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毎日の暮らしの中にある大好きなもの、こと、出合(会)いなどについての気まま日記

晩夏に捧ぐ

2010-04-17 16:32:29 | 読書
成風堂書店事件メモ、出張編。
「配達あかずきん」「平台がお待ちかね」「サイン会はいかが」は短編集だったが、これは名探偵ぶりをかわれて、信州「宇津木書店」まで出張の長編作品だ。

宇津木書店、通称まるう堂は創業大正十一年の老舗書店だ。そこに幽霊が出る!
しかもその幽霊は、二十七年前に人気作家喜多山成治を斬殺した犯人、住み込みで作家修行していた青年らしい。
彼は服役中二年後に病死している。
幽霊出没と同じ頃、当時の関係者周辺で小さな事件が多発していた。
今、なぜ。

うーむ???
最後までミステリアスなのに、なぜか暖かい空気を感じるのは本屋にまつわる謎だからでしょうか。
現役法学部生と頭はいいのに、信じられないくらい不器用な多絵ちゃんが今回も名探偵ぶりを披露してくれます。
本が大好きな書店員杏子さんの本に対する熱い思いは、一人でお留守番のご褒美が本だったこと、町の図書館の伝記物の棚を全て読んだこと、学校帰りにいつも寄る本屋さん、そんなことを思いださせる。
本って今でもワクワクさせてくれるものだけど、出版業界・本屋さんを取り巻く環境はとても大変な状況にあるのですよね。
全ての業種にいえることだけど、小さな店もみんな仲良く商売が出来ていた時代があったのはほんの少し前のことなのに。
嫌な時代です。

「晩夏に捧ぐ」 大崎 梢