彦四郎の中国生活

中国滞在記

東京五輪中止になれば、「22年北京冬季五輪」は人類がコロナ克服と中国政府アピール大会となるが❷

2021-01-18 19:18:24 | 滞在記

 東アジアの国で開催されるオリンピックが近年続いている。2018年2月の韓国平昌冬季オリンピックに続いての2020年東京夏季オリンピック(21年に延期)、2022年2月の中国北京冬季オリンピックと。

 中国の北京冬季オリンピックの開催(来年2月)も、あと1年余りになってきている。この2022年の秋には5年に一度開催される中国共産党大会が開催される予定だ。「中国共産党総書記・中国国家主席」の任期は2期(10年間)までという"個人崇拝""個人への権力の過度の集中"を防ぐため40年間あまり続いていた規定を変えて、さらに年齢制限も撤廃した習近平氏。2022年の党大会では、3期目に再選される可能性が高い。

 このため、北京冬季オリンピックは是が非でも成功させたい国家を挙げての大イベントだ。しかも、もし東京五輪が中止となれば、2022年2月の「北京冬季オリンピック」が、「人類がコロナに打ち勝った大会」「コロナ禍を世界に先駆けていち抑制した国家体制の素晴らしさ」と中国習近平政権は大々的に国内外に自画自賛アピールができる大会となる。もちろん、中国国内の人々はこのこと(自画自賛)にかなり熱狂もするだろう。「中国は素晴らしい国だ」と‥‥。

 この北京冬季オリンピックは北京市の主な3地域において行われる。一箇所は北京市の市街中心部。もう一箇所は北京市張家口市(※中国の市はどこも広大だ。日本の関西で例えれば、小さい面積の市で大阪府くらい、大きい市では兵庫県くらいはあるのが普通だ。私が暮らす福建省福州市は京都府くらいだろうか。そして福州市福清市のように市の中に市がある。) そしてもう一箇所は北京市延慶区。ここは北京市中心部と張家口市の中間に位置する。

 張家口市は「万里の長城」の中でも最も観光客の多い「八達嶺」万里の長城のあるところ。北京市街から高速道路を利用すると、渋滞がなければ1時間強ほどで「八達嶺」に到着できる。北京北駅から鉄道を利用するのが最も行きやすいが(普通列車)、「冬季オリンピック」開催もあり、北京市街からの「高速鉄道(新幹線)」を新しく開通させている。

 私は2018年4月上旬と2019年3月下旬に、その八達嶺長城に行った。2019年に行った時はオリンピックに向けた準備が進み始めていた。2018年に行った時にはあった集落(村)が、集団移転をさせられたため19年に行った時は村全域が更地になり建物建設も始まってもいた。オリンピック競技会場と万里の長城見学の麓を短距離で結ぶための新しい道路やトンネルの工事も行われていた。

 2008年北京夏季オリンピックのメイン会場となった通称「鳥の巣」スタジアムのある北京オリンピック公園の西方に冬季オリンピックのメインスタジアム「中国国家速滑館」が建設され、昨年の12月25日に完成落成式が行われている。このスタジアムは「蚕(かいこ)の繭(まゆ)の蛹(さなぎ)」をイメージしてつくられている。通称「氷のリボン」とも呼ばれているようだ。

 昨年12月には「2022年北京冬季奥運会(冬季オリンピック)」の組織委員会の総会が行われ、会場に習近平国家主席も来場した。コロナ感染の徹底的な政策の実施により、水も漏らさぬ徹底さでコロナ感染を封じこめ、着々と準備を整えている中国だが‥。ちょっと暗雲も立ち込め始めている。一つは世界のコロナ感染拡大が止まらないことだ。もう一つは、中国の人権弾圧に抗議する形で、英国・豪州(オーストラリア)の主導による北京冬季オリンピックボイコットの動きが密かに進行し始めていることだ。

 新型コロナウイルス感染症拡散と世界的パンデミックを引き起こした中国当局の隠蔽をはじめ、香港への弾圧や内モンゴル自治区での中国語教育の強化よる同化政策、チベットでの人権問題、特に新疆ウイグル自治区での中国共産党による民族浄化、ジェノサイトとも言える激しい人権侵害を見逃すことができないためだとしている。中国政府は国際社会から強い不信を招き、冬季オリンピックに自国選手を送り込んでもいいのかという懸念が英国と豪州をはじめ西側諸国に広がり始めている。

