長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

銀座の骨董や

2008-12-19 06:26:54 | Weblog
羊頭狗肉みたいな器やに翻弄されたので、気分をかえて
昨日は銀座のなじみの骨董やさんのところへ、
年末の挨拶にいった。少し主人に借金があったので、
それを手渡すと、いつものように丁寧に玉露を入れてくれた。
「いい染付けですね」と答えると、「清水六兵衛です。いいでしょう」
と主人。お菓子はぼくの大好きな山田饅頭だ。
この骨董屋は、来年80歳になる。古色蒼然としたその店で
生まれ、ずっと銀座で生きてきた。人は彼のことを「銀座のななふしぎ」
とか「都会の仙人」とかいう。本人も「変った人」や「古いもの」をこよなく
愛するので、彼のもとには、変人やボロが全国から集まってくる。

ある日、骨董仲間と酔っ払って、不思議な掛軸を買ったらしい。
絵も書も書いてなく、ただ古い和紙が表装された掛軸らしい。
それを奥さんに見せたら、「かなり酔っ払ってましたね」といわれた
らしいが、数日後に「これはいい」と買っていったお客がいたとか。
昨日はそんな話や、いつものように京都の寺や奇僧の話をして
いたら、あたりが暗くなった。主人のイスの後に張り紙があって
「二時間以上は話をしないようにお願いします」と書いてある。
だいたい本人が一時間半くらい一方的に話をして、ガラス越しの
公園の木々などを見ながら、おいとまする、というのがならわし。

「一服のお茶を楽しみながら冬枯れの木々を愛でる」
人間の尊厳を無視したような不当解雇みたいな事件が
毎日報じられているけど、ぼくたち日本人には、
お茶のようなすばらしいものを先人が伝えてくれている。
せめて、1日に一回くらいは、そんな時間を持ちたいものだ。










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