多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

住みやすさ求め提言 共生の街作りパイプ役

2008-12-12 09:49:54 | 多文化共生
(以下、産経ニュースから転載)
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住みやすさ求め提言 共生の街作りパイプ役 (1/4ページ)
2008.12.12 08:00
タイ式あいさつを教える中島スパタラーさん。一緒に手をあげる生徒の姿も=10月9日、埼玉県川越市の市立東中学校(同校提供)タイ式あいさつを教える中島スパタラーさん。一緒に手をあげる生徒の姿も=10月9日、埼玉県川越市の市立東中学校(同校提供)

 蔵造りの建物が立ち並び、江戸情緒あふれる埼玉県川越市。まちづくりについて提言し続けている外国籍住民がいる。「川越市外国籍市民会議」。子供たちに海外の文化を紹介する外国人の人材バンクや市内63カ所の避難所に常備されている7カ国・地域の言語の注意書きシートも実現させており、来年で設立10周年を迎える。(高橋裕子)

 「日本のあいさつは朝昼夜で違いますが、タイはいつでもサワディー。簡単でしょう。言葉はそんなに必要じゃない。気持ちがあればいい」

 市立東中学校の教室で、タイ出身の中島スパタラーさん(41)はこう語り、両手を合わせてタイ式あいさつでにっこりほほ笑んだ。思わず一緒に手をあげる生徒も。

 中島さんは人材バンク「外国籍市民国際人材ネット」の登録メンバーだ。この10月、総合学習の講師として招かれた。

 14年前に来日した中島さんがこの人材バンクに登録したのは「出稼ぎや水商売のイメージだけでなく、誇りに感じているタイ文化を伝えたかった」ためという。「生徒から『両親にも礼儀正しくあいさつしなければならないと思いました』という礼状をもらったことがうれしかった」

 外国籍市民会議が設立されたのは平成11年にさかのぼる。中国、タイ、ドイツなど出身地の異なる9人をメンバーに活動。小中学校に外国文化の“出前授業”をする人材バンクを17年にスタートさせた。現在、中国、タイ、米国など9カ国・地域19人が登録している。

 災害時、避難所での共同生活で、日本語を解しないために起こるトラブルを避けるため、トイレの使い方やゴミの分別などの注意を7カ国・地域の言語で説明したり、イラストを指さしすることで意思疎通できるシートを作った。市の「目安箱」の英文表示や外国籍市民相談、日本語教室、市広報の英語版「コエド・カワゴエ・ニュース」の発行など、会議の提言で実現した政策は数多い。

 発足当初から代表を務める米国籍で東京国際大(川越市)教授、ベーリ・ドゥエルさん(59)は「外国人が生活する上で感じている不便さを市が気付いていないこともある。会議は外国籍市民と行政のパイプ役」と話す。

 川越市の外国人登録者は4555人(19年末)。市民の約1.4%でけっして多くはないが、年間3万1000人の外国人観光客が訪れる。市国際交流課は「外国人の住みやすいまちにすることは、訪れた人の役にも立つ」と期待を込める。

 外国人が増え、摩擦も起きる。しかし、「共生」から得るものは、はるかにそれを上回る。

 移民研究を続ける日系ブラジル人3世で武蔵大社会学部のアンジェロ・イシ准教授(41)に外国人との共生について聞いた。

       ◇

 私は「在日ブラジル人1世」だと思っている。「われわれも日本社会の一員と認めてほしい」という意思表示であり、同じ決心をした外国人は確実に増えている。在日外国人と日本人との結婚も増え、いまや「お隣は外国人」どころか「家の中にも外国人」という状況だ。

 しかし、昨年始まった入国時の顔写真と指紋提供は、私のように一般永住者で日本に18年住み、定職があり、犯罪歴がない者でも毎回求められる。自分が「テロリスト予備軍」なのだと再入国する度に宣告されているようだ。「お隣の外国人」に対してある種の冷たさを感じる。

