たろの日記ページ,gooブログ版

http://taro-r.sakura.ne.jp の分家です。一部内容が重複してます。

サンプリングと音楽の可能性

2005-01-29 08:59:04 | 音楽・アート
一昨日ロックの話を書きましたが,実はその日ラジオを聴いていたら,リミックス…じゃないな,まぁ複数の曲をサンプリングして重ねたような曲の特集をやっていました。ビートとかフレーズを切ってループにした…という様なものじゃなくて,はっきりと原曲がわかるような奴で,しかも複数の全然違う曲とかをやってました。
まぁはっきり言うと「ここって笑うところですよね?」っていう感じがしないでもありません。ラジオの司会者も,ちょっとそういう感じで,つまりちゃんとした作品というよりはパロディ…という感じで紹介してました。
ちょっと話がそれますが,いま,仕事の関係で,複数の音声ファイルや,音楽ファイルを重ねてミックスするために,ACID Proというソフトをいじってるのですが,今のパソコンのパワーだと,複数のファイルをリアルタイムでピッチシフトして,他の曲とテンポやピッチを合わせることができるんですね。だったら,確かにどんな曲同士でもとりあえずピッチとテンポは合わせられますね。技術(というかマシンパワー)の変化を感じるなぁ…。
で,戻るとそんな感じで,ほんの数時間パソコンを触っただけで,既存の曲から合成して曲(?)をつくれるような世の中になっているわけです。一昨日書いたように現在の日本の音楽は,比較的アレンジが凝ったものが主流になってるように感じますが,既存の曲を切り張りすると(センスは必要であるものの)演奏力がなくても,そこそこに豊富な音が入った音(「曲」と言えるかは疑問)はつくれるわけです。
で,そういうのが素人の遊びかというと,上記のようにラジオで紹介,…てことはCDになっていたりするわけです。
ただ,そういう曲を聴いていて思ったのは,複数の曲をミックスしてるので,どの曲も「混然」とした感じがします。シンプルとかすっきりした曲にはなかなかならない…。足し算で音をつくってますから…。
…で,話をいきなり絵の話に飛ばすと,絵画…というのが「芸術」になったのはルネッサンス以降で,それ以前は工芸品でした。印象派のあたりから芸術運動としての絵画が生まれてるんですが,その後抽象画の登場で大きく絵画は変化しました。ピカソやダリの時代には多くの抽象画家が登場し,あらゆる可能性が試されましたが,それはその時代の人が優秀だった…というだけではなく,実はその時代に「写真」というのが登場し発展した…からです。写真の登場以前には画家の価値の中に「正確に描ける」というのが結構あったらしいのですが,写真の登場でその価値が暴落した…,それで,抽象性への模索がはじまったのでしょう。つまり価値観とか概念の転換があったから,多くの可能性が試されたのでしょう。
…というわけで,音楽の話に戻すと,同じようなことが今後起きないか?…ということです。西洋ではルネッサンスで音楽も宗教音楽や宮廷音楽…から単独の芸術へ昇華されました。そしていま,既製の音楽の断片から音楽(らしきもの)をつくるのは,比較的簡単に出来るようになりました。そうしたら,そういうのでは出来ない,なにか新しい可能性が生まれるのではないか?。ちょっとそういう期待を感じてしまいました。もしかしたら,すでに萌芽が出てるのかも知れませんが…。いまとは違う何かが生まれるんじゃないか…というか,今のままじゃないよな…という気がしたのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする