MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

夢之助、手話通訳者に「気が散る」

2007年11月02日 | 雑想

これはあまりメディアで取りあげられていないようなので、記録を兼ねて書いておく。そもそもは9月17日の話なのだが、10月末から少数の新聞で記事になっている。「落語に手話「気が散る」抗議で謝罪…三笑亭夢之助さん独演会」。リンク先の記事はいずれ消えるので前半だけ引用しておく。

 落語家の三笑亭夢之助さん(58)が9月17日、島根県安来市民会館で行われた同市主催の独演会で、舞台上の手話通訳者に「気が散る」として退場を促していたことが31日までに分かった。通訳はその後も舞台下で続けられたが、聴覚障害者からは「手話と夢之助さんを同時に見ることはできなかった」などと不満の声が噴出。後日、同県ろうあ連盟が夢之助さん側に抗議し、夢之助さんは謝罪文で「落語に集中するためだった」と釈明した。

 落語独演会が始まって約5分後。1時間の大ネタ「天災」に臨んでいた夢之助さんは突然、「落語は話し言葉でするもの。手話に変えられるものではない」と切り出した。舞台の真ん中にいた夢之助さんの数メートル横には、聴覚障害者のための手話通訳者が立っていた。

 その後も、通訳者の方には目をやらず、正面を見たまま「この会場は聞こえる方が大半。手話の方がいると気が散る」と発言。続けて「みなさんも散りますよね。みなさんがいいとおっしゃるなら構いませんが。どうなんでしょうね」などと語りかけると、会場からは苦笑いが起こった。事実上、舞台から退場するよう促された通訳者は、舞台から下りて手話通訳を続けた。

記事の最後には「自ら手話を用いて落語を行う「手話落語」は、桂福団治、古今亭円菊が有名で、最近では林家正蔵が昨年の大銀座落語祭で行った例がある」との注がついているが、他に林家とんでん平が有名。 主催者側が夢之助に手話通訳がつくことを説明していなかったというのだが、前座にも手話通訳がついているのである。根本には手話と手話通訳にたいする誤解があると思う。


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1 コメント

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Unknown (永田)
2007-11-02 23:01:13
手話を自然言語として考えていないんでしょうね。
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