たろの日記ページ,gooブログ版

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受刑者前歴情報公開について思うこと

2005-01-07 16:33:08 | 時事
かえでちゃん殺人事件の容疑で逮捕された男が二度の同種の前科があったことから,性犯罪前歴者の情報提供が話題になっている。といってもリンクは法務省が慎重…って話ですが。この手の議論は慎重にやるべきだとは思います。なんとなくいまは安易にそういう風潮になっている気がして,あまり賛同している人は,あまり深く考えないで言っているのではないか?…とも思います。もし犯人が他の属性(例えばオタクとか,精神異常者とか)を持っていたら,そっちを何とかしろ…という議論が沸き上がっていた気がするので…。
とはいえ,わたしは何度も同じ罪で有罪判決を受けている受刑者に対して監視の力を強める事自体には賛成です。別に今回の事件が起きたからではありません。以前宅間のこれまでの履歴について書いたときもそう思いましたが,更正しない人間っていうのはいるのだな…という実感を感じております。
…とはいえ,だからといって安易に受刑者の個人情報を公開しろというつもりはありません。個人情報の公開は法務省が持っている情報を,まず警察だけが入手できるようにする…,というものと一般に公開する…という二段階があると思います。しかし前者では犯人の逮捕の助けになっても,一般の地域住民が予防するという事にはならず(交番の警察が普段から目を光らせていたら別ですが),おそらく世間的には一般への公開を望む声が強くなるでしょう。
そういうレベルの話もあるのですが,もう一つこのことを考える上で,では受刑者の情報を公開することに関して,どういうリスクがあるか?…についても明らかにしておかなければなりません。わたしが一番危惧するのは,「完全に更正した受刑者に対して差別が発生する」事。このことはそもそも犯罪を起すリスクとして前歴の無い人間が意識すべき事なので,ある意味犯罪抑止力になるかも知れません。なので,そこまでは仕方のない事だ…と思うこともできます。しかし更に進むと,「更正した犯罪を起してない受刑者が冤罪を受ける」可能性が発生します。これは現在の警察の捜査方法を鑑みるとあり得ないことではありません。実際前科がなくても警察の思い込みで犯人扱いされた人が最近いく例か挙がってます。これは犯罪抑止力になるから仕方ない…とは言えません。そしてもう一つの危惧は「更正してもまっとうに生活できないことを知った受刑者が更正することを諦める」ということです。一度悪の道に落ちたということでますます犯罪にはまっていく…ということです。これも例え情報が公開されているとはいえ,良い状況ではありません。
わたしが思いつくリスクは以上ですが,なので単純に公開すればいいというものではないと思います。幾つか慎重になって欲しい部分もあります。一つは「公開する犯罪種別をかなり限定する」事。今回は「性的犯罪」について議論されているのでこれについては賛成です。しかし単純に「凶悪犯罪」とかいう括りになると,日本にはあまり他人には迷惑がかからないのに一般に凶悪犯罪と言われている罪状があるので,あまり賛同できません。再犯率で括るのも手ですが,軽犯罪とか再犯率が高い気がするので,それもちょっと…と思います。もう一つ「一度目の再犯は公開しない」というのはどうでしょうか?。わたしは二度以上同種の犯罪を起こす人は,もうすでにそういう業を持っていると思いますが,一度だけなら事の重要さを認識できずにやってしまうケースがあるように思います。もちろん,だからと言っていいという話ではありません。実際に犯罪を犯せば刑を受けるわけですから。
現状のわたしの意見は,こんなところです。綺麗に答えが出る話ではありません。安全と自由はだいたいにおいて両立しないものです。そうであれば極端な意見に走るのではなく,うまく落しどころを見つけていかないと仕方がないと思います。
犯罪者の前歴公開は決して差別のものであってはいけないと思います。しかし「警戒はするが差別はない」…というのを,通常の人は理解できるでしょうか?…。いやわたしにもあまり理解できないのですが(^^;)…,でもそういう事が必要な気がします。そして「自分は犯罪とは無関係だ」という考えもちょっと甘くて,実は世の中ちょっとしたことで犯罪者にされてしまう事があり得るように法律はできあがっていたりします(セクハラも冤罪があり得るし)。なので,慎重であるべき議論だとは思いますが,でもやっぱり子供に対する性犯罪とにかぎっては厳しくしてもいいのではないか?…とも思います。
難しいなぁ…。
コメント
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