 日本人には外国人をさまざまな可能性を持つ人材としてとらえ直す発想の転換を求めたい。日本人の多くは「1000万人移民構想」に抵抗を感じているようだが、仮に実現しても全人口の1割に過ぎない。日本人といえば島国根性など閉鎖性が強調されるが、祖父母らブラジルへ渡った日本人は 100年前から多文化の中で共生してきた。外国人と「期間限定」でおつき合いする時代は終わった。永続的な近所付き合いへ向けた、日本人の意識改革が問われている。

 わが国の外国人労働者政策  かつて余剰労働力を移民としてブラジルなど海外へ送り出したが、経済発展で1980年代から外国人労働者を受け入れる側となった。国は単純労働者をこれまで認めていなかったが、法務省は平成17年、第3次出入国管理基本計画の中で単純労働者の受け入れを「着実に検討していく」と初めて明記。自民党の総裁直属機関「国家戦略本部」は今年6月、50年後に9000万人にまで減ると予測される総人口の減少分を移民で補う「1000万人移民構想」と「移民庁」の創設を提言した。

共生目指し、新潟東港周辺外国人で自治会

2008-12-12 09:48:55 | 多文化共生
(以下、読売新聞【新潟】から転載)
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共生目指し、新潟東港周辺外国人で自治会
区役所の職員がゴミ分別方法を説明すると、集まった外国人らが熱心に聞き入った(10日、新潟市北区島見町で)

 新潟東港周辺の新潟市北区島見町の外国人らが自治組織を作り、自分たちで運営するゴミステーションを設置した。区によると、外国人による自治組織ができるのは県内でも極めて珍しいという。外国人が自主的にルールを守る姿勢を見せることで、地元住民との融和を図るのが狙いだ。

 この地域には、新潟東港から輸出する中古車を取り扱う外国人の業者が多く、これまで外国人絡みの犯罪や不法投棄が問題になってきた。また、同港では国際テロ組織「アル・カーイダ」関連組織の幹部が過去に潜伏していたことが発覚するなど、地元住民の間には「外国人=犯罪」というイメージが先行し、双方が対話しにくい状態が続いていた。最近も、一部外国人がコンビニやスーパーに生活ゴミを捨て、苦情が出ていた。

 そうした中、区が同地域の外国人らに自治会結成を働きかけたところ、パキスタン人やネパール人などが営む全26社が賛同し、「島見緑地会」という組織を創設。各社で費用を出し合ってゴミステーション2つを購入、設置し、ルールに沿ったゴミ捨てを推進することになった。

 会の設立を呼びかけたパキスタン出身の小島夢持人(ムジャヒド)さん(48)は、「外国人も日本人もお互いに人間同士だから話をすれば分かり合えるはず。これを第一歩に、互いのギャップをなくしていきたい」と話している。パキスタン人の夫と中古車販売業を営む同会代表の伊藤泰子さん(48)も「きちんと分別して、外国人だから悪いという誤解を解きたい」と意気込んでいる。

 また、テロ対策を巡っては、2005年に英国で発生した同時爆破テロが、キリスト教世界におけるイスラム系住民の疎外感が遠因となったとの指摘もあり、新潟北署の幹部は「自治活動を通して外国人が地域に溶け込むことで、テロ対策や治安向上にも大きな成果が期待できるはず」と話している。
(2008年12月12日 読売新聞)

日系ブラジル人から悲痛な声

2008-12-12 09:48:23 | 多文化共生
(以下、東日新聞から転載)
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日系ブラジル人から悲痛な声


東日新聞
日系ブラジル人大量解雇意見交換会
 世界大恐慌により、製造業を下支えしてきた非正規雇用の日系ブラジル人が大量解雇されている問題で、NPO法人豊橋ブラジル協会(田中・アルシデス・ヒデオ会長)が呼びかけて、豊橋市国際交流協会など9団体(機関)の現場担当者が11日、豊橋市役所に集まり、意見交換した。「岩田運動公園で車中生活者が現れた。路上生活者も」など、厳しい報告が次々に行われた。

