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TAC…その後

2006-03-12 04:50:45 | 気になる 大学研究

 2月27日の産経新聞に昨年大学院設置が頓挫したTAC大学院のその後が書かれていた。
 それによるとTACは平成19年度開学をめざして準備をしていたようだが、その株式会社立の大学を可能にするための前提である構造改革特区計画の取り下げを、東京都千代田区が内閣府に申請しているらしい。
 TACさん、やめたんじゃなかったんだね。ちょっと驚きである。
 申請取り下げにより、これでTACが-少なくとも-東京都千代田区で大学を開設する法的根拠はなくなることになる。構造改革特区申請を審査している内閣府は3月上旬をめどに取り消しを認める模様だそうだ。
 産経新聞によると、平成15年度からの特区制度開始以来、株式会社立の学校をめぐる計画取り消しの申請は初めて。
 きちんとした申請ができずに千代田区に結果的に迷惑をかけてしまった。自治体側が一定のけじめをつけた。
 …千代田区としてはTACへの縁切り宣言である。

*****

 そもそも、TACは、株式会社の大学設置を認める千代田区の「キャリア教育推進特区」で会計分野の専門職大学院設置を計画。昨年6月、文部科学省に認可を申請していた。だが、省令で1年間の履修可能単位の上限が30単位と定められているにもかかわらず、パンフレットに46単位と記載。文科省から「資格試験の準備に偏った教育を意図している」と厳重注意を受け、昨年10月に申請を取り下げた。
 このミスが単なる間違えだとしても設置・開設基準がわかっていないことになるし、わかっていてそうしたのだとしたら悪質だ。

 取り下げの後、TACでは社長ら関係者の社内処分を実施。あらためて、文科省に設置認可を再申請するつもりだったようだ。
  ↓
 千代田区は「大学として申請する条件が整っていなかった。認識不足や未熟な面があった」(企画総務課)として、2月6日付で内閣府に特区計画の変更を申請。TACに関する項目をすべて抹消した。

*****

 構造改革特区制度をめぐっては、計画作成が事業者に委ねられ、自治体側のチェックが甘いとの指摘が出ている。それでも大学が開設できるようにしたのが構造改革特区制度である。千代田区では別の株式会社立大学(Lかな)の運営について区議会などから批判の声があるそうだ。
 「自治体側の責任も踏まえて一定のけじめをつけた」(関係者)とみられると新聞には書いてあったが、落とし前をつけた感じがする。

 TACのIR室
 「千代田区から聞いておらず現段階では申し上げられない。千代田区と大阪市の両方にキャンパスを設置して平成19年4月の開学を目指している」
 大阪市
 「現時点で特区取り消しは考えていない」(企画調整課)

 TACは大阪市だけでの単独開学を望んでおらず、19年度の開学は厳しい見通しとなっている。
 これで実質エンドマークになるのかな。

*****

 株式会社立学校をめぐっては、政府が2月15日に特区の実施状況の評価結果をまとめた際に全国解禁を見送り、引き続き評価を行う方針を決めている。
 文科省では新設の大学に対する調査結果を来月に公表。既設の大学3校についても、運営改善を求めていく構えだ。
  ↓
 そうだろうね。
 賛成である。

 何度もブログで繰り返しているが、大学設置会社による大学(の存在)は主流になるものではないと思う。国(国立大学法人)、地方公共団体、学校法人のみが学校を設置できるとしている学校教育法が基本だ。構造改革特区制度で、地方公共団体が内閣総理大臣の認定を受ける。これは相当例外的な扱いである。
 既成概念にとらわれない教育が注目を集める一方、営利を目的とする株式会社だけに運営の継続性への不安が指摘されているとこの日の記事でも書かれていたが、それ以前の問題として基本的なルールが守れないのではダメである。もちろんこれは設置母体が何であれ同じだが。。。

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