彦四郎の中国生活

中国滞在記

静かな年の暮れ―京都も例年になく早い初雪、京都に冬来たるも

2021-01-20 21:51:02 | 滞在記

 12月に入り、極東ロシアのシベリアから渡り鳥のユリカモメが京都鴨川にやってきた。夕方の日暮れがせまってくると東山三十六峰を越えて、すみかのある琵琶湖湖岸の葦原(あしはら)に戻って眠ることとなるようだ。京の台所「錦市場」に漬物や佃煮などを買いに行く。12月上旬頃は、まだ人が多かったが‥。

 錦市場から三条通りに行く。新しく開店したらしい オシャレっぽい中華料理店があった。店名は「好(hao)」。「夜市的点心酒場」とも書かれていた。台湾系の店のようだが、なぜかあの毛沢東のポスターが店内などに貼られていた。

 12月に入ると京都南座の正面に歌舞伎役者たちの名前が書かれた板が架けられる。歌舞伎の新春「顔見世」の役者たちの名前が独特の書体で書かれている。

 新型コロナウイルスの感染第一次拡大により、昨年4月には全国的に「非常事態宣言」が1カ月間出された。これにともない、行きつけだった祇園石畳小路の白川沿いにある「侘助(わびすけ)」(小さな赤提灯居酒屋)は、「しばらくの間休店します」との貼り紙が‥。それからなかなか開店されなかったが、10月下旬頃に「12月8日から再開します」とのハガキが自宅に送られてきた。

 12月18日の夕方、久しぶりに一人でふらりと店に行き、おいしいおばんざいを注文し、何種類かの冷酒(日本酒)をかなり飲んで酩酊。客はこの日、私の他に1組の男性二人連れだけだった。ほぼ3カ月ぶりの居酒屋だった。京都府も1月13日に再び「緊急事態宣言」が出され、酒類提供は午後7時まで、営業は8時までとなったが、店は今やっているだろうか…。

 12月に日本にいるのは8年ぶりとなる。京都の自宅の玄関横にあるモミジの紅葉が12月20日ころまで美しかった。3年ほど前に、大きくなったこのモミジの木の枝ゝをバッサリと業者に頼んで切ったのだが、このため、樹勢がついてより美しい紅葉になったようだ。山に行って椎の木やドングリの木の紅葉した枯れ木葉を、玄関先に生けた。

 週に1~2回、オンライン授業のない曜日を中心に銀閣寺近く吉田山麓にある娘の家に、孫たちの子守支援に数時間行く。12月に入り、玄関先の赤と黄の南天の樹木が並び美しい。三番目の子は昨年11月下旬に生まれたばかりの初めての男の子。孫たちの元気な姿はwithコロナの世の中の中でも「未来」というものを感じる。

 12月23日(水)の午後、立命館大学の図書館に行く。ドウダンツツジの真っ赤な紅葉が美しかった。コロナ禍でオンライン授業の割合が大学では全国的に多く、学生たちの姿はやはり少なかった。大学構内の看板には、「協定校主催 オンライン留学―春休み2〜3月期間中 オンライン留学してみませんか」と書かれ、カナダ、イギリス、マレーシァ、韓国、台湾、アメリカ、スペインなどの大学名が書かれている。

 「国際社会で人材養成 将来、外務省など国際社会で活躍する難関進路を目指したい方へゼミ生募集―プログラムスーパーアドバイザー・宮家邦彦客員教授」の立て看板も。立命館大学言語情報科学研究科(大学院)の中国武漢市からの留学生の呉優君と会い、中国の私のアパートの家賃4カ月分の携帯電話からの支払い操作を手伝ってもらった。

 12月19日(土)、京都駅3階の喫茶店で、中国新疆ウイグル自治区の省都・ウルムチの新疆師範大学の教員(籍がある)で、この1年間あまり私と同じようにコロナ禍問題で日本に滞在している亀田さんと久しぶりに会い、さまざまな話や情報交換などをして過ごした。亀田さんの知り合いの藤田さんも来ていて、私とは初対面だが、いろいろな話ができた。藤田さんは20年間あまり中国の大学で教員をやっている人だった。年齢は現在80歳と驚かされる。中国陝西省の省都・西安市の大学で「客座教授(客員教授)」をしているが、藤田さんもコロナ問題で日本滞在中だ。

 12月下旬の年末、京都市内の丸善書店に行った帰りの日暮れ、「先斗町」の通りを歩いてみた。店の灯りや提灯はついている店は多いが、人通りはわずかなものだった。冬の京都の寒さ、コロナの第3次感染爆発により、飲食店の経営の厳しさを感じる光景だった。

 この冬は京都でも雪が降るのが例年よりかなり早かったようだ。もう12月中旬には京都市内でけっこうな積雪があった。「銀閣寺の雪景色、銀閣寺境内から白く雪が積もった吉田山や山麓の娘の家付近も見える」写真が新聞に掲載されていた。12月31日の早朝にもかなりの積雪が京都市内にあった。改修がこの1週間前ほどに終わった金閣寺の雪景色を撮影しに多くの人が、降雪の中、開門の午前9時を待つ長蛇の列や金閣寺の雪景色が新聞に掲載されていた。

 残念ながら、12月中旬の積雪の日も、12月31日の積雪の日も、大学のオンライン授業が午前中にある日だったため、銀閣寺や金閣寺に写真を撮りにはいけなかった。

 毎月、高齢の一人暮らしの母のようすをみるために、福井県の実家に行っているが。今年は12月中旬から北陸地方全域はかなり積雪が例年より早く始まり、12月中旬に行く予定だった車での帰省はできなくなってしまった。福井県と滋賀県の県境の峠道は例年積雪が多く、ここをノーマルタイヤでは越えられないからだ。この12月、毎週のようにこの峠付近も積雪が繰り返された。1月1日の元旦の日には帰省しようと思ったのだが‥。

 10年前の2011年の1月か2月、京都市内にかなりの積雪があった日があった。早朝に自宅を出て何かの用事で立命館大学に向かった。この日は土曜日だったためか、まだ人の影はなく、大学構内一面を覆いつくす新雪がしんしんと降り積もり真っ白な雪景色だった。

 立命館大学から徒歩7〜8分のところにある金閣寺に行くと、これまた見事な「水墨の世界」だった。室町時代の画家「雪舟」作の水墨画の景色だった。ベトナムかどこかの国の東南アジア系の若い男女たち4人が早朝の金閣寺を訪れていた。寒さに打ち震えていたが、雪景色に感動ひとしおという感のようすだった。

 静かな年の暮れの京都となった。