彦四郎の中国生活

中国滞在記

台風10号(珊珊・サンサン)襲来、明日8月30日に中国に渡航できるだろうか〜熱波襲来・亜熱帯化—NHKドキュメント番組「一億特攻」のことなど

2024-08-29 13:00:39 | 滞在記

 この1週間ほど、台風10号(珊珊・サンサン)の、日々の進路状況の変化に翻弄され続けている。明日30日(金)の午後13:20分発の中国・厦門航空便(関西空港➡中国・福建省福州空港)で中国に戻る予定をしているからだ。大学の新学期(前期)は9月2日(月)から始まり、さっそく、この日の1時間目〜4時間目には担当する4回生の「日本文学作品選読」がある。

 8月22日・23日頃の台風10号進路予想では、日本の四国から関東にかけて上陸し27日頃までには北海道辺りに台風が進むとの予報だった。ところがこの台風は、太平洋上をさらに西へ西へと進み、鹿児島の奄美諸島へと進路をとりはじめ、26日の早朝の台風進路予想では、日本列島を縦断し30日(金)に関西地方が台風の中心地となり、暴風雨圏内になるのとの予報が発表された。30日の関西空港発の飛行機は欠航か‥‥と、ショックを受ける。

 8月28日付朝日新聞には、「鈍足台風 雨長引く恐れ 自転車並み速度 明日にも九州上陸」の見出し記事。「強い 遅い 横断」の危険な三点セットのこの台風。昨日の28日から今朝29日にかけての新たな台風進路予想では、29日の朝に九州の熊本県付近に上陸、九州を横断して、30日の午後3時頃には、台風の中心は四国と九州の間の瀬戸内海に到達との予想。関西国際空港に最も台風の影響が出て暴風雨圏内になるのは、30日の夕方以降から31日(土)となった。はたして、30日(金)の午後1時過ぎの厦門航空便は飛ぶだろうか。まだ、わからない‥。

 この10年間余り、台風銀座の東シナ海を渡航するための飛行機便は、6月下旬から10月上旬までは、台風発生に翻弄される。特にこの2023年以降は台風の発生が増え、これまであまり向かわなかった中国福建省や広東省などに上陸する台風も激増している。日本に向かっても中国南部に台風が向かっても、飛行機便の欠航が出る。地球温暖化による海面気温上昇と高温化、台風の激増などを実感する‥。

 この7月、8月の日本での夏休み滞在中にテレビ視聴したドキュメンタリー番組の数々の中で、最も心に残ったものは‥。

 それは8月のお盆過ぎの17日のNHKスペシャル「一億特攻への道〜隊員4000人、生と死の記録〜」だった。このドキュメンタリー番組について、8月24日の朝日新聞の「テレビ時評」には次のような時評が掲載されていた。なかなか優れたテレビ時評だと思った。

—テレビ時評 国民も後押しした特攻 西森路代(ライター)—「NHKでは、今年も8月にいくつもの戦争に関するドキュメンタリーが放送された。中でも印象に残ったのは"NHKスペシャル 一億特攻への道"であった。特攻は1944年10月に始まり、当初は"統率の外道"と言われ、一時的なものと思われていたが、いつしか国民も後押しするようになり、"一億特攻"という言葉が叫ばれるようになる。

 番組を見ていて驚いたのは、特攻隊員には、二十歳に満たない予科練出身の青年たちも少なくなかったことで、しかも、戦争に対する士気を高めるために、彼らは神のごとく崇められていたという。ある特攻隊員は、当時の婦人雑誌のグラビアページに写真付きで取り上げられていたというし、またある特攻隊員の葬式には、まるで有名タレントに人々が群がるように、人々がひっきりなしに弔問に訪れ、家族は落ち込む暇もなかったと語る。‥‥‥‥‥。

 ナレーションは番組ディレクターが担当。彼は何年にもわたつて特攻隊員の家族のもとを訪れ、膨大な資料にあたっていた。この執念をも感じさせる番組から、誤った"熱狂"を繰り返えさせてはいけないという強い思いが伝わってきた。」

 8月下旬の「NNNドキュメント24」では、「戦前リアル」(番組名)が放送された。台湾有事の危機もあるなかでの東アジア情勢。その台湾有事という戦争が起きる可能性のある前の現在、それを「戦前リアル」と題した番組だった。