 次期首相候補として最有力の英国ラーブ外相は、「ウイグル自治区における中国の民族弾圧は許容範囲を超えており、人権の立場から英国は同盟国と連携してボイコットをすることは十分ありうる」と言明している。また、世界の60か国以上―300以上の人権団体が、中国の人権侵害問題に対して緊急対応をとるように国連に呼びかけ、このうち160以上の人権団体が昨年9月、IOCに人権侵害を理由に北京冬季オリンピック開催再考を求める書簡を提出している。

 そして、昨年の10月には、米国ニューヨークの国連で開かれた人権会議で、ドイツの主導により、英国や豪州、日本など39か国が中国の人権問題を批判する共同声明を発表した。豪州では昨年11月、豪州連邦議会で、北京冬季オリンピック不参加について審議、採決したが、今のところ過半数には達せず、不参加決議には至ってはいない。西側民主主義諸国の23カ国が潜在的なボイコット連合を形成する可能性があるとも指摘されている。

 2022年2月までにコロナの世界的パンデミックが終息する保証はない。IOCの最古参委員のディック・パウンド氏が、「東京五輪が中止になったら北京冬季五輪開催も困難」との見方も出し始めている。

 中国は一旦昨年の6月頃にはコロナ感染を収拾したが、昨年末から現在にかけて、北京を取り囲む位置にある河北省での感染拡大が再発生し、東北地方の黒竜江省や吉林省などでも感染拡大が起きている。今 厳しい措置で抑制に取り組んでいる。今年2月12日を中心とした「春節」での帰省や移動、とくに省を越える移動については「春節帰省自粛」の大キャンペーンを行っている最中だ。

 1月17日、"1日の全国の新規感染者"の発表では(無症状者感染陽性者は含まず)、109人。内訳は❶本土病例(市中感染)93人、❷境外病例(外国からの入国者)16人。❶は、河北省54人、吉林省30人、黒竜江省7人、北京市2人。❷は、上海2人、陝西省3人、浙江省2人、北京市1人、天津市1人、福建省1人、広東省1人、四川省1人。

 中国政府の世界一厳しい感染抑制政策をもってすれば、もし仮に、今年の夏以降に感染拡大が再び地域的に起きたとしても、1か月間ほどで抑制に成功するかと思われるので、中国国内での感染拡大による「冬季オリンピック開催」には大きな影響は絶対に及ぼさないだろうが‥。

◆-本日1月19日付(1月18日午後発売)の「東スポ」(東京スポーツ)紙と同系列の「大スポ」(大阪スポーツ)紙に極秘スクープ「組織委員会幹部が明かす"2024年スライド開催"の極秘プラン」という見出し記事が一面に大きく掲載されていた。この記事の概要は次の通りだ。

 組織委員会幹部のA氏が東スポ紙に、「プランB、Cは存在しますよ。ただ、菅氏も森氏も絶対に明かさない。公表したら大騒ぎになるからね」と明かした。同氏によれば、IOCや組織委員会内で要職を務める複数の人間が、現状を踏まえて、今、理想的打開方法と考え、言いたくても言えないのが「東京2024年開催」だという。24年予定のパリ五輪を28年へ、28年のロサンゼルス五輪を32年へ、それぞれ4年後にスライドするプランだという。

 この計画は、両五輪を取り巻く状況とも無関係ではない。前出のA氏は「今、パリ大会はコロナの影響でスポンサーがまったく集まっていない。それに準備が大幅に遅れていて、五輪どころではない。スライドは「渡りに舟」で4年後に後ろ倒しになるのは、むしろ好都合。28年のロサンゼルスなんて、もっと(コロナ)ひどい状況だから」と説明している。 

◆この記事の真偽のほどは、私には不明だが、なるほど、このスライド案は現実的になるかもしれないとは思う。前号のブログで記したジャーナリストの江川紹子氏の「どうしても五輪開催なら、パリ、ロス後の2032年が現実的」という指摘よりも国民的な支持を受けるかもしれない。江川氏もこのスライドプランの存在を知ったら、この案に賛成するのではないかと思う。