 東三河地域でも、自動車関連工場を中心に1000人単位、100人単位の大量解雇が相次いでいる。

 派遣社員は、失業と同時に住居(会社アパート)を追われるケースが多い。「帰国できる人はいいが、航空券が買えずに、路上生活や友人宅に間借りして暮らす人も出ている。子どもが心配だ」と田中会長があいさつ。

 豊橋商工会議所は「12月に入り、日を追って悪くなっている」、豊橋公共職業安定所は「外国人職業相談センターを庁舎外に設ける準備を進めている。通訳を増員して対応したい」、住宅課は「退去者が急増している」、市教委は「除籍者が急増している」など。

 ほか「公園にテントを張ってもいいから、救いの手を差しのべてほしい。食料品を援助してほしい」など、厳しい実態も報告された。

 中には「2人に1人、夫婦のどちらかか、両方ともが失職するようになっている。12月末で解雇通知を受けている人も多く、年明けが怖い」。

 今後も意見交換会を開いていく。

職、家どうすれば… 「派遣切り」外国人、暗い年の瀬

2008-12-12 09:47:48 | 多文化共生
(以下、中日新聞から転載)
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【福井】
職、家どうすれば… 「派遣切り」外国人、暗い年の瀬

2008年12月12日

 非正規社員が雇用を打ち切られる問題が県内でも表面化する中、ブラジルをはじめとする外国人の派遣労働者が次々と失業している。異国の地でものづくりの下地を支えてきた働き手たちは、職も家も希望も失いかけている。

 「あと少しで夢がかなうのに」。越前市に住む日系ブラジル三世、カキヅカ・フランクさん(33)は今月一日、市内の機械製造会社での仕事を失った。

 ブラジル・サンパウロ州で暮らす両親に家を建ててあげようと、五年前に来日。毎月十万円ずつを仕送りし、こつこつと貯金を重ねてきた。

 同じ会社で働く同郷の恋人(24)もでき、目標の家は一回り大きくなっていた。

 派遣元の会社からは契約期間が過ぎたとの説明に加え、「もうこの街に仕事はない」と告げられた。夏以降に帰国した同郷の友人は五十人を数えるが「今帰ってもお金が足りない。何とか日本で仕事を探す」と話す。

 大規模な製造工場の多い越前市では、一九九〇年の入管難民法改正後、日系ブラジル人の定住世帯が増え続けた。

 だが、市の調査で、今年一月に二千百二十人いたブラジル人在住者は、今月一日現在で千七百二十人に激減。幹線道沿いに点在していた生活用品店も多くが閉店に追い込まれている。

 市国際交流協会の中須賀美幸さんは「派遣会社の寮から退出を迫られている人も多い。行き場を失った人たちが増え続けると、治安悪化につながるおそれもある」と指摘する。

 (谷悠己)

豊田で外国人向け雇用・生活相談会

2008-12-12 09:47:05 | 多文化共生
(以下、中日新聞【愛知】から転載)
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豊田で外国人向け雇用・生活相談会

2008年12月11日

 世界的な景気低迷による急激な雇用情勢の悪化を受け、豊田市と豊田公共職業安定所は19日、市役所で外国人向けの雇用・生活相談会を開催する。

 職業安定所はことし2月から月1回、県営保見団地集会所で「外国人就労相談」を実施。景気の雲行きが怪しくなったころから求職、解雇に関する相談や生活保護などの相談が増えたという。

 一方、市なども市内の製造業へのアンケートを11月に実施。非正規雇用社員の再契約について「減らす」と「しない」を合わせると回答者の8割5分に達した。こうした状況を受け、市は非正規雇用者を中心とした就労対策として職業安定所と連携し相談会を開く。

 相談会では職業安定所職員が就労相談、市職員が生活相談を担当。生活相談では、社員寮を出された外国人への民間アパートの紹介などが想定される。市役所で実施することで、両方の相談を一度に受けたり、関係課に直接相談できるなどのメリットがあるという。

 相談会は午前10時から午後4時まで(午後零時15分-1時は除く)。市役所南庁舎1階ロビーで開く。1月以降は月2回の開設を予定。問い合わせは、市産業労政課=電0565(34)6643=へ。

 (杉山直之)

