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光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

「模型」と「オモチャ」のあいだに、先日読んだ本から

2014-05-05 20:37:07 | 思いつくままに・考察
 この間から書いてきた「モケイ」と「オモチャ」のはなし。