 しかし、だが、まずは今夏の開催実現への可能性を国民をあげての意欲と取り組みが必要ではないかと、私は思う。そのためには今の第三次コロナ感染拡大を抑制し、その後の感染第4次を防ぐためのさまざまな取り組みも必要になってくるだろう。もしかりに、開催中止ということになったとしても、感染の抑制、収拾はいずれにしても最重要なことなのだろうから。

 菅政権も「東京五輪今夏開催実現のための大局的な視野」をもった戦略を組み立てることが重要で、そのこともふくめて「緊急事態宣言」の実施を国民に自分の言葉で熱く語りかける必要がある。しかし、菅氏には能力的にその任にはふさわしくないという感がするのは、いまさらながらとても残念な気がする。政権のブレーンたちはいったい何をしているのだろうか。「沈みゆく泥船から降りる準備」でもしているのだろうか…。日本全体が泥船になるかもしれないという危機的状況を含んできた2021年の始まりか‥。どう推移、展開していくのだろうか。

 今の予定では、東京五輪の「国内聖火リレー」は3月25日から福島県を出発地として開始され、一路太平洋側を南に向かい沖縄に、再び北に日本海がを向い北海道へ、そして再び南下し東京へと向かう予定となっている。どうか桜の咲く季節に始まる聖火リレー開始日までに、コロナが"五輪への国民的な意識の高まり"もあり 抑制・収拾されることを祈る。「春よ、来い」である。その日には私は日本に滞在しオンライン授業を中国の学生たちに向けてしているだろうか。それとも、すでに中国に渡航して、3週間の厳重隔離を経て、大学の教室で授業をしているのだろうか。今もってどうなるのか、さまざまな不安も大きい。

◆もし、中国に2021年2月に滞在していたら、フィギア―の羽生結弦と紀平梨花の演技は見てみたい。もし、2021年7―8月に日本に滞在していたら、内村航平の演技も見て見たくなった。

 本日1月18日、通常国会が開会され、同日午後の衆参両院本会議で菅首相は施政方針演説を行った。国民の安心と希望をキーワードに掲げ、安心と希望に満ちた社会の実現を訴えた。諸政策の中でも新型コロナウイルス対策に重点を置き、「一日も早く収束させる。この闘いの最前線に立ち、難局を乗り越えていく決意だ」とし、「新型コロナ対策措置法改正案」について、「罰則や支援などに関して規定し」、感染抑制の実効性を高めたいと説明、「ステージ4(感染爆発)」を早期に脱却したいと訴えた。ワクチンは、「できる限り2月下旬までには接種を開始できるよう準備する」と説明。

 夏の東京五輪は、「人類が新型コロナに打ち勝った証し」として「世界に希望と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進める」と語った。菅首相のスピーチ能力がもっと上がれば(現在の50点➡せめて80点くらいまでは)いいのだが‥。

 

 

 

 


東京五輪中止となれば、「22年北京冬季五輪」は人類がコロナ克服と中国政府アピール大会になるが❶

2021-01-18 08:47:48 | 滞在記

 開催予定の7月まであと7カ月後に迫った「2021東京オリンピック」。昨年11月にはIOCのバッハ会長が来日し、「東京五輪は人間がウイルスを打ち負かした証拠になる」と、開催に向けて表明していた。新型コロナウイルスの感染拡大・世界的パンデミックも2021年の3月頃には開発されたコロナワクチンが普及し始め、感染を抑制し始めるとの観測もみられていた時期だった。

 が、しかし、10月~11月頃には一息ついていた世界のパンデミックは、2020年の11月下旬ころから再び猛威をふるい始め、1日に何万人もの感染拡大、再びのロックダウンを余儀なくされている国もめずらしくない。とりわけ、感染力が高くなっている変異種コロナの出現は世界の人々を脅えさせてもいる。

 オリンピック開催予定の日本もしかり。昨年の春以降2度目の緊急事態宣言がすでに11都府県に出されたが、感染抑制の見通しがもちにくくなってきている現状がある。1月中には1日1万人の新規感染者増もありうるかもしれない。変異種の出現により開発されているワクチンの有効性にも不安が持たれ始めている。

