たろの日記ページ,gooブログ版

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階級社会~グローバリズムと不平等(ジェレミー・シーブルック)

2006-08-10 10:18:56 | 書評
…そういうわけで,折角ですので表題の本の書評をアップします。これは04年08月に書いたものなんで,ちょっと今だと違うこと書くかも知れませんが,読み直すのも面倒なので(^^;)…。


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王族貴族制度が解体されて階級社会がなくなったと言われる現在の西洋(作者はイギリス人)であるが,どっこいグローバリズムの中で富むものと富まざるものの格差は広がりつつある。先進国でのかっての労働者は現在ミドルクラスになりお金持ちはグローバルリッチとなり ますます富むものとなる。先進国での貧困層の消滅は単に発展途上国にその役割を押し付けたに過ぎない…。そういうことが書かれている本です。
資本主義は経済格差がないと成り立たないのでは?というわたしの疑問についてやっと書いてある本が見つかりました。もっともこれは現状を書いてあるだけで解決法が書かれているわけではありません。そして現在の世界を支配しているリッチ層がいかに巧みに我々(中間層?)をコントロールしているかも書いてあります。有権者である 中間層の不平を押さえるにはホンのちょっとだけ彼らを裕福にして上げれば良い,そしてその何倍もの富を彼らは得ている…。
階級制度が崩壊し,(少なくとも国内では)貧富の差が減るか?と思いきや,国内でも実は貧富の差(というか金持ちの資産が増えるという形で)が増えているとのことです。つまり明らかにグローバリズムは貧富の差を増やすように動いているとのこと。
階級制度が崩壊し誰もが同じ機会を持つようになったかと思いきや,実は人間は生まれた瞬間に才能のみならず機会にも不均衡があらわれます。そして我々には支配階級というものはありませんが,なにか目に見えない 力によって強制的に働かされています(みんな意識してないだろうけど)。その正体は何なんでしょう?。資本主義は我々の購買意欲,生活向上意欲を刺激する形の情報をバラマキそれにより我々を支配しているのです。
共産主義は崩壊し資本主義という形が世界を支配する現状,人間社会はどこに向かうのでしょうか?…と考えさせられました。
ちなみにイギリスで階級制度が崩壊した(普通選挙が実現した)過程を丁寧に書いていて,勉強になりました。つまり貴族制度は土地(農地)しか生産をしてなかった時代には土地を管理している貴族に力があるが,産業革命と交易で土地を持たないものにも富裕層が出てきたために,彼らにも力を与える必要が出てきて,更に生産者は労働者に投票権を 与えることにより,更に彼らに都合がいいように出来たということの様です。
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自由経済と富

2006-08-10 09:07:56 | 社会
自由経済が社会全体に富をもたらす(もしくはみんなの生活をある程度良くする)って話が詭弁じゃないか?っていうのは,だいぶ前からわたしも日記に書いていて,今更な感じもする反面,なかなかすっきりとした答えが見つからない難しい問題とも言えます。まぁ,それでもまだグローバリズムや民主主義や自由主義がいいという人達も多いので,警鐘をならすという意味では,書き続けるっていうのは意味があるのか…と。

今回は,分裂勘違い君劇場さんがNHK特集を見ての教訓とか,それをリンクしての,雑種路線でいこうさんの「資本主義にせよ民主主義にせよ次善の正義でしかない」っていう辺りは,まぁおもしろく読めます。
ただ,この問題はわたしはむしろ西洋が民主化した辺りから始まる200年以上前からの問題だと思うので,弾さんが「富2.0」とかいう新しい概念を持ってくるって辺りになると,ちょっと引っ掛かります。まぁ200年来の問題を「2.0」で何とかなるっていうのもありかとは思うけど,そこまでわたしは「2.0」に期待してないというか…。
わたしが思うには西洋の資本主義自由主義民主主義をそれ以外(第三世界)に適用するときに,おんなじ様には考えられないのだと思います。西洋での流れは,王権主義から商業・工業の発達で経済人が経済力を持ち権力を脅かすという流れで,いかにスムーズに社会構造を変え彼ら(旧来の権力者)の地位を護るかの改革でした。その結果国内にある貧困層を海外に押し付けたのが植民地主義でしょう。
第三社会はそうじゃありません。国内の商業・工業階級が台頭する前に,まず西洋から押し付けられたイビツな経済構造があります。だから一旦自由経済を否定してないとその搾取構造を分解できない。…というのをやってるのがラテンアメリカ…って事になるのではないでしょうか?。
ちなみに西洋で商人が力を持ったのはわかりますが,市民が力を持ったのは何かというと,やはり知識だと思う。市民がある程度の教育水準を持つことが民主主義には必須であり,それができない場合は,これまでのような(民主主義という名の)傀儡政権か,今産まれつつある賢人(独裁)政権ってことなんでしょう。第三社会が最終的に(自立した)民主主義になるかどうかは今のところわかりません。そもそも経済格差がないと自習経済に富は発生しないのでは?という疑問すらあります。

ふと思ったのですが,「階級社会~グローバリズムと不平等」という本を読んでいる人は意外に少ないのですかね?。これを読むとなぜ西洋で民主主義が起きたか?その中に巧妙に仕組まれている階級社会っていうのが良くわかるのですが…。
ちなみに日本はあらゆる意味で例外的に民主化されたのだと思います。だから,よく「日本のようになれ」っていう合言葉を聞きますが,多分参考にならないと…。
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