 中国が台湾に軍事的侵攻をもし行った場合(台湾有事)、日本にある米軍基地(沖縄県・嘉手納、山口県岩国、東京都横田、青森県三沢)には、中国からのミサイル攻撃がされると想定される。(米国シンクタンク「CSIS」戦略国際間問題研究所の報告より) この番組はそのことを紹介しながら、沖縄八重山諸島、沖縄嘉手納や岩国の市民たちに取材した番組であった。

 中国の最近の経済不況・雇用問題の深刻さの情況、それによる国民の将来への不安・不満の増大。これををそらすための対外的ナショナリズムのさらなる"高揚"政策をとれば、台湾有事ということが、より現実になる可能性もある東アジア情勢かと危惧もする。

■この8月下旬の朝日新聞記事には、「7月の訪日客329万人—単月で最多—最速で累計(1月~7月)2千万人突破」の見出し記事が掲載されていた。7月の訪日観光客で、最も多い順に、①中国77万6500人、②韓国75万7700人、③台湾57万1700人、④香港27万9100人、⑤米国25万1200人‥。⑥その他。①③④の中華圏からは、162万7300人もが日本を訪れたことになる。これは全体の約50%にあたる。

 7月の京都新聞には京都府下の2023年5月時点での府下の外国人留学生の動向についての記事が掲載されていた。それによると、「過去最高の府下・外国人留学生数1万7743人」で、国別内訳ベスト5では、①中国9062人、②韓国1653人、③ネパール1637人、④台湾638人、⑤ベトナム411人となっていた。①と②の中華圏では9700人となり、全体の約55%を占める。

 全国的には、東京都在住の外国人留学生が最も多く、次いで大阪府、そして京都府となっている。(他に兵庫県、福岡県なども多い‥。) 全体的には2023年5月時点で約27万人の外国人留学生数。(大学院・大学・日本語学校・専門学校)  大学別の外国人留学生数トップ5は、①早稲田大学5560人、②東京大学4658人、立命館大学3027人、④京都大学2844人、⑤大阪大学2712人など‥。

 同じく8月下旬のNHKスペシャル「熱波襲来〜いのち・暮らしの危機〜」。地球温暖化の影響が最も強く出ているのがこの日本列島だという。(他に大西洋北部の米国北部・カナダ東海岸) 世界の中でも特に日本近海は海面気温が急上昇していて、6月から9月の四カ月間、日本列島に熱波を襲来させている。

 日本の2024年に至るまでの120年間の気温変化もデータとして出された。いわゆる日本列島の「亜熱帯化」が現実化していると番組では語られる。私がこの10年間余り暮らす中国南部福建省福州市は亜熱帯気候だ。そして、福州市は中国の省都の中でも最も暑くて湿気の多い省都として有名でもある。5月上旬から10月下旬までは、気温は30℃以上の真夏日が続く。特に、7月・8月は35℃~40℃の日々が連日続く。

 今年の7月から2カ月間余り日本に滞在し、その猛暑には、やはり驚きもした。今年の7月・8月に限って言えば、亜熱帯都市の福州といい勝負の気温と湿気。この「日本列島の亜熱帯化」という言葉に現実味を感じる。

■この8月に、映画「クライマーズ ハイ」(2008年公開)をテレビで視聴した。この映画(堤真一・堺雅人・尾野真千子など出演)は、1985年8月12日午後6時56分に起きた日航ジャンボジェット機123便(乗客・乗員524名)が群馬県上野村の御巣鷹山の尾根に墜落した世界最大の飛行機事故を背景にした映画。地元・群馬県の有力地方紙「北関東新聞社」の新聞記者たち群像を描いたこの映画の中で、「ええっ、今日の最高気温が31.5℃だって! すごい気温だ!‥」という一場面があった。

 40年前の1985年は、31.5℃という最高気温は、新聞の一面に掲載されるほどの気温だったんだと、気づかされる。昨年、今年はそれを10℃も上回る40℃超えとなって新聞の記事に大きく掲載されているのか‥と、思う。

