追記 2023.05.18
実効再生産数は数理的に何の意味もありません。
それなのに未だに使っています。
数理科学を専門にしている研究者は日本(特に京大)には山ほどいるでしょ。
なぜ、彼らは指摘しないのでしょうか。
記 2022.02.09
前記事の続きです。
西浦博:実効再生産数とその周辺によると、実効再生産数はつぎのように計算されます。なお、朱書き部は私が付け加えました。
この式は間違っています。
正しくはつぎのようになるはずです。
西浦式は明らかにおかしいでしょ。
そもそもnは整数じゃないです(n=7/5)。
セカイテキケンイがこんな初歩的な間違いをするとはねぇ。
京大とは京都にある中学校のことですか?
さて、実効再生産数の意味ですが、どのように考えても意味不明です。
増減の程度を表しているので、増える傾向か減る傾向かくらいはわかります。
ただそれだけです。
ただし、増加している場合でも増分が一定の場合、実効再生産数は減少します。
⊿J(k)が一定ならば、J(k)は単調に増加するので、Rは単調に減少します。
一方、⊿J(k)が一定でなくつぎの関係を満たせばRは増えます。
つまり、新規感染者数のグラフにおいて、下に凸(正曲率)な区間では増え、それ以外の区間では減り続けます。
実効再生産数のグラフをみるときはこのことに注意が必要です。
また、実効再生産数は「ひとりが感染させる平均感染者数」であると言われていますが、そのようなものではありません。
無理にこじつければ、今を起点として2週間遡ってその間変わらないとして求めた基本再生産数ということになります。
でも、この解釈も相当怪しくて(基本再生産数が怪しいので)、結局数理的な意味としてはなにがなんだかよくわからない代物です。
そういってしまうとこれ以上書くことがなくなるので、もう少し考えてみましょう。
ここで、全国の実効再生産数を計算します。
数値は厚生労働省オープンデータからダウンロードしました。
つぎのグラフは、デルタ株がはやっていた時の国内新規感染者数の推移と実効再生産数の推移を示しています。
横軸は時間軸で、119日間の幅をとっています。119日はだいたい4カ月です。
デルタ株の波のかたちはきれいな紡錘状になっており、波の幅は119日内に納まっています。
実効再生産数のピークは、新規感染者数のピークの前にできています。
新規感染者数は日曜日と祝日のつぎの日に減るので、概ね1週間ごとに凹みができます。
凹みの影響を除去するために紡錘状の新規感染者数を適当に作りそれについてみてみます。
実効再生産数は、前述したように下に凸(正曲率)な区間で大きくなっています。
紡錘状の波の場合には、実効再生産数のピークは新規感染者数のピークに先行することがわかります。
常に「実効再生産数のピークが新規感染者数のピークに先行する」かというと、そうでもありません。
つぎのグラフは、2020年11月~2021年2月の新規感染者数と実効再生産数を示しています。
このグラフでは、7週~8週の区間でそれまで低く推移していた実効再生産数が急増しています。
また、実効再生産数のピークは新規感染者数のピークの後ろにできています。
新規感染者数の分布が紡錘状でない場合には、実効再生産数は不規則に変動します。
実効再生産数から新規感染者数を予測するのは原理的に無理だということがこの例からわかります。
オミクロン株の全国新規感染者数と実効再生産数についてみてみましょう。
現在このようになっています。
実効再生産数は、1月11日に最大となりそれ以降減り続けています。
でも、新規感染者数のピークはなかなか現れません。
オミクロン株の感染者が急に増えたので、実効再生産数が1月11日にたまたまピークになっただけであり、
新規感染者数はそのピークとは無関係に増え続けています。
実効再生産数が減り続けているのに新規感染者数は増え続けるのだから、実効再生産数が何の役にも立たないのは明らかです。
最後に、8都道府県の実効再生産数を示します。
米軍岩国基地に波が立って津波が全国に広がっていったことを示すには役だっているかもしれません。
追記 2022.02.09
千葉県の実効再生産数の推移です。
実効再生産数はクルマの加速度のようなものです。
感染者の少ない1月10日に実効再生産数が最大になったのは、急発進したからです。
アクセルを緩めると(実効再生産数は)減少し、1.0に漸近します。