雇用維持、確保を 県、経営者協会などに要請

2008-12-12 09:46:35 | 多文化共生
(以下、静岡新聞から転載)
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雇用維持、確保を 県、経営者協会などに要請
12/11 08:07
 世界的金融危機の影響などによる県内雇用情勢の悪化を受け、県は10日までに、県経営者協会と県中小企業団体中央会に対し、雇用の維持、確保への協力を要請するとともに、派遣労働者の雇用安定についても、派遣元の県内約2400社に要請文を送った。県や静岡労働局などが設置した緊急雇用対策本部が、3日に決定した対策の一環。県と同局の幹部が8日に同協会と同中央会を訪れ会員の事業主の協力が得られるよう対応を求めた。
 今後も各ハローワーク幹部らが管内の商工会議所や主要企業を訪問。外国人労働者や派遣労働者の雇い止めなどで雇用情勢が悪化しているとし、雇用調整助成金や新設の中小企業緊急雇用安定助成金などを活用して雇用を維持するよう求める。
 派遣元への要請文は、派遣先から契約の途中解除の相談があった場合は慎重な判断を求め、避けられない場合も関連会社などでの雇用を求めるよう依頼している。外国人労働者についても、安易に解雇せず、やむを得ない場合は就業や教育訓練のあっせんなど支援を要請。派遣先に同じ趣旨の文書を手渡すことも依頼した。

逆風・日本経済:/3 激しさ増すリストラ 最初に「外国人切り」

2008-12-12 09:46:00 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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逆風・日本経済:/3 激しさ増すリストラ 最初に「外国人切り」

 全国で最多の2万人近くの日系ブラジル人が住む浜松市。中心部に陽気なサンバのリズムが流れる輸入雑貨店があった。ウインナーの缶詰や砂糖をたっぷり使ったプリンなど、ブラジルの食品が並ぶ店の前で、子連れのブラジル人女性2人がポルトガル語で談笑している。

 だが、ハローワーク浜松の長い列に並ぶ日系ブラジル人2世、シラクラ・エリゼウ・アキラさん(57)の表情はうつろだった。10月中旬、自動車部品工場の派遣契約を打ち切られ、寮を追い出されてから、路上暮らしを続けている。

 14年前に来日してから、派遣会社を通じて愛知県や浜松市などの工場で、自動車部品の溶接の腕を磨いた。故郷で暮らす病弱な妻に毎月10万~15万円を仕送りしてきたが突然の失業。「溶接でなくてもいい。働き口が欲しい」。持病の心臓の薬を買えずにいる妻を案じる毎日を送る。

 日系3世までの定住が許可された90年の出入国管理法改正をきっかけに、浜松市の外国人は急増。89年に約4000人だった市の外国人登録者数は今年12月1日、市の人口の4%強を占める3万3702人になった。全国でも同じ傾向で、厚生労働省の5月の推計によると、06年の外国人労働者数は全国で90年比約3・5倍の92万5000人に達した。

 だが、日本に集まった外国人に今、逆風が吹き付けている。厚労省が、浜松市、愛知県豊田市、群馬県太田市など日系人の多い全国9地域で調べたところ、9月の日系人の新規求職者数は前年同月比2倍以上の約1000人。ハローワーク浜松の杉山明彦・外国人労働者専門官は「非正規雇用の中でも、言葉の不自由な外国人が真っ先に影響を受ける」と指摘する。

 ×  ×  ×

 逆風は日本人にも吹き付ける。いすゞ自動車が、派遣社員と期間従業員約1400人を「12月末で全員解雇する」と公表した前日、神奈川県藤沢市の藤沢工場で、期間従業員の男性(35)は課長に解雇を告げられた。本来の契約期限は来年2月。勤め上げれば正社員試験を受けられる規定もあったが、状況は一変。「雇用保険で1~2カ月は何とかなるが、その先の見通しはない」

 厚労省の調査では、10月~09年3月に雇い止めされる非正規従業員は全国で3万人超。世界的な新車販売の低迷に歯止めがかかる兆しはない上、ソニーが09年度末までに世界で1万6000人以上の削減を発表するなど、リストラのうねりは年明け以降、さらに大きさを増す気配だ。【秋本裕子、宇都宮裕一】=つづく

