彦四郎の中国生活

中国滞在記

端午節(端午の節句)―粽(ちまき)と龍船、中華龍船全国大会(ドラゴンボートレース)が福建省福州で開催

2019-06-08 14:26:29 | 滞在記

 今年の「端午節(端午の節句)旧暦5月5日」は、中国では6月7日(金)。中国の端午節は年によって変動する。昨年は6月18日、一昨年は5月30日だった。なぜこんなに日が違うのか、なにかの理由があるのだろうが、私にはまだわからない。中国では、春節、清明節、そしてこの端午節が三大伝統節日であり国民の祭日となる。そして、その年の伝統節の日程を決定するのは中国政府である。端午節は古来から漢民族の伝統行事だったので、中国の中部・西部・南部では地方・地区・地域ごとに盛大に祝われる。

 龍船(ドラゴンボート)の運航パレードやレースなどが行われるのがこの端午節。地方では地区・村対抗のレースが行われるので、この行事は世代間にわたっての結束を確かめ合うものともなっている。私が暮らす福州の閩候地区では、今もこの龍船を作る里として知られているようで、5月中旬ころの中国のインターネット記事で紹介されていた。

 中国南部の広東省のある地区では、毎年使う龍船を、川底の泥の中に埋めるようだ。こうすると空気とふれなくなり、船の材料である木が朽ちずに良好に保存され、長い年月にわたって使えるということのようだ。上記の写真の龍船は、こうして 最も古いものは船齢約400年間にわたって伝わっているものもあるらしい。子供たち用の船もあり、小さい彼らも子供の頃から船をこぐ練習をしていた。

 端午節の時には、村人こぞって料理を作り、みんなで祝う。「子豚の丸焼き」も饗せられるようだ。フィリピンのレイテ島の村に3回にわたって滞在したことがある。この村のお祝いにも、豚の丸焼きが饗せられる。(※「レチョン」と呼ばれる。) この料理は 特にパリパリした皮の部分が最もおいしい。中国南部とフィリピンの食文化には共通もあるようだ。

 中国浙江省では、端午節には「香り袋」を女性が身に着ける習慣がある。蒸し暑い季節になると、細菌が繁殖しやすくなり、蚊や虫も出て来るため、香り袋は邪気を払い、殺菌効果もあるとして慣習として好まれてきているようだ。香り袋に入れられる植物は次のようなものだ。茉莉花(ジャスミン花)、冰片(竜脳)、浮萍(浮草)、雄黄(雄黄石)、丁香花(ライラック花)、艾葉(よもぎ葉)など。

 そして、端午節といえば、各家庭で「粽(ちまき)」を作り、家族のみんなで食する。(※春節では各家庭で餃子を作る。) この粽は日本の粽とはぜんぜん違う。笹の葉でくるむのは共通しているが、中国の粽は、「もち米に味をつけて炊き、日本の三角おにぎりのような形を作り、その中にさまざまな具材をいれる」ものだ。それを何重にも笹の葉で包む。具材は家庭や地方によって違うが、例えば「豚肉や棗(なつめ)や豆」などだ。この粽は日本人も とても美味しく食べられる。この粽は、中国の歴史上のある国の愛国詩人として有名な「屈原(くつげん)」の死にに由来しているとされる。

 5月20日ころから、閩江大学と隣接している「中美村」という村でも、龍船の練習が始まっていた。6月7日に近隣の村々が集まってパレードかレースをするのかなと思っていた。ところが、6月3日(月)、午後からの授業があるので昼過ぎにバスで大学の南門まで向かっていたら、中美村の近くまで来てバスが少しずつしか動かなくなってしまった。

 雨が降っていたが、この日がこの地区の「端午節」だったようで、赤い提灯やテントがいくつも並び、花火や爆竹が行われていた。バスの先を、龍船がゆっくりと道路を移動していった。国の決めた節日に関係なく、自分たちの決めている日に端午節を祝う地区もけっこう多いのかもしれない。

 中国では端午節にあわせて、「中華龍船競技全国大会」というものがあり、中国全土の各地の代表チームが参加して入賞を競う大会が開催されている。今年の競技会場は福建省・福州市だった。端午節前日の6月6日に、この大会の予選競技が行われた。中国中央テレビ局(中国央電視局CCTV)がインターネット配信をしていたので携帯電話で視聴できた。

 競技は❶100m、❷200m、❸500mの部があり、それぞれ、男子の部と女子の部があった。そして、6月7日には予選を勝ち抜いたチームによる準々決勝や準決勝、そして決勝が行われたようだ。(※会場は、福州市倉山区にある国際交流センター付近の川[閩江の支流])

 中国での侘しい一人暮らし外国人の私には、粽は少し縁が薄いものだが、今年は粽を食べられた。閩江大学の同僚中国人教員の何先生が「これ私の一族でたくさんで作ったので食べてください」と大学で渡してくれた。6個あったので、6月6日と7日の二日間で食べた。周りの何重もの笹の葉は保存をきかせるためか油が塗られているので、食べる時は手は油まみれになったが、なかなか美味しかった。

 福建師範大学の元同僚教員の倪先生にも粽をいただいた。これは、スーパーなどで売っている粽のようで、冷凍してあった。「食べる時はお湯のなかで袋ごと温めて、そのご開封として食べてください」とのことだった。