中国のインターネットサイトには、様々な「結婚サイト」がある。20代・30代だけでなく40才代〜60才の年齢別の「結婚や付き合いのサイト」だ。そして、「国際結婚」のサイトもある。このようなサイトは近年、盛んになる一方だ。これは、かって日本でも2000年代に入ってから「農村・地方への嫁のきてがない30代後半から40才代・50才代前半までの未婚男性」の花嫁募集に関して多くあったものとよく似たものだが。(日本では主にその対象女性は、ロシア・中国・フィリピン女性が多かった。)
2010年にGDPで日本を越えて世界第二となったころから、中国でもそのような国際結婚サイトが開設され始めてきた。それは、日本のように地方への嫁のきてがなかなかない事情に加えて、中国独自の深刻な事情も二つある。それは、「①中国の女性と結婚する場合、結納金(女性の親に支払う)や新居や車(住居や車の購入など)などの準備が半端な金額ではない。②40年間にわたる一人っ子政策により、国際的にも超いびつな男女比率、女性の数が少ない。」という問題だ。
中国のインターネットサイトには、さまざまな国の女性についての記事も多い。例えば、「世界で人の多い国ベスト4」などなど。このようなサイト記事では、「1位ウクライナ、2位ロシア、3位ウルグアイ‥‥」などとなっている。中国はとても広大な国なので、さまざまな国と国境を接している。経済的にも金持ちも増えてきた中国だが、最近増えてきているのが、ロシア人やウクライナ人、そして、東南アジア諸国の女性との国際結婚だ。ウクライナやロシア人との結婚などは「女神を手に入れた」と一種のステータスとして羨ましがられる。(中国東北部[遼寧省・吉林省・黒竜江省]の三省はロシアとのつながりが近現代になってつよい)
現代中国では、結婚適齢期の男性は女性より約3400万人多い。(2018年統計) その結果、中国人女性との結婚が望めない男性が数千万人以上に達しているといわれている。現代中国人女性の「花婿候補」の基本3条件は、"新しい持ち家""自家用車""高収入"の3つだ。それらの購入は両親が全面的に協力・支援するが、結納金も含めて、どんなに最低でも 結婚に際して当座 100万元ほど(約1600万円)ほどが必要となる。日本との金銭価値は3倍ほど違うから、日本円にして約5000万円ほどが必要となる。息子や親にとって、それでもものすごい金額だ。(住宅購入はローンを組むことが多い) 都市部と地方の経済格差が今も大きい中国では、とりわけ地方の結婚問題は深刻な社会問題の一つとなっている。セックスドールなどの販売数がとても多いのも中国だ。
最近では経済発展に伴う女性の地位向上による、高学歴で自尊心・自己中心性が高い中国人女性を嫌い、従順な東南アジア女性を好む都市部の中国人男性も増えてきたという。東南アジア女性は、「中国人女性に比べ、お金や権威などに執着心が少ない」と思われている。このため、近年は、ベトナム・カンボジア・タイ・ミャンマー・ラオスなどへの「お見合いツアー」などが盛んで、1週間のお見合いツアー日程で、200人ほどの花嫁候補との集団見合いが可能とも言われ、気に入れば即結婚も可能という。中国人女性との結婚に必要な金銭もあまり必要がない。
中国のネットサイトには、「東南アジア妻5万元(約80万円)」「3カ月以内の結婚可。原則、処女。1年以内に嫁が逃亡した場合、別の嫁紹介などの3大保証付き」などど、公然と人身売買の広告が掲載されているものもあるようだ。中国と国境を接しているベトナムやラオスやミャンマーなどから誘拐されて中国に拉致されてきた女性も多いとされるが、最も多い手口は「仲介業者から高額の給料が期待できると勧誘され、出稼ぎと偽って中国に連れてこられた女性達」が、この花嫁の候補(中国でお見合いさせられる)として、お金で仲介・売買されるようなケースが最も多いとされる。
今年の5月、中国雲南省昆明の公安局は、雲南省とベトナム国境でベトナム人女性を拉致し、中国国内への人身売買を行ってきた中国人容疑者23人を逮捕したという報道がされていた。国境地帯を経由して、少なくても11人のベトナム女性を扱った容疑。このような、警察・公安の動きはこれまではとても少なかったようだ。巨大な花嫁産業は、賄賂など、中国地方当局の腐敗、汚職の温床の一つとなってきていたからである。
いずれにしても、中国人男性にとって、「結婚問題」というのは、たいへんな問題なのである。