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 ■ことば
 ◇非正規雇用

 働く期間を定年までとする正規雇用(正社員)以外の、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員など、短期契約の雇用形態。総務省の労働力調査によると、非正規雇用者は07年に約1732万人で、労働者全体の33%を占める。特に、人材派遣業を法的に認めた労働者派遣法が施行された86年からの20年間で、派遣社員は22倍の321万人に達した。

お隣は外国人(4)「医療通訳の定着」課題 病名どう伝えれば…

2008-12-12 09:45:27 | 多文化共生
(以下、産経ニュースから転載)
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お隣は外国人(4)「医療通訳の定着」課題 病名どう伝えれば… (1/4ページ)
2008.12.11 19:27
ペルー人の男性患者に、医師の指示をスペイン語で伝える医療通訳ボランティア(左)。メモやイラストを使うこともある(MICかながわ提供)ペルー人の男性患者に、医師の指示をスペイン語で伝える医療通訳ボランティア(左)。メモやイラストを使うこともある(MICかながわ提供)

 外国人住民の増加とともに必要性が高まっている「医療通訳」。外国人登録者数全国4位の神奈川県では、医療通訳の養成やコーディネート、派遣などを行っているNPO法人「多言語社会リソースかながわ」(MICかながわ・横浜市)が全国でもいち早く取り組んできた。しかし、受け入れる医療機関が少なく、通訳の安定した確保が難しいなど課題は山積している。(大渡美咲)

 県下のある病院の診察室。MICで母国語であるフィリピンのタガログ語や英語の通訳をしている姫野マリーコラゾンさん(53)は、どう病名を伝えればいいのか考えあぐんでいた。

 患者は50代のフィリピン女性。

乳がんだった。幸いなことに初期段階だったが、切除手術が必要だった。

 「言葉の使い方、ニュアンス一つで、患者の心を傷つけ、死ぬほど怖がらせてしまう。難しかった」。姫野さんはこう振り返る。 それだけではない。この女性にはもう一つ、大きな問題があった。不法滞在(オーバーステイ)だったのだ。日本の公的保険はない。フィリピンに帰って手術を受けるように病院の意向を伝えたところ、ショックを受けた女性は「このまま日本で働きたい」と、声をつまらせた。姫野さんは心細そうな彼女のそばに、診察後もしばらくついていたという。

 姫野さんは日本人の夫と結婚して22年前に来日。大和市のフィリピン人コミュニティーで、教会のミサの手伝いなどをしていたところ、開設したばかりのMICの誘いを受け、6年間にわたって医療通訳を行ってきた。

 専門用語の研修を受け、患者が理解しやすいようにイラストを使って説明するなど通訳方法も工夫している。健康診断から手術の説明まであらゆる場面で通訳を行ってきたが、この女性のケースがもっとも難しかったという。

 「最終的に女性は入国管理局に出頭して、フィリピンで手術を受けたのですが、彼女のことは忘れられません」と話す。

                  ◆◇◆

 約16万人(平成19年末)の外国人登録者がいる神奈川県は、14年から医療通訳派遣事業に力を入れている。指定した県内の17病院の依頼を受け、MICが通訳を派遣する。171人のスタッフが登録しており、10の言語に対応できる。

 MIC事務局長の松延恵さん(42)は「神奈川は扱う言語も多く、医療通訳の先進県。行政もやる気があり、実務を担当している私たちも人材が豊富なので今の体制がすぐにできた」と説明する。

 しかし、通訳の必要性を認め、県と通訳派遣の協定を結んでいる医療機関は、県下の3万施設のうちたった17病院しかいない。MIC独自で派遣している施設を合わせても50にすぎない。

 外国人の患者が日本語を流暢に操るため医師は理解していると思って説明していたが、実は患者は自分が受ける手術が何かすらわかっていなかったこともあったという。日本人同士ですら医師と患者の意思疎通が難しい中、通訳がいなくては意思疎通はますます難しい。

