※前号のブログで、「宗戸の支持」とあったのは、「宗戸の指示」の間違いです。訂正します。
収まらないコロナ禍パンデミック下だが、春爛漫の季節を迎えている京都市にも中国やモンゴルに広がるゴビ砂漠からの強烈な黄砂が3月30日(火曜日)に飛来し空を覆った。晴れの日にもかかわらず、空は一面に灰色に霞(かす)む。賀茂川と高野川が合流する出町柳周辺の橋からは河川周辺の桜並木が延々と続く。北の方面には賀茂川の向こうに丹波山系の山々がいつもは見えるのだが、黄砂のためにまったく見えない。東の方面の東山山系もわずかに山容が霞んで見えるだけ。そんな中だが、家族連れや若い人たちが水辺で過ごしていた。
京都市の賀茂川や高野川、そして2つの川が合流して鴨川となるのだが、川の堤防や河川敷には数キロにわたって延々と桜並木や春の花々の木々が咲き誇り、「桜回廊」とも「花回廊」とも呼ばれる。だが、あいにくこの日は黄砂襲来の光景。この日、大阪や京都は黄砂のために視界は5kmまでだったとの報道が翌日31日にあった。
私が何度か目のモンゴルのゴビ砂漠で恐竜発掘調査を行っていた2000年8月、中国との国境に近いウハー・トルゴドというところで初めて砂嵐(黄砂のもと)というものを経験した。ゴビ砂漠での砂嵐は毎年、春先の3月や4月が最も大規模に発生する。だから私が経験した夏の8月の砂嵐はまだ小規模なものだった。この時の砂嵐は高さが200mあまり、幅が数十Kmの巨大な屏風の壁のような砂嵐へと及んだようだが、これでも小規模なものだったとモンゴルの古生物学研究者たちは言っていた。
砂嵐が進む時速は250~300kmほど、新幹線のスピードと同じくらいの速度であっという間に砂の屏風の壁が迫って来た。巨大屏風が動くという感じ。急ぎ車の中に避難し車窓を締め切る。視界は0mとなる状況が20分間ほど続いた。黄砂が行き過ぎて、近くの調査隊のテントに入ると、チャックで締め切っていたテントの中は入り込んだ砂が大量に積もり、荷物などは砂で埋まっていた。小規模な夏の砂嵐(黄砂のもと)でもこんな感じだった。
3月30日(火)のこの日、午前中に中国の大学の学生たちとのオンライン授業を終えて、午後に京都市内の立命館大学に向かうため、出町柳近くのバス停からバスに乗った。図書館で3カ月あまり借りていた書籍の返却期限が翌日に迫っていたからだ。立命館大学に研修員としての籍があるため、100冊までを100日間借りることができるので、時々利用している。
立命館大学はこの4月2日(金)には2021年4月新入学生の入学式が行われた。また、明日の4月4日(日)には昨年の新型コロナウイルス感染拡大にともなう全国的な緊急事態宣言の発令により、入学式が行われなかった2020年4月入学生の入学式が行われる予定。30日には大学構内の桜が例年より1週間は早く、満開の時期を迎えていた。
欧米からの留学生たちが、桜の下で写真撮影を楽しんでもいた。しかし、留学生の中には日本に来日できない学生たちも多い。私の中国・閩江大学の教え子の一人の林瀟銘さんも、昨年の9月(秋入学―大学院)で来日予定だったが、全面的なオンライン授業が予定されていたので来日せず、中国で立命館大学大学院のオンライン授業を受講していた。そして今年の3月には来日して日本での留学生生活をするため準備していた。
しかし、昨年度末からの日本での感染拡大第3波の状況下、留学生も含めた日本政府の入国制限措置のため、結局、来日ができていない。立命館大学大学院はこの4月からの講義・授業は全てオンライン授業ではなく、対面授業を実施する予定となっている。このため、来日できなければ、オンラインでの受講もなくなるので、休学措置を取らざるを得なくなっている。
大学構内の桜は、夜間になるとまた夜桜となって美しい。コロナ禍発生以前の2019年度までの入学式は、ちょうど桜が7分咲きから満開になる時期で、新入生たちやその親たちの姿で入学式は華やかな光景がみられたのだが‥。
―京都で桜がこんなに早く満開になるのは、過去1200年で今年が最も早いとのこと―確かに今年の桜は早かった
今年の京都の桜はなんと3月26日頃に満開となった。(気象庁発表) これは過去30年間の平均より10日間も早い記録だったそうだ。
京都の桜については、いにしえの人たちが日記や和歌、そして宮廷の記録などに書き記されていることが多く、大阪府立大学の青野靖之准教授が京都における観桜会や花見に関する記述を年表にまとめた研究によると、一番古い記録はなんと812年のもの。そして、桜が満開になった一番早い以前の記録は1409年の3月27日だとのこと。今年はこの記録を1日上回った。桜の開花と満開の時期は近年、だんだん早まっていてきているようだ。入学式に満開の桜で記念撮影ではなく、卒業式に記念撮影ということになりつつあるのかもしれない。
3月31日(水)、この日は私の担当する大学の授業がない曜日なので、銀閣寺近くの娘の家に午前中から行き孫の世話の手助け。午後3時ころ、娘の家を後にして、車で京都市内の知恩院近くの白川沿いの道を通った。白川の清流と柳の並木が美しい。京都は桜の季節のあと、青もみじや新緑の季節を迎えるころとなっていく。
同日、午後4時ころ、自宅に戻る途中に車で京都市伏見地区を車で通過する。大手筋通りにある伏見の酒蔵と堤防の菜の花のコントラストがとても美しい。