
18881年から2011年までの広島市の年平均気温をグラフにしてみました。
1881年からの100年間は、数年周期と数10年周期の変動が見られるものの、ほぼ一定の値で推移しています。
ところが、1980年代の後半に急激なジャンプがあり、それからあとは高止まりしています。
1980年代の後半に一体何が起きたのでしょう。
参考URL
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php(気象庁|過去の気象データ検索)
昨日の続きです。
IPCC2007の日本版(気候変動2007:統合報告書、政策決定者向け要約)の7ページにつぎのような訳文がありました。
引用ここから***
SRES排出シナリオの範囲では、今後20年間に、10年当たり約0.2℃の割合で気温が上昇すると予測される。
たとえ、全ての温室効果ガス及びエーロゾルの濃度が2000年の水準で一定に保たれたとしても、10年当たり0.1℃のさらなる昇温が予想されるであろう。
その後の気温予測は、個別の排出シナリオに依存性が増すようになる。{3.2}
ここまで***
問題の箇所はつぎです。
たとえ、全ての温室効果ガス及びエーロゾルの濃度が2000年の水準で一定に保たれたとしても、10年当たり0.1℃のさらなる昇温が予想されるであろう。
この文は2通りの解釈ができると思います。
①温室効果ガス等が2000年の水準で一定であれば、気温上昇率は0.1℃/10年になる。
②温室効果ガス等が2000年の水準で一定であれば、つぎの10年間の気温上昇は0.1℃である。
素直に読めば①の解釈が正しいように思われますが、前後の文脈のつながりが分かりにくいので、②のようにも読み取れます。
あまり良い翻訳じゃないですね。
原文を調べてみましょう。
For the next two decades a warming of about 0.2°C per decade is projected for a range of SRES emissions scenarios.
Even if the concentrations of all GHGs and aerosols had been kept constant at year 2000 levels,a further warming of about 0.1°C per decade would be expected.
Afterwards, temperature projections increasingly depend on specific emissions scenarios. {3.2}
ありゃ、原文を読んでもよく分かりません。もともと原文が分かりにくかったのですね。
センテンスの順序を入れ替えて、このようにしたらどうでしょう。
For the next two decades a warming of about 0.2°C per decade is projected for a range of SRES emissions scenarios.
Afterwards, temperature projections increasingly depend on specific emissions scenarios.
Even if the concentrations of all GHGs and aerosols had been kept constant at year 2000 levels,a further warming of about 0.1°C per decade would be expected.{3.2}
和訳はこうなります。
SRES排出シナリオの範囲では、今後20年間に、10年当たり約0.2℃の割合で気温が上昇すると予測される。
その後の気温予測は、個別の排出シナリオに依存性が増すようになる。
たとえ、全ての温室効果ガス及びエーロゾルの濃度が2000年の水準で一定に保たれたとしても、10年当たり0.1℃のさらなる昇温が予想されるであろう。{3.2}
これだとよく分かります。つまりこういうことです。
①どの排出シナリオを選んでも、今後20年間は約0.2℃/10年の気温上昇になる。20年以降はそれぞれの排出シナリオの特性に従う。
②2000年の水準で一定に保たれたとしても、0.1℃/10年(=1.0℃/100年)の気温上昇が予想される。
①は、グラフに示されている気温上昇特性とよくあっています。
②は、縦軸の目盛りが一桁違います。1.0℃/100年でなければならないのに、0.1℃/100年になっています。
このように見ていくと、やっぱりIPCCは、グラフ表示を間違えているのではないでしょうか。
皆さんはどう思います?
参考URL
・http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/syr_spm.pdf(気候変動2007:統合報告書、政策決定者向け要約)
・http://www.ipcc.ch/publications_and_data/ar4/syr/en/spms3.html(IPCC Fourth Assessment Report:Climate Change 2007)
図は6種類の排出シナリオに対する世界平均気温の上昇量の予測を示したものです。
この図にはおかしな点があります。黄色の線を見てください。この線はCO2の濃度が2000年時のまま変わらないとした場合の予測です。
2000年までの100年間の世界平均気温の上昇率は概ね0.7℃/100年ですが、2000年以降CO2濃度が増えないと仮定すれば、
上昇率が急激に減少して0.1℃/100年~0.2℃/100年になるというのです。
これは考えにくいです。例えて言えば、時速70kmで走行していた車が急減速し、時速10km~20kmになるようなものです。
急ブレーキをかけて車に逆向きの力を作用させなければ、このようなことは起きません。地球の気温についても同じことが言えます。
強い外的強制力によって地球を冷やさない限り不可能だと思います。
そもそも、上昇率0.1℃/100年は小さすぎる気がします。0.1℃/100年など実質的には変化なしです。ほとんど誤差の範囲です。
このグラフ、どこか間違っているのではないでしょうか。
参考URL
・http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/GWP/Vol7/pdf/1-2.pdf(地球温暖化予測情報 第7巻)
・http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_wld.htm(世界の年平均気温の平年差の経年変化(1891~2009年))