■西山千さんが亡くなった。95歳というから仕方のない面もあるが、やはり日本の通訳界にとっては大きな損失だ。僕自身は2回ほどお目にかかっている。1回目はたしか1983年の日本通訳協会主催の夏季セミナーだった。このセミナーは2日にわたって行われ、初日の講師は大沼さん、小林薫さんとあとお一人、2日目が浅野輔さんと西山先生だった。受講生に即興のスピーチをさせそれを鮮やかに同時通訳していたのを覚えている。2回目は1990年の日本通訳学会設立大会で講演された時で、事前の打ち合わせに同席させていただいた。たぶん最初の単著である『通訳術』(実日新書1970年)をはじめ通訳関連の本が何冊かあるが、『英語の通訳』がサイマル出版会の倒産によって入手できなくなったのは残念である。どの本だったか失念したが、通訳者の認知的操作について、自身の直感から「注意の瞬間的切り替え」を示唆していて、さすがに慧眼だと思ったものである。(切り替え説は現在Nelson Cowanのような認知科学者も採用している。)西山先生の最後のインタビューは8月初頭に発行予定の鳥飼先生の本『通訳者と戦後日本外交』(みすず書房)に収められているはずだ。
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その後同時通訳の勉強は進んでおりません。でも、何度か西山先生に直接お話する機会があり、英語、日本語でお話したように記憶しています。先生は日本語を話していても、英語の人名はそのまま英語で発音されるのです。カタカナではありませんでした。
では、次回。