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外国人教育不況の影 「親失業なら学校やめる」

2008-12-05 09:26:48 | 多文化共生
(以下、読売新聞【静岡】から転載)
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外国人教育不況の影
「親失業なら学校やめる」
外国人の保護者代表(中央)から「失業した時の子供の教育が心配」などの切実な意見が出された

 企業の人員削減など、景気の悪化を反映した動きが県内でも急速に広まりつつある。年の瀬を控え、厳しい経営環境に置かれた中小企業や、不安定な雇用環境に置かれた外国人労働者をサポートしようと、様々な動きが出てきた。

■「家計支える」定時制希望も

 幼児期から青年期までの外国人の教育をどのように支援していくかを検討する「浜松市外国人子ども支援協議会」(会長=池上重弘・静岡文化芸術大教授)が4日、浜松市内で開かれ、外国人労働者の雇用環境が厳しさを増す中、子供の教育環境が悪化している実態が報告された。

 同協議会は、同市教委がブラジル人など外国人の子供が抱える課題について有識者から意見を聞き、政策に反映させるため、今年度設けられた。4日は学校やNPO、保護者の代表など13人が出席した。

 ハローワーク浜松の杉山明彦・外国人労働者専門官は、9月以降の世界的な景気後退の影響で、製造業を中心に派遣・請負労働者の整理が進んでいると指摘。「単純作業の従事者や、日本語の読み書きができない人の再就職は難しい。小・中学生の段階からの支援が必要だ」と訴えた。

 子供が市内の小学校に通っているというブラジル人女性のブラガ・ミルビアさんは、「外国人の子供は、親が失業したら途中で学校をやめざるを得ない。親もどうしたらいいかわからない。これからどうなっていくのか不安だ」と話した。

 「浜松外国人子ども教育支援協会」の田中恵子事務局長は、「全日制の高校に行きたいと希望していた子が、家計を支えるため定時制に変更した例がある。奨学金制度があることを親に知ってもらう必要がある」と訴えた。

■浜松商議所が市に経済提言

 御室健一郎・浜松商工会議所会頭(浜松信用金庫理事長)は4日、鈴木康友・浜松市長に対し、経済対策に関する緊急の提言を提出した。

 提言では、企業が金融機関から受けた融資の金利負担を軽減するため、浜松市の制度融資による利子補給制度を一層充実させることに加え、新たな融資制度も創設するよう求めている。

 また、特定の業種が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による債務保証を円滑に受けるため、業種指定要件を外すことなどを国に強く申し入れるよう求めた。

 御室会頭が「民間だけでは対応しきれない。行政としても地域を支えてほしい」と述べたのに対し、鈴木市長は「市として緊急経済対策本部を設置し、5日に初会合を行う。要望事項はある程度対応できる」と応じた。

■外国人に職業・生活相談コーナー

 景気悪化で解雇されたり雇用契約を打ち切られたりした外国人労働者に対し、関係する行政機関などが連携して、仕事から生活全般にわたる相談に1か所で対応するワンストップサービスの「浜松外国人総合相談コーナー」が、5日に浜松市中区砂山町の市多文化共生センター内にオープンする。

 ハローワークと労働基準監督署の相談員が雇用保険の手続きを含む職業相談(火~土曜日)、労働条件の相談(火、木、金曜日)に乗るほか、センター職員らが生活相談(火~土曜日)に応じる。ポルトガル語の通訳が常駐するほか、週1回は中国語、スペイン語、タガログ語でも対応する。

 県内では浜松のほか、湖西、磐田、掛川、袋井、菊川、富士の6市のハローワークにも外国人向け相談コーナーがあり、これらでも同様のワンストップサービス窓口を設ける方向で準備が進められているという。

 窓口の設置を進めた静岡労働局は「外国人労働者が多い県西部地区、特に浜松市での対応を急いだ」としている。
(2008年12月5日 読売新聞)

ブラジル人学校:不況余波、悲しい別れ 年内で閉鎖 親が失業、月謝払えず

2008-12-05 09:26:12 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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ブラジル人学校:不況余波、悲しい別れ 年内で閉鎖 親が失業、月謝払えず--浜松

 外国人労働者が多い浜松市で12年の歴史を持つブラジル人学校「エスコーラ・プロフ・ベネジット」が、12月末で閉鎖する。急速な景気悪化で、工場の派遣労働者などとして働く保護者の多くが職を失い、経営難に陥った。【平林由梨】

 4日現在、同校には4歳から15歳の児童・生徒30人が通う。ほとんどのブラジル人学校と同じく無認可で、国や自治体からの公的支援は受けておらず、生徒1人あたり約2万6000円の月謝で運営している。

