長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

不思議な温泉

2009-10-02 06:22:30 | Weblog
毎年長野に墓参りにいく。火曜日の「英語で蕎麦会」を
終わった後、車で出発。
京都時代の友人が伊那のお寺に眠っている。
墓石を見ると、昭和57年4月 享年23歳。
ぼくも彼とおなじ骨のガンで、同じ病院に
入院していた。彼の葬式には京都から車できた。
そして、次の年、つまり昭和58年からは、東京から車で
毎年いっている。墓石を見るたびに、昭和57年が、
京都から東京に移ったことを確認。大きな岐路だった。

今年は、彼のお父様も同じ墓に入っていた。
同じ運命で京都で出会い、同じ病気になり、ぼくが生き残って、彼がいった。
そんな運命を怨むことなくいつも歓待していただき、長男に先立たれた後も、気骨をもって生きた79年の立派な人生。心からご冥福をお祈りしたい。

昭和59年に会社をつくった。最初の大きな取引先がEPSONだった。
それからも、長野の会社や長野の人たちと「縁」をいただいているのは、
きっと、そんな仏縁ではなかろうかと思う。山奥の宿の白濁した温泉につかりながら、すっかり紅葉した山を眺めながら、酒を飲んでいると、ふと、そんな感慨に
落ちた。

翌日は、松本城近くにあるSで、蕎麦を食べた。このお店とも、深山幽谷みたいに
深い深い縁で繋がれている。東京から松本に店を移して2年になる。
東京時代と同じ酒器(古瀬戸)の片口に酒を入れて、着物をきた主人がにこやかに運んでくる。酒肴は、茸と辛味大根。
もう一合を所望すると、香の物とわさび漬けがでてきた。そして〆が、ざるそば。
ここで蕎麦を味わうと、玉露を飲んだ瞬間にひろがる「幸せ感」みたいなものが
しばらく持続する。蕎麦の真髄に出会える店。その隣に、このお店で蕎麦を
食べにきているうちに、はまって、隣に骨董やを開いた(名古屋にあったお店を移した)女主人がやっている店がある。奇人がやっているお店には、奇人が集まる。
松本にふたりの素敵な女主人が、くさびみたいに店をつくってくれたおかげで、
すっかり松本が、いい街になった。こんな街おこしもある。

明日は「エリカ庵」
今月は、スケジュールを書いたホワイトボードが、余白が
ないくらい毎日いろいろなイベントがある。