長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

銀ブラ

2009-11-26 08:22:44 | Weblog
最終の水曜日・木曜日は連休をとることにしている。
だいたい、その日は東京を抜け出して、どこか山の中の
野趣を残した温泉なんかにいくのがならわしだが、今月は前半を
「冬休み」にしたので、昨日は質素に銀座を歩いてみた。
銀座には、いきつけの骨董やが何件かある。先週もその
中の一軒にいって、軸を買ってしまった。ので、財布の
中は、月末の給料日を、1日千秋の思いでまっている状態。

財布の中が寂しいときは、銀ブラに限る。ほんとうの
銀ブラは、「銀座でブラジル」らしいが、そんな余裕はない。
というので、少し借金を残している別の骨董屋を覗いた。
12月はこれるかどうかわからないので、そこの骨董やの
女将に、虎の子数枚渡して、すっかり、札入れの中が、空
になった。まるで、永年の宿便がとれたみたいにすっきりした。
また、いつものように、無一文になって、駅の方に向かって
歩いていると、別の骨董やがある。外から覗いていると、
ひとつキラリと、いやパチリとこちらにウィンクをするような
ものがあった。そして、そのお店のいつも寡黙な主人が、こちらを
見て、ニコリとした。知らない間に、そのお店の暖簾をくぐって、
籐のイスに座って、初代「竹泉」の煎茶椀をいじっている自分がいた。
もう、「財布の中が空」であることもわすれている。もう病気も末期
に近い?このお店では、以前、太田垣蓮月の急須をいただいたことがある。
焼き締めの小ぶりな急須は、ときどき、同じ骨董病の友人がきた時なんかに、
玉露をいれたりすることがある。蓮月という人は、陶芸家として、また煎茶
の世界で名を残した人だが、あの富岡鉄斎を育てた人でもある。
このお店には、鉄斎の揮毫した宝瓶がある。この主人の文人趣味の形見分け、
みたいなものだ。いつみても凛としていて、いい。

銀ブラの締めは、いつもの「銀座の七不思議な骨董や」だ。看板はでているが、
ドアはだいたい鍵がかかっている。ブザーを押しても、うんともすんとも
反応がない。きっと、京都かどこかにでかけているのだろう。
あきらめて、その骨董やの先に、11月と12月は、毎日田中絹代の映画を上映している
映画館がある。ちょうどいいタイミングで入れた。
1本500円。しかも、ほかの映画の宣伝とか、CMがない。
ブー、とブザーが鳴ると、すぐに映画が始まり、「終わり」という
文字がでると、終わり。
将来毎日が日曜日になったら、ぼくは、たぶん毎日ここで映画が見たい、
と思うほど気にいってる場所だ。
骨董やに借金がなければ、この日に使ったお金は、この500円。
と、松坂屋の裏の古本屋で、富岡鉄斎の画集500円の合計1000円。
なお、先日の昼ごはんは、2件目の親切な骨董やの主人が、お茶とパンケーキ
を出してくれたので、それが昼ごはんになった。

今日も休みだ。また昨日と同じように銀ブラをしようかしらん。
でも、きのうごちそうになった主人は「時々、ブログを読んでいます」といって
いたので、今日またお昼にいくと、店を閉めているかもしれない。
今日の田中絹江は「楢山節考」。
世間には捨てられたような生活をしているが、もっともっと、やらねばならない
ことがいっぱいある。





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