

実効再生産数はクルマの加速度のようなものです。
感染者の少ない1月10日に実効再生産数が最大になったのは、急発進したからです。
アクセルを緩めると(実効再生産数は)減少し、1.0に漸近します。


エレガントな解答をもとむ-2023年6月号出題1-

2023-05-12 09:44:21 | 数学


4月号5月号と連続して応募しました。どちらも自信があります。
でも、1週間かかりきりになるのでクタクタです。
脳の健康には良いかもしれませんが、他の臓器の健康にはたぶん悪いと思います。
もう年なので何事もほどほどがよいですね。
今月も無理しない程度にチャレンジしてみようと思います。
今回は出題1をやってみます。「中学生にも分かるように」が気に入りました。

エレガントな解答をもとむ(数学セミナー)


人民

2023-05-10 09:45:25 | 政治問題

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そんなに目くじらを立てるほどのことではないんじゃないでしょうか。
ネトウヨは人民ときくとただちに人民日報や中核派を連想するのでしょうが、
昔の政治家は普通に使っていましたよ。田中正造も使っています。



亡国に至るを知らざれば之れ即ち亡国の儀につき質問
「田中正造全集第八巻、岩波書店」より抜粋

昨日も申上げまする通り、一昨日も申しまする通り、五人や十人の仕事ではございませぬ。
二里ばかりの間に跨って三千人五千人の間に人があって、その中に三百人の警察官が「サーベル」を皆揃えて鎧を以って槍の如く用いて吶喊した。
憲兵は発砲したと云うことを聞いたと云うことを沢山申しまするから、私は保証人でございませぬから、是は言うが儘にしておきますが、また撲るときには声を掛けた。
土百姓土百姓と各々口を揃えて云うたのである。巡査が人民を捕まえて土百姓と云う掛け声で撲った。此の土百姓と云う掛声は何から出るのである。
是れ即ち古河市兵衛に頼れて居るからして、鉱業主にあらざれば人間にあらず土百姓は人間ではないように常に話で聞いて居るからして、
此の安っぽい巡査警察官に至っては、ついそれが出るから、土百姓土百姓と云う掛声でうちのめしたのでございます。
口々に三百人の巡査が悉く土百姓と云う掛声を以ってひどい目にあわせた。そうして鬨の声を揚げた。勝鬨を揚げた。大勝利万歳の勝鬨を揚げたのでございます。
何たることである。一昨日も申し上げまする通り、被害民の方はこれまでも棒、短い「ステッキ」も持って居なかった。
今度は、よく世話人が指揮して、品行を正にし、静粛を旨とせよと申渡しをした位でございますから、煙管一本持った者がない位に静粛である。
これに対して何である。勝鬨を揚げるとは何だ。先ず今日までのところの報告に依りますれば、此の事件に附きましては、こんなものでございます。
また明後日までに聞えましたことがございますれば、それだけに附いて申し上げまする。
ただ今日は此の政府が安閑として太平楽を唱えてからに、また日本は何時までも太平無事で居るような心持をして居るのである。
是が心得が違うと云うことだ。どう云う量簡で居るかと云うことの質問が要点でございます。大抵な国家が滅びるまでは、自分は知らないもの、
自分に知れないものは何だと云うと、右左に附く所の君主を補佐する所の人間が、ずっと下まで腐敗して居って、是で貫徹しなくなるのである。
即ち、人民を殺すは己の身体に刃を当てると同じことであると云うことを知らない。
自分の大切なところの人民を自分の手に掛けて殺すと云うに至ってはもう極度で、是で国が亡びたと言わないでどうするものでございます。

 

でも、日本国憲法を一度でも読んだことのある人は「主権者たる国民」というでしょ。普通はね。
間違いではないけれど「主権者たる人民」ではしっくりきませんよ。
石垣のりこはアンポンタン・イカレポンチなので読んだことないのかもしれません。