平ねぎ数理工学研究所ブログ

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房総半島東方沖地震

2018-07-09 17:09:46 | 地震

房総半島沖でスロースリップが起きており、それが原因で中規模の地震活動が活発になっているといわれている。
2018年7月7日に、房総半島東方沖でM6.0の地震が起きた。これは、スロースリップが誘発したものだろうか?




確かに2007年8月に同じような地震が起きている。
下図中、左側が今回の地震を表し、右側が11年前の地震を表している。




今回は前回に比べ少し南側で起きている。
前回と同じメカニズム(スロースリップ誘発)で起きたと仮定すると、前回はM5.3で終息したのだから、
今回もM6.0程度で終息する、と考えてよいのだろうか。


私はその考えには反対だ。
中規模地震では終息せず大規模地震が起きる可能性があると考えている(ただし、いつか分からない)


気象庁は2007年の事例をもとに今後を予測しているが、2007年の事例は使えないのではないか。
2011年3月に東北地方太平洋沖地震(M9.0)が発生したからだ。
この地震によって東日本の地殻のひずみ・応力分布は大きく変化した。
したがって、2007年の事例をそのまま当て嵌めるのは危険だと思う。

次図は、2011年3月14日(東北地方太平洋沖地震の3日後)の南東北・関東・東海地方の24時間地震分布図である。



銚子沖以北で中小地震が頻発しておりそれよりも南ではあまり発生していない。
その理由は、東北地方太平洋沖地震により、震源から南へ地殻の破壊が進んでいったが、
フィリピン海プレートの北東端が地殻破壊の南下を食い止め、銚子沖で止まったためである
と推察される。
そうであるならば、房総半島東方沖の地殻には大きな応力集中が起きているはずだ。
地殻の亀裂が南に伸展し房総半島沖に大地震を誘発する可能性は十分考えられるので注意が必要だ。
過去には、房総半島東方沖付近で延宝房総沖地震(M8.3,1677年)が起きている。
その26年後には、房総半島の南端にある野島崎付近で元禄地震(M8.1,1703年)が起きている。
さらに、4年後に宝永地震(M8.6,1707年)が起きている。

2018年7月7日の地震の、K-NET長南(CHB026)における震度と
加速度波形を示す。

■ 震度


計測震度=  4.13  震度4 


■ 加速度波形