全英連参加者のブログ

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英語力で論議を尽くせ

2006-04-18 05:19:55 | 気になる 教育行政

 毎日新聞3月30日余録に、「英語力で論議を尽くせ」という文章がでていた。
 内容的にも知らないこと、まっとうな考えだと思うところ、踏み込みが足りないと思うところがあるので、このコラムについて書くことにする。
 まず、以下に全文を引用する。

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 英語力で議論を尽くせ

 明治初年、日本で初めて京都に創設された小学校の課業表を見ると5段階の上から3番目の等級に「英独語学百言」とある。上に進級すると「三百言」、最上等は「五百言」とあるが、いったいどんな授業を行ったのだろう
▲その後全国に布達された学制でも小学上等で外国語を教えられることになっており、初代文相森有礼(ありのり)が英語を奨励した明治18(1885)年から同20年代までは小学校で英語が教えられた。当時、浜松の高等小学校では米人教師を迎えた記録もある
▲その森有礼は「日本が独立を守るには、英語を国語にすべきだ」と唱えたのでも有名だ。民権論者の馬場辰猪(たつい)は、それでは英語を使う上層階級と、使えずに政治参加のできない下層階級に国民が分裂すると反論した。英語の公用語化によって共通の国民意識が失われるのを恐れたのだ
▲どうやら小学校での英語教育も、英語をめぐる論争も、別に今に始まったことではないようだ。グローバル化の進む中、さきごろ中央教育審議会の専門部会が小学校での英語の必修化を提言したが、一方ではその是非をめぐる論議も続いている
▲すでに中国や韓国などは小学校での英語必修化に踏み切った。インターネットなど英語の情報環境の日常生活への浸透もめざましい。いきおい早期英語教育を望む声が強いが、反対にまず母国語をしっかり身につけるべきだとの主張や、中途半端な語学教育は逆効果との意見も根強い
▲国際社会に適応しながら自主性を守らねばならなかった近代の日本人は、英語国語化論から英語=敵性語論までの両極端の間を揺れた。だが今は21世紀だ。これからの時代に必要な英語力を誰もが身につけるにはどうしたらいいかという原点に戻って論議を尽くせばいい。

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 各紙の社説などでも積極推進、消極推進(現状追認)、否定的とばらつきが見て取れるが、どうも誰が担当するのかを見ようとしていない点が気になる。非常に気に入らない。僕の目から見れば、毎日も同じである。
 三つ目の▲に「是非をめぐる論議も...」とあるが、毎日くんはどう考えているか言うべきだろう。実質始まっちゃっているんだからなんて考えているとしたら、ものの本質を見ていないことになる。既成事実をもとに、何かを実質的に始めるやり方は、どうなのか。なによりも、担当者を育てることが大事なのに、その時間も、金も割くことができずでいいはずがないではないか。十分にできているかどうかをなぜ検証、問題視しない。
 今のやり方では、結果がずぐずぐになる。そんな確信がある。
 四つ目の▲にもあるが、英語教育よりも母国語教育であるとの論議は、おそらく結果のでない論議である。言葉尻をとらえることになるが、母国語という単語もあまりいいとは言えない。母語だろう... 話がそれた。ではどうするべきなのか。
 英語が1コマでも時間(or単位)をとれば、現状では、何かが減るのである。他の教科・活動の時間を減らさず英語をやるには、授業時間を増やすしかないのである。それは教師の労働時間を増やすことになり、組合から嫌われる。僕だって仕事時間のうち授業が増えることは、準備のこともあり好ましいことではないと思う。でも、増やすならば、何とかしなければならない。平日ではなく、土曜日に授業をすることを考えなければならない。公務員組織の警察・消防・自衛隊でできるのだから、必要な教員を確保して、授業時間を増やし、その分で英語を入れる方がいいのではないか。勤務の振り替えを考えたり、非常勤講師の確保を考える(それなりの予算措置を考える)べきだろうと思う。
 お金がない。ウソである。道路を造るよりも人件費の方が安いだろう。まるで、ネコの首に鈴を付ける作業のようだ。誰もそんなことを言えないからわからないふりをしている。

 もう一度言う。
 現状での解決策は減らした授業を少し増やすしかどうにもならないのではないか。
 それに少しはお金をかけるべきではないのか。
 そして、小学校の先生が安心して児童の前に立てるような、システムを考えるべきではないのか。
 ぐだぐだ言っている暇があったら、英語力で論議を尽くすのではなく、教育にお金をかけることを論議を尽くすべきなのではないか。

 根性や気合い、使命感だけでは授業時間は増やせないのだ。


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