アルタンボラグのツーリストキャンプ・ゲルで出迎えてくれたモンゴル犬。目の上に2つの模様があり、四つ目のワンコという典型的なモンゴル・ワンコだ。
実はこのワンコ。キャンプのじゃない。近所のノマド(遊牧民)の犬だ。キャンプに遊びに来て以来、家に帰るのも忘れて遊び惚けている。たまに仲間がやってきて、2匹になったり3匹になったり。
牧羊の仕事があって飼い主が困っているだろうと思うのだが、モンゴルの人たちはおおらかだ。犬の好きにさせてるらしい。
やさしいキャンプ長のモチコにおしいいエサをもらえるもの、飼い主の元に帰らずに居座る理由だろう。
飼い主のノマドのゲルは、キャンプ・ゲルから、かなたに続くスロープの丘の上にある。昔のノマドのゲルは、吹き抜ける草原の風を嫌って丘と丘の間に設置されてたそうだが、最近は、携帯電話の電波をキャッチするため、丘の上にあることが多いという。
朝日に向かって丘へ続く道を散歩してたら、ワンコが散歩に付き合ってくっついてきてくれた。しかし、丘へさしかかるとそれ以上は行こうとしない。ワンコなりに、飼い主の元を離れてキャンプに遊びに来ていることに罪悪感を覚えているのかもしれない。
モンゴルではこうした大型のモンゴル犬が姿を消しつつあるらしい。モンゴル犬は、体が大きく、毛が長く、尻尾が太くて長い。厳しい寒冷な環境にも適し、性格は穏やかだが、オオカミなどの天敵には勇敢に立ち向かう。家畜を守り、主人に誠実で、昔から馬と共に、モンゴル人の最高の友だった。
しかし、遊牧の衰退に加えて、オオカミがほぼ絶滅状態になりつつある今、牧羊犬としての役割がなくなり、ノマドに飼われるモンゴル・ワンコの数も激減しつつあるという。