彦四郎の中国生活

中国滞在記

日本のTV❶—「おしん」小林綾子ロス、そして田中裕子へ―日中共同制作「蒼穹の昴」と田中裕子

2019-06-04 22:21:28 | 滞在記

 2013年9月に中国に初めて赴任した頃、赴任生活期間の目標は3年から最長でも5年間だった。それが今、6年間が経過し9月からは7年目に入ろうとしている。2015年の11月頃に、ある一人の学生が「先生、日本のテレビ放送がリアルタイムで視聴できるようにしてあげますよ」とアパートに来てくれて、パソコンを操作。なんと 日本の「地上波」だけでなく「BS」「CS」など、およそ25ほどのテレビ局の放映をリアルタイムで視聴できることになった。孤独と寂しさをしみじみと味わうことも多い中国生活での「生活大革命」だった。もし、このことがなく、日本のテレビ視聴ができていなければ、もうとっくに中国生活を終えて日本に引き揚げているだろう。

 2019年4月からNHK・BSプレミアムで午前7:15から「1983年頃に1年間放映された、連続テレビ小説(朝ドラ"おしん")」リバイバル放送がされている。私にとっては初めて視聴するドラマだった。第一部で主人公の"おしん"の少女時代を演じたのは小林綾子。第一部は5月11日に終了した。そして、少女時代の小林綾子を見ることができなくなった。けなげで可愛らしい「小林綾子"おしん"LOSE"[ロス]」に、ちょっとさみしい思いを味わった。橋田寿賀子脚本の見事なドラマだった。明治・大正の時代背景も実によく描かれていた。農村での「地主と小作との関係、小作人生活の状況と農民問題、社会の矛盾」、そして与謝野晶子の詞「君 死にたもうこと なかれ」や中村雅俊演じる脱走兵など。母親や父親を演じる泉ピン子や伊東四朗、そして祖母役の演技も秀逸だった。

 5月13日から始まった第二部。"おしん"は田中裕子が演じることとなった。やはり、小林綾子ロスが尾を引いている。しかし、橋田寿賀子の脚本は やはりすごかった。物語は一回一回の放映が見逃せないほどに展開していく。大学の仕事への出勤の関係で視聴できない曜日もあるが、私の中国生活では「録画」ができないのが残念だ。"おしん奉公先"の大女将のおばあさん役の演技が秀逸。なつかしい渡瀬恒彦も「労働者問題」に心を砕き全国を巡る"アカ運動家"として"おしん"と出会う。"おしん"が初めて好きになった男だ。なぜその男に惹かれていったのかが丁寧に描かれる。

 女工として長年の長時間労働のため"当時は死の病だった結核"になり、納屋で死を迎えていく姉の。この場面は、まさに東北の「女工哀史」を説得力ある脚本で描かれている。そして、死にゆく姉のアドバイス(女が経済的に自立すること)で、髪結いになることを決意して東京に行く"おしん"。まあ、だんだん田中裕子"おしん"も受け入れている。

 この田中裕子は、年月を経てその後、中日共同制作の中国ドラマ「蒼穹の昴」(そうきゅうのスバル)のメインキャストである"西太后(せいたいごう)"として出演している。全24話のドラマだが、これは日本でも中国でもテレビドラマとして放映され、中国では高い視聴率を得た作品となった。原作は浅田次郎。彼の「近代中国シリーズ」の一つが「蒼穹の昴」。浅田次郎の30冊あまりの「中国近代史関連の小説」はすべて読んだ。私の近代中国史把握は浅田次郎の著作によって、その具体的イメージをかなりもつことができた。

 このテレビドラマ「蒼穹の昴」が5月10日よりBS日テレで午前10時から再放送されている。以前からDVDを買ってでも一度見て見たかったドラマだった。仕事の関係で週に2〜3回分しか視聴できないが、原作を読んでいるので まあまあ その展開にはついていけている。5月中旬からは、時差が一時間ある中国時間(日本より1時間遅い―日本が6時なら中国は5時)で、ほぼ毎日、ドラマを通じて田中裕子を見ている。

 5月上旬に日本に10日間あまり帰国する際に、閩江大学の中国人同僚(女性)から「寺坂先生、日本に帰国したら中国のテレビドラマのDVD[日本語版]を購入してきてもらえませんか」と依頼されたものがあった。そのドラマは、中国で空前の視聴率を記録した中国宮廷ドラマだった。そのドラマの一つ「如懿伝(にょいでん)—紫禁城に散る宿命の王妃」は、5月下旬から、毎週土曜日の午前中に