 『老いの深み』(中公新書・黒井千次著)を2~3日で読み終えた。本書は読売新聞夕刊連載(月に1度)された記事を書籍化したものだった。(2019年5月~2023年12月まで)  作家の黒井さんが、70歳代の時の記事は『老いのかたち』、70歳代後半から80歳代前半になってから『老いの味わい』をそれぞれ中公新書として出版している。読み終えて、それほど深みのある本の内容ではなかった。(※夕刊連載記事だからしかたないか‥。でも90歳になっても書き続けているのはなかなかいいなあ‥。)

 『アメリカの罠—トランプ2.0の衝撃』(文春新書)は最近出版された書籍。今年の11月のアメリカ大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ候補と民主党のカマラ・ハリス候補との選挙という構図となった。このアメリカ大統領選挙でのトランプ候補の当選が現実味を帯びている。「トランプ候補が再選したら、世界はどうなるのか?」数々の質問に8人の世界の著名識者たちが答える書籍となっている。イスラエル人のユヴァル・ノア・ハラリも久々に登場している。まだ、読み始めたばかりなので、この9月に中国のアパートなどでじっくりと一人一人の見解を読むことにしたい。

 日本では自由民主党(自民党)の総裁選挙がこの9月中に行われ、選ばれた者が日本国の首相となる。小泉進次郎、石破茂氏が国民の「次期首相にふさわしい人」として世論調査では拮抗している。続いて河野太郎氏。かりに第一次投票で、小泉氏と石破氏が1位から2位となった場合、第二次投票で決着がつく。

 どちらが首相にふさわしいか‥。私から見たら小泉進次郎氏が、外交の場で各国首脳と会談している姿などは想像できない。彼は、環境相の時には、世界的会議で的外れで浅はかな発言を繰り返すなど、世界から嘲笑された。人物的にも政治政策内容でもなにもない人に思えるからだ。これまでにやったのはコンビニやスーパーでのレジ袋有料化だけ。こんな人が日本の首相になったら、日本という国は、世界から小ばかにされ低く評価されるだろう…。父の小泉純一郎氏が首相時代にやったことは、労働者派遣法の大改悪を行い、非正規労働者を大量に生み出したことだった。親子二代にわたり、日本人にとっては受難となるのだが‥。

 アメリカのトランプ氏、日本の小泉進次郎氏、タイプは違うが、共通していることは政治的哲学性のない「浅はかさ」かとも思う。

 私の好きなドラマの一つに「信濃のコロンボ 事件ファイル」という刑事ドラマがある。長野県警の刑事・竹村岩男を演じる中村梅雀。その妻を演じる原日出子。最近視聴した「長野のコロンボ 事件ファイル⑭—死あわせなカップル」では、中村梅雀がネットで知り合い自殺未遂を起こした若い男女に、次のように話す言葉がとても良かった。

—「全力をつくして生きなさい。特に何をするかは問題ではない。ただ自分の人生と言えるものを持ちなさい」‥。これは俺の大好きな言葉だ。人生というものは、いつも光(ひかり)輝いているわけではない。つまらないこと、しゃくにさわること、いやなこと、悲しいことにあふれている。でも、一日一日、その一つ一つを乗り越えていくことで、満足感が得られる。その積み重ねなんだよ‥。―

 昨日、妻から、あるネットサイト記事を見せられた。嬉しい記事内容だった。次のようなネット・アプリ記事。

—美山蓮如滝ブルーベリー園 美山「農」的生活198号「ブルーベリーを摘むためにリハビリをがんばる」―

 昨年、元気に娘さんとブルーベリーを摘みにこられましたが、最近、大腿骨を骨折され、ブルーベリー摘みはもう難しいと家族は思っていましたが、「ブルーベリーを摘みたい」という一心でリハビリをがんばられ、見事回復。何と御年100歳。今年もお元気なお姿が見られて嬉しかったです。娘さんがお母さんに寄り添い、共に人生を楽しむ。同い年の父が、昨年亡くなっただけに、うらやましかったです。

 この娘さんとは、私の妻のこと。100歳の義母はこの5月上旬に自宅(京都府京北町)の家先で転んで骨折。入院して手術を受け成功した。2カ月ほど入院しながらリハビリ、退院後も自宅から定期的に近く医療関係で定期的にリハビリを続けている。8月下旬、となり町の美山町のブルーベリー園に妻と一緒に行った。この美山蓮如滝ブルーベリー園は、美山かやぶきの里からほど近いところにあるようだ。

 

 


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