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tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

雲のゆくえ

2018-08-27 22:52:34 | 日記

司馬遼太郎氏の「草原の記」に、「乾燥した土地になぜ雲が湧き上がるのだろう」という記述があった。

答えは簡単だ。
草原の植物の葉は、太陽の熱が直接地面に届くのを妨げると同時に、地中に張り巡らせた植物の根は、降雨が地中深くに浸透するのを防ぐ。つまり、草原の地表は、草の根により貯水庫の役割を果たしている。
一方、植物の葉の表面には気孔が存在し、一対の孔辺細胞およびその周辺の細胞からなり、孔辺細胞間にできる孔の大きさを調節して開閉を行う。
この開閉は、光合成が盛んに行われる晴天の時に開いて、葉から水を蒸散させ、根から水や養分の取り込みを促進する。同時に光合成に必要な二酸化炭素を取り込み、光合成により産出される酸素を放出する。
もう一つの重要な役割は、強い日差しで上昇した葉の温度を低下させることだ。

つまり、太陽が照り付けると植物は水分を蒸散させる。それが太陽熱で温められて上昇し、上空の冷気で冷やされ、雨滴となり雲を形成する。水分は雨となり地表に降り注ぎ、そして植物により蒸散されてまた雲になる。その繰り返し。。
実際、太陽が昇る前の早朝でも、草原を歩くと夜露で足元はぐっしょり濡れる。
今年は7月に多くの雨が降ったらしい。このためモンゴルの草原は例年になく草が覆い茂ってたようだ。

昔、遊牧民が南の土地に侵入してきた漢人たちを嫌ったのは、彼らが農耕民族で、草原を耕して農作物を植えるからという。水はけをよくするために耕された土地は、すぐに水分を地中に逃してしまう。草原の砂漠化の手助けをしているに過ぎない。