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光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
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趣味の原点を振り返る その52 「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」のはなし

2018-01-24 05:14:57 | 趣味の原点をふり返る
 久しぶりの「趣味の原点を振り返る」ですが、今回の題材は私が鉄道模型の趣味に走る上で大きなきっかけとなったにも拘らず、これまで長いこと失念していた事です。

 事によると私と同じきっかけでこの趣味に入った人も多かったのではないかと思いますが、その辺は皆さんの思い出と照らし合わせていただくのも一興かと。

 先日、家の大掃除の折に子供の絵本の一部を処分しようとしたときにある絵本が出てきました。
「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」

 もちろん子供に買ってやった一冊なのは間違い無いのですが、これを買ったとき鉄道模型の趣味の中断中だった事もあって買った事自体忘れておりました。
 ですが、私が子供にこれを買い与えた理由は他でも無い「私も幼少の頃にこれを読んで夢中になっていたから」でもあります。

 その目で改めてこの本を開いて見たのですが、驚きました。

 表紙の裏のイラストでは手前に主人公の「ちゅうちゅう」が牽く混合列車が駅から出ようとし、その先には村や山や港を経てターミナルのある駅へ、そこから反対方向には山々の向こうに延びる別の線路まで描き込まれた見開きのパノラマが広がっています。
 まさにこれは「レイアウト」そのもの、いやそのパノラミック感は本来の意味での「ジオラマ」でもあります。
当時は幼児だった私がこれにワクワクしたのは間違いありません。

そして主人公の蒸気機関車(2B1のアトランティック)の「ちゅうちゅう」の普段の1日の描写から始まり、そんな日常にうんざりしたちゅうちゅうがこっそり脱走して単機(笑)で逃げ回るシークエンス。
その、機関車の動感に溢れるばかりでなく同時に周囲の風景をもパノラミックに描いた一連の構図もまたレイアウトの原点であります。

 我ながら「ああ、これを読んだからレイアウトをやりたくなったのか」と納得してしまうほど生き生きしたパノラマがどこを開いても展開していました。

 この絵本の中では主人公が機関車なのは間違いありませんが周囲の風景のなかにまるで蟻のように描かれたモブキャラの一人一人にも表情があり、役割が果たされ、それらが一体となった別乾坤が成立しています。

 これほど見る側のインスピレーションを刺激する絵本はそう無いのでは無いでしょうか。少なくとも当時他にもあった「新型電車がいくつも羅列されただけの絵本」にはこれほどのインパクトはなかったとおもいますし、きかんしゃトーマスの作品世界にも少なからず影響を与えていそうな気もします。

 そういえば同じ作者の描いた「けいてぃー」と言う除雪車が主人公の絵本もこうしたパノラミックな構図が特徴的でした。今でも本屋さんで買えるそうなので今度探してみようかと。
 幸田露伴が書いた「観画談」に出てくる絵もひょっとしたらこういう感じのパノラマだったのではなかったのでしょうか。これは余談。