 東京五輪のメイン会場となる新国立競技場も完成しこけら落としのスポーツイベントも観客を制限して開催された。なかなか素晴らしい競技場だ。

 世界のメディアが東京五輪・パラリンピックの今夏開催に関する日本の世論調査の結果を大きく報じた。共同通信社が1月9日・10日に全国電話調査した結果では、「中止すべきだ」の35.3%と「再延期すべきだ」の44.8%を併せると、今夏開催への反対意見は80.1%。昨年12月の前回調査の同61.2%から激増した。今夏開催すべきだは16%にすぎなかった。この調査結果をどう受け止めるべきなのだろうか?おそらくだが、この80.1%の意見の人々は、「もし可能ならば開催できたら嬉しいが‥しかし、このコロナ禍の現状では‥」という前置きの気持ちはあるのではと推測する。

 昨年の12月下旬頃、自民党の二階幹事長は五輪開催に強い意欲を示し、「開催しないお考えを聞いてみたいぐらいだ」と国民を見下すように言い放ち、森喜朗五輪組織委員会会長は1月12日、「不安?まったくありません。日程・会場は全て決まっていますから淡々と予定通りすすめていくだけです。再延期は絶対不可能だと考えています」と改めて意欲を示していたが‥。そして、菅首相は年頭に「五輪は必ずやり切る」と断言していた。

 菅首相の淡々訥々(たんたんとつとつ)と語る断言もあまり説得力もなく国民の心にまったく届いていない空疎感があるが、極めつけにまずいのは二階幹事長の世間離れしているというか、国民の気持ちにまったく寄り添わず、配慮していないというか、そんな国政最大実力者の何様?政治姿勢だった。森氏の言葉も国民意識とかなり離れている感があるが‥。二階・菅が日本政界のトップという現状には強い限界を感じる。平時ならそれでも務まるが‥‥。

 今週発売の週刊ポストは、この五輪開催問題の特集記事を掲載していた。「二階は"開催しないお考えを聞きたいくらいだ"と宣(のたま)うが、国民が知りたいのは"その逆"だ―」「"それでも東京五輪やれる"という人に、その"根拠"を聞いてみた」との見出し記事。ウイルス専門家の京都大学ウイルス・再生科学研究所准教授の宮沢孝幸氏は、五輪開催に反対する声が多いのは、コロナ感染のさらなる拡大を懸念するからだろうと前置きしながら、「東京五輪中止はナンセンス」と断言し、その根拠をインタビューで述べている。記事を読み、それなりの説得力をもっていた。感染症を専門とする愛知医科大学の後藤礼司氏は、開催の意志はあるのに準備を尽くしていない政権への批判が五輪反対論につながっていますと前置きし、「感染リスクの徹底管理で開催は可能」と主張している。

 第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏や自民党都連最高顧問顧問の深谷隆司氏、元NHKアナウンサーの刈屋富士夫氏らがそれぞれの立場から、「この夏の五輪開催実現」への見解と根拠を示している。この夏の開催中止決定の場合は、さまざまな面で日本が、日本人が失うものの大きさは これまたはかりしれないものはあるだろう。「喪失感」である。「大事なのは開催するためにどうやってコロナを抑え込むか、全身全霊をかけて取り組む姿勢を世界に見せることです」との深谷氏の言葉も印象的な記事だった。

 また、東京五輪・パラリンピックで東京・晴海の選手村村長に就任した川渕三郎氏(元日本サッカー協会会長)は、昨年12月、共同通信のインタービューで、新型コロナウイルスは厳しい感染状況が続くが、大会で徹底した感染対策が成功すれば、日本から世界に先例を示すことができると強調。未曾有のコロナ禍に対し、逆転の発想で「五倫を開催する価値は上がった。絶対に開催した方がいい」と訴え、「ものすごい大仕事だ。うまく成功したら、世界中でコロナを克服した最初の大規模イベントになる」と語った。

 そんな「五輪開催の是非」が間近に迫りつつある中、河野太郎行革担当相が海外メディア主催の会合で語った発言が海外で話題になっている。河野氏は東京五輪について、「行われない可能性も含めて先行き不透明だ」としつつ、「開催に最善を尽くす」という考えを示したと国内では報じられているが、何の変哲もないこの発言。日本ではあまり注目されていないようだが、「目のつけどころ」が違う海外メディアは放っておかなかった。