 解雇される保護者が増えた9月ごろから月謝の滞納が多くなり、10月は深刻な赤字になった。10月下旬、保護者に来年の予定を聞いたところ、半数の15人がブラジルに帰国予定か、学費が安い公立学校への転入を考えていることが分かった。

 ベネジット・ビレラ・ガルシア校長(55)は「来年はもっと悪くなると予想できた。(ブラジルの)学年末を迎える12月末で学校を閉めるのが子供たちに一番迷惑がかからない」と閉鎖を決断した。

 ガルシア校長は96年、浜松市の自宅アパートで学校を始めた。ピークの02年には約180人の児童・生徒を抱えた。06年には、現在地に5階建てビルを買って移転した。

 「子供たちに『なぜやめるの』と聞かれると、悲しくなる」。肩を落とす校長自身も来年1月、ビルを売って家族とブラジルへ帰国するという。

毎日新聞 2008年12月5日 東京朝刊

浜松・豊橋のブラジル人減少 自動車関連の「派遣」多く

2008-12-05 09:25:43 | 多文化共生
(以下、中日新聞から転載)
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浜松・豊橋のブラジル人減少 自動車関連の「派遣」多く

2008年12月5日 朝刊

 全国で2番目に多い愛知県豊橋市のブラジル人人口が、今年6月から5カ月連続で減少している。市内在住の多くは同県田原市や静岡県西部の自動車産業などの派遣社員。最もブラジル人が多い浜松市でも減少傾向で、景気の減退が雇用を直撃している表れといえそうだ。

 豊橋市国際交流課によると、10月末現在で市内在住のブラジル人は1万2564人と、今年のピークだった2月に比べ375人の減少。

 1987年から今年2月末まで、ほぼ毎月増え続けていたが、3月に減少に転じ、その後も5月を除き毎月減っている。1年間で500人ほどと、過去にない大幅減になりそう。同課は「不況で職を失ったため、他市に転出したか、出国した」と分析する。

 同市大国町の公共職業安定所「ハローワーク豊橋」には、職を失った後も市内に残るブラジル人が詰め掛け、外国人の新規求職受理件数が激増。11月末の時点で、昨年1年間の倍近い1084件を受け付けた。多い日にはブラジル人を含め20-25人が並ぶ。

 NPO法人豊橋ブラジル協会の田中・アルシーデス・ヒデオ理事長(41)は「治安悪化や子供の教育・医療に影響が出ないようにしたい」とし、状況把握などの取り組みを検討するという。

 浜松市では、外国人登録のブラジル人が11月末で1万9140人。10月末が1万9209人、9月末が1万9272人で、前月比60-70人程度の減。ハローワーク浜松(浜松市中区)の窓口に外国人が列を作り、市では早急な対策が必要と判断。5日に静岡労働局などと協力、総合的な窓口「浜松外国人総合相談コーナー」を設置する。

 トヨタ自動車の地元、愛知県豊田市では、在住ブラジル人は7900人前後で増減を繰り返す状況だが、市国際課は「これまでの増加基調が止まり、横ばい傾向。いずれ減少の流れになるかも」とみる。

日本語能力試験に挑戦 美濃加茂のブラジル人学校生徒

2008年12月4日

懸命に勉強するブラジル人の生徒ら=美濃加茂市太田町で

2008-12-05 09:25:15 | 多文化共生
(以下、中日新聞【岐阜】から転載)
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懸命に勉強するブラジル人の生徒ら=美濃加茂市太田町で

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 美濃加茂市太田町のブラジル人学校「ブラジリアン・スクール」の生徒15人が、7日に全国で実施される日本語能力試験に向け最後の追い込みに入っている。「日本の大学に進学したい」。夢に向かって挑戦する姿は真剣そのものだ。

 同校では2年前から、希望する生徒が同試験に挑み、一昨年は7人、昨年は6人が受験した。今年は学校側の勧めもあり、受験者が急増。13-17歳の生徒が、週1回の日本語授業のほか、補習で試験用の問題集に取り組んできた。

 試験は文法や漢字、言葉、読解にリスニングも加わり、計400点満点。岐阜市の岐阜大の試験会場で、1人が1級、ほかの14人は、初級レベルの3、4級の合格を狙う。

 日本語の習得は日本の大学への進学や奨学金受給、将来の就職に有利に働く。だが、同校講師の矢野パトリシアさんは「試験に合格し、生徒が自信をつけることが一番の目的」と明かす。ブラジル人学校の生徒は、日本社会から孤立する上、親の雇用環境が不安定なため、自信を持てないことが多いという。

