全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

小学校英語。。。

2006-04-21 05:06:47 | 気になる 教育行政

 毎日新聞が15日、<中教審方針>英語必修化に教師が尻込み 混乱や動揺も?という記事を載せていた。
   
 中央教育審議会の外国語専門部会が先月「小学校高学年で英語を必修にする」との方針がでている。このことについて現場の教師は「発音に自信がない」と尻込みし、自治体教委は「親のプレッシャーが強まる」と不安を募らせる、という書き出しだった。【高山純二、井上英介】
 若干納得いかない記事なので、いくつか意見を書いてみる。

◆アレルギー
 東京都内の「英語教育先進地」北区。04年度から区立小全38校の全員が、週1時間英語を学ぶ。カードゲームやインタビューなど年間40時間。泣きどころは「先生たちに英語アレルギーがある」(区教委指導主事)ことだ。
 「私は『さんきゅうべりまっち』の世界。こんな発音で教えちゃまずいわよね」。昨年度、総合学習で英語を教えた都内の区立小女性教諭(41)は、50代の同僚から不安を打ち明けられた。
 小学教員免許の取得に英語は必要ない。女性教諭が学んだ英語は大学1年が最後。「会話ゲームが中心で英語力は必要ない」と本人は総合学習を苦にしないが「プロ意識の高い先生ほど『発音が間違ってないか』という不安が相当ある」と同僚の気持ちを代弁する。
  ↓
 そもそも、アレルギーという書き方が気に入らない。なぜ不安になるかその理由分析がろくに書かれていない。それから本当に北区の教育委員会指導主事が、「アレルギー」などという言葉を使ったとしたら許し難い。なぜそのような評価をするのか。彼ら、彼女らに不安なく新しい仕事をしてもらうための十分な時間、機会の準備ができているのか。できていないから、まじめにやろうとする先生ほど不安になるのではないか。不安に充分応えることができない研修体制なのではないか。個々の小学校教師の努力だけで英語学習に向けての心配事、準備のは解決がつく問題かどうかは、わかるではないか。個別教師では解決なんかつかないのである。
 北区は毎日によれば、「英語教育先進地」だそうだが、本当だろうか。

◆自治体側の懸念
 文科省によると、全国に約2万3000校ある公立小学校のうち、昨年度93.6%が英語に取り組んだ。しかし、大半は特定の学年にほんの少し触れさせた程度だ。北区と接する足立区で、英語に取り組んだ学校は昨年、区立小72校中49校(68.1%)にとどまった。
 足立区教委は昨春、小学教員を集め、英語導入に向けた検討会を発足させた。しかし、ある指導主事は「先生により力に差があるのも事実。『隣のクラス担任に比べ、わが子の担任は』と親のプレッシャーがのしかかるのでは」と懸念する。
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 すでに93%と言う数字は一人歩きを始めている。90%超…やっててあたりまえ。そうじゃないのは異常…そんな数字としてとられるようだ。
 隣接区でも大きな違いがあることを報道した毎日の姿勢は評価するが、ではなぜ足立区が低いのか、その分析を書くべきだろう。おそらくそこには英語以上の優先項目が小学校教育現場にあるか、英語活動を行いたくてもできないことがあるはずだ。その分析がほしかったと思う。

◆教育産業は歓迎
 英語必修化について、進学塾は私立中の受験に影響がないため事態を静観するが、英会話教室は熱い視線を送る。最大手NOVA(大阪市中央区)は99年に小学生の教室を全国展開し、00年には外国人指導助手の派遣も始めた。広報担当者は「英語の必修化でマーケットは確実に広がる」と期待する。
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 そもそも民間企業と学校では世の中の要望として引き受けるものが違う。

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 問題のありか(教員研修)がこれほどはっきりしているのに、どうしてもっとそこにフォーカスがあたらないのか。
 僕は以前ブリティッシュカウンシルの小学校英語のセミナーに出たことがあるが、参加している小学校の先生方の危機感、使命感は大変なものだった。全部の小学校教師に同じ危機感があるとは思わないが、勉強したい、自信を持って生徒の前に立ちたいと考えている先生たちが満足できる研修機会が本当にあるのだろうか。僕はどう考えてもないような気がする。
 必修化、なし崩し必修化。始める以上教師にとって自信の源になる確かな知識、訓練の機会をきちんと与えるべきなのである。
 毎日の記事にも、『中教審が小学校の英語必修化を検討する背景には、英語への取り組みの質と量が学校や自治体間で異なる現実を是正しようという狙いがある』と書かれていた。同記事に、『小学校の英語への取り組みは、02年度導入の総合学習でなし崩し的に始まった。一方、学習指導要領に縛られない教育特区でバイリンガル養成を掲げる自治体も現れた。実際、東京都内の北区と足立区の取り組みには差があり「英語の出来不出来が社会的格差につながりかねない」と懸念する親もいる』ともある。最後の「英語の出来不出来が…」は、若干大げさ(「英語だけができる人間」はあまり存在しないだろう)だが、英語学習が最近問題になっている格差拡大につながるのではないかという世の中の不安感までも巻き込んで(巻き込まれて)しまうのは困りものである。

 そうならないためにも、先生たちの研修が必要なのである。


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