 (オリンピック開催の判断は)「どちらに転ぶかわからない」と日本の大臣。(ロイター通信) と発言の前半が切り取られたフォーカス記事となった。「日本の大臣が、オリンピック開催に疑問をなげかけている」との記事内容で全世界に広まった。日本政府の閣僚発言として、時期的にも ちょっと気をつけて発言しなければならないのだが、「河野がやらかしてしまった」感はゆがめない。河野氏にはちよっと気の毒だが、次期首相候補としてはかなり何かが決定的に足りない人物だという感は、この半年間の彼の言動をみていて思ったりもする。とりわけ韓国ではこのフォーカス記事が「それ、みたことか!日本!」と連日大きく取り上げられていた。

 米国の有力紙NYタイムズは1月15日、今夏の東京五輪について第二次世界大戦後、初めて中止に追い込まれる可能性を報じた。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により「計画が日に日に不確実性を増している」「IOCの間では安全な大会を開催するのが不可能かもしれないと認め始めている」と指摘した。

 東京五輪開催を疑問視する声が海外でも目立ち始めたが、その疑問視の要因が少し変わってきているようだ。これまでは世界的なコロナの感染拡大や競技選考会の遅れなどが要因だったが、「そもそも日本は大丈夫なのか?」と疑問視する声が大きくなっていることだ。

 その一つ目の要因は、日本国内での緊急事態宣言の再発令。これまで、欧米諸国と比較して「比較的感染が抑えられている」と見られていた日本だが、「東京でのコロナの急増で、開催への疑念が増している」「緊急事態宣言対象エリアは徐々に拡大されて、日本の人口の半分以上が対象になっている」など。二つ目の要因は「世論調査」。この世論調査の結果について、「日本の国民は五輪に冷めている」と報じている。

  Yahoo!Japanのインターネットアンケート調査(1月17日時点―約21万人あまりが投票)でも、①「中止になるだろう」が86.6%となっている。②「再び延期になるだろう」7.7%、③「開催すると思う」5.0%、④「分からない」0.7%。アンケートの設問が国民の意識を深く反映していないのは問題だ。だが、このような国民意識のままでいいのだろうか?  何かが現在の日本人の意識に欠落してしまっているように思える。

  ジャーナリストの江川紹子氏が、「どうしても五輪開催なら、パリ・ロス後の2032年が現実的」と1月11日のツィツターに新規投稿していた。彼女の考えも大事なことを置き忘れているように思える。それは何なのか。

 昨年の11月にコロナ禍下で初めて日本国内(東京)で行われた国際大会「国際親善大会」(国際体操連盟主催)。アメリカ・ロシア・中国、そして日本の体操選手が参加した。この大会で総合優勝をした内村航平は、閉会セレモニーでスピーチした。東京五輪と言えば、国民の関心は「開催か中止か」だが、その議論の中で置き去りにされた大事なことを訴えたのが、内村のスピーチだった。

 「国民の皆さんが(一部ニュースによると)五輪は(開催)できないんじゃないかという気持ちが80%を超えている、というのは、少し残念に思っています。『できない』じゃなくて『どうやったらできるのか』をみんなで考えて、どうにかできるように、そういう方向に考えてほしいと思います。非常に大変なことであるというのは承知の上で言っていますが、国民の皆さんとアスリートが、同じ気持ちでないと、大会はできないのかなあと思う。どうにかできる、なんとかできる(という)やり方は必ずあると思うので、どうか『できない』と思わないでほしいと思います。」

 "五輪開催諦めないで 心打つ内村航平の言葉 「できない」ではなく「やる」方法の模索"をという彼の国民へのメッセージを日本人は受け止める必要が今あるのではないかと 私は強く思う。「今年夏の東京五輪、ぜひ、開催の努力を国民一丸となって」できないものだろうか。

 東京五輪中止となったら、「人類がコロナウイルスに打ち勝った(我が国を先頭に)」と、「2022年北京冬季五輪」(あと1年後の2月)で高らかに宣言するのは、中国共産党総書記・中国国家主席の習近平氏となる。歴史のなんたる皮肉・パロディーか。

   1月17日、加藤官房長官が、「開催に向け、感染対策もふくめて 準備にとりくんでいる」と記者会見で報告と報道されていた。

 「ガンバレ! 日本」だ。