なんとも美しい田園風景に感動、西川美和監督の「ディア・ドクター」を観た
少し体調も戻り、一ヶ月ぶりに映画を観た。2006年に公開され、大いに話題を呼び、各賞を総なめにした映画「ゆらり」の西川美和監督作品(監督は、原作も脚本も担当している)の「ディア・ドクター」だ。シネコン・東宝岡南で、上映されている。
昨日発表された直木賞の候補作として、西川美和監督の著書『きのうの神さま』(ポプラ社刊)がノミネートされている。前作の映画「ゆれる」を自らノベライズした同名小説(ポプラ社)も、第20回三島由紀夫賞の候補作ともなっている。
余談だが、ポプラ社というどちらかというと、児童書や青春ノベルを出版している会社であり、その社の刊行図書が三島賞や直木賞の候補作となること自体が、極めて珍しいように思う。
ともあれ、その西川美和監督の「ディア・ドクター」は、監督がイメージした「緑の棚田に囲まれた山村」が実に美しく撮影されており、その映像美を堪能させてもらった。その美しい風景の中で、「二つの嘘」を巡って物語は展開している。「その嘘は、罪ですか。」と問いかけている。
その美しい風景の中にいる釣瓶の存在感は秀逸である。主演男優賞候補間違いなしだ。八千草薫や余喜美子などの出演者も、みんな素晴らしい。そして、パンフレットのデザインが、またなんとも素晴らしい。
久しぶりに観た映画であり、久しぶりに感動した映画だ。また一つ、日本映画に名作が誕生した。