 松延さんは「医療側が抱いている外国人はお金を払ってくれない、説明に時間がかかるというマイナスイメージを突き崩していかないと、医療通訳が定着することはない」と指摘する。

 外国人の増加とともに厚生労働省は最近になってやっと医療通訳の重要性を意識するようになったが、浸透にはほど遠い状況だ。

MICでは、医療通訳の必要性を理解してもらうため、全国各地で講演活動などを行っている。

 「理想は通訳をする人が生活できるくらいの収入を得られるようになることと、24時間365日、どこの医療機関でもどの言語でも通訳を派遣できるようになることです」

 【用語解説】医療通訳

 言語の異なる患者と医師の間に入り、意思疎通の手助けをする。医療の専門用語を説明するため、高い語学力とプライバシーなどを守る高度な倫理観などが必要。MICの医療通訳派遣事業が始まった平成14年当初は年間約270件だったが、現在は月に240~250件。派遣経費は1件3時間あたり3000円。基本的に病院が払うが、通訳ボランティアの交通費をまかなえないこともある。

外国人小中学生に日本語指導 蟹江の住民団体

2008-12-12 09:44:41 | 多文化共生
(以下、中日新聞から転載)
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外国人小中学生に日本語指導 蟹江の住民団体

2008年12月11日

「かにえ子ども日本語の会」の授業を受ける子どもたち=蟹江町新蟹江小学校で
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 日本語での学習に悩む外国人の子どもたちが円滑な学校生活を送れるように、蟹江町の住民団体「かにえ子ども日本語の会」が教育のサポート活動に取り組んでいる。毎週町内の小中学校を回り、楽しい授業で日本語指導を続けている。

 「今から勉強を始めます。お願いします」。同町新蟹江小学校の外国人の子どもたちが教室に集まり、日本語で元気なあいさつを響かせる。漢字や平仮名の勉強のほか、ゲームも取り入れて分かりやすく日本語を紹介。ルールは日本語とポルトガル語を交えて説明する。

 授業を終えた4年生の男子児童(10)は「漢字が難しいけどみんなと一緒だと楽しい。時間が短く感じる」。

 同会が設立されたのは2005年。町民や活動に賛同する学生ら10人ほどのメンバーが新蟹江、蟹江、学戸の3小学校と蟹江中学校をそれぞれ週に1回ずつ回る。独自の教材を作って就学前の子どもを対象にした日本語教育にも取り組む。

 町教委によると、町では8月現在で42人の外国人児童が公立の小中学校に通っていて、増加傾向だという。

 町内には外国人学校がなく、外国人児童も日本人の子どもたちに交じって勉強している。その結果、日本語が理解できずにつまずく子どももいる。

 同会の川崎直子会長は「言葉で困っている子はそれだけで不利になる。(日本と母国の)2つの文化、2つの言語を知っている子どもたちは豊かな人材。社会で活躍するための手助けになれば」と、活動にかける思いを語る。

 (吉光慶太)

難民認定の申請者が激増 今年、最多の約1500人

2008-12-12 09:44:10 | 多文化共生
(以下、産経ニュースから転載)
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難民認定の申請者が激増 今年、最多の約1500人
2008.12.11 08:50

 日本で難民認定を申請する外国人が激増、今年は昨年の倍近い1500人程度と、過去最多になる見通しであることが11日、分かった。母国の政情不安などが原因とみられるが、認定手続きが長期化して申請者が困窮し、生活支援のための政府予算も底をつくなど問題が噴出している。

 法務省によると、難民申請者は平成8年から毎年100~400人台で推移し、在留資格のない人に仮滞在を許可した改正入管難民法施行後の18年は954人、19年は816人。関係者によれば、今年の申請者はこれまで最多だった18年を6割近く上回りそう。

 昨年の申請から不認定の異議審査までの期間は約1年8カ月に及ぶ。在留資格のない申請者は就労を許可されず、生活保護も受けられないため、認定手続きの長期化で貧窮。外務省が申請者に提供する生活費などの予算が枯渇している。