MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

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花粉量多し

2009年03月17日 | 雑想

それにしても花粉症である。ずいぶん手なずけたつもりだったのに、くしゃみ5連発で腰に来た。小ネタはいつも何個か持っているのだが、今日は頭がぼーっとしているので明日以降に。

池田清彦が『だましだまし人生を生きよう』(新潮文庫)の中で仮説の構想と展開について書いている。面白いので引用しておく。仮説の出所はデータを眺めていて思いついてもいいし、突然のひらめきでもいい。池田の場合はネオダーウィニズムの「突然変異が偶然である」とする考え方が気に入らず、同所的種分岐は突然変異に方向性を与えれば説明できると考えたのが出発点であるようだ。その初発のアイディアをどう展開していくか。

「このような考えに立って、私は発生や進化を司るありうべきルールを構想したのである。ルールは現象整合的でなければならないし、論理的に矛盾してはならない。
 仮説を考えるのは、たとえば詰め将棋を創作する作業にちょっと似ているようだ。頭の中で言葉以前の形象みたいなものがまずあって、何となくうまくいきそうな筋と、最初からまったくダメそうな筋は、この段階でわかる。
 有望な筋を発見したら、それにコトバを与えていく。矛盾が生じないように細い論理をつなげていく。ほんの少しの論理破綻であっても、それは水の入ったビニール袋に開いた針の穴のようなもので、そこからすべてはもれ出して、元の構想が台無しになってしまう。
 あとひとつ穴をふさげばいけそうだけれども、この穴がなかなかふさがらない、といったときが一番悩ましい。やっと穴をふさぐ論理を発見したと思ったら、この論理事態が別のところに大穴をあける元凶だったりする。」(143-144)

仮説は主要には現象を統一的に説明し、予測するものだから、同じ現象に対して複数の仮説が併存する場合は「説明力」や「予測力」が大きいほうが優れた仮説ということになる。池田の『構造主義生物学とは何か』『構造主義科学論の冒険』などからは大きな影響を受けた。