 「日本の大学院で学びたい」「漫画家になる」「パイロットになれたら」。経済環境悪化による雇用調整で、帰国を余儀なくされるブラジル人が増える中、それでも生徒らは夢いっぱい。1級に挑む佐藤リンコン君(18)は「日本の大学に入ると、日本語も上達するし、経済や法律が学べる」と目を輝かせる。

 (井上昇治)

県が外国人職業訓練

2008-12-05 09:24:49 | 多文化共生
(以下、読売新聞から転載)
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県が外国人職業訓練
INAX専門校で厚労省モデル事業

 県は28日、定住外国人を対象にした職業訓練を、住宅設備機器メーカー「INAX」が運営するINAX建築技術専門校(常滑市)に委託して行うと、発表した。厚労省の今年度の新規モデル事業で、県によると、県が定住外国人を対象として職業訓練に乗り出すのは初めてという。

 県就業促進課によると、職業訓練は、12月1日から3か月間で、タイル張り作業の訓練を行う。授業料は無料となる。今回の訓練実施の背景には、雇用情勢の悪化が定住外国人にも及んでいることがある。10月に募集を始め、これまでに20人が応募。適性検査や面接を経て、20~61歳の男女16人が選ばれた。内訳は、日系ブラジル人14人、日系ペルー人1人、中国人1人。

 職業訓練を行うINAX建築技術専門校は、外国人研修・技能実習制度でベトナム人を受け入れてきた実績がある。ひらがなで書かれたテキストなどを使い、外国人向けの職業訓練のノウハウがあるとして、訓練実施校に選ばれた。

 同課は「雇用情勢の悪化に伴い、求職期間が長くなるケースが多くなっており、何とか定住外国人を支援したい。タイル張り職人は高齢化が進み、将来的には人材不足になるので、この訓練が長期的に役立てば」と期待している。

 県内の外国人登録者数は22万1389人(昨年末)で、ブラジル人が約8万人と3分の1を超える。また、企業が直接雇用している外国人は06年度で2万7607人(派遣などの間接雇用は除く)となっている。
(2008年11月29日 読売新聞)

夢むげんだい:稲沢で託児所経営、日系ブラジル人・越雲エリーザさん

2008-12-05 09:24:19 | 多文化共生
(以下、毎日新聞【愛知】 から転載)
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夢むげんだい:稲沢で託児所経営、日系ブラジル人・越雲エリーザさん /愛知
 ◇在日教育の拡充目指し、小学校設立したい--越雲エリーザさん(43)

 ブラジルの子供たちの笑顔あふれる学校を--。稲沢市で託児所を経営する越雲エリーザさん(43)はブラジル出身の日系2世。第二の古里に在日ブラジル人のための小学校を設立しようと、夢を膨らませている。

 稲沢市松下の無認可託児所「フェニックス学園」を訪ねると、幼児らがポルトガル語で話しかけてきて「一緒に遊ぼう」とくっついてきた。越雲さんは、そんな愛くるしい姿に目を細めながら「この子たちが日本でもブラジルでも困ることのない教育をしてあげたい」と決意を語った。

 越雲さんは、80年前にブラジルへ移住した父母の10人の子供の9番目として誕生。ブラジルの高校で小学校教師の資格を取得し、大学では学校経営を学んだ。貧困のため義務教育すら受けられない人もいるブラジルで、誰でも通える小学校をつくりたいとの志を実現するためだった。

 89年から栃木県の宇都宮大学に2年間留学し、幼稚園や障害者施設でも勉強。その後、資金を稼ぐため再来日し、稲沢市の学校で語学指導員として働く中で、ブラジルの子供たちが多く通っているのを知った。日本語もままならないうえ、文化や習慣の違いに戸惑う子供たちは孤立したり、ストレスのため登校できなくなったりするケースもあり、厳しい現実に衝撃を受けた。「日本にこそ私が目指す学校が必要だ」と考えるようになったのは、このころだった。

 04年6月、やっとの思いでフェニックス学園を始めた。今は日系ブラジル人の2~4世を中心に、1歳から小学1年までの21人が通う。ブラジル政府から小学1年までの子を教えられる学校に認められ、卒園者は帰国すると小学2年に編入できるようになった。

 預かる子供たちは最も親の愛情が必要な時期だけに、共働きの両親を少しでもフォローしようと心を配る。ブラジル人教員4人がポルトガル語と日本語で指導し、ブラジルから教科書などを取り寄せて教えている。「せっかく日本にいるのだから日本を愛する心をはぐくんでほしい」と願っている。

 どこからも支援が受けられない託児所の経営は厳しい。6歳年下の夫がトラック運転手をして応援してくれるのが支えだ。「将来は国籍を問わない国際的な学校にしたい」と夢は広がる。【井上章】

毎日新聞 2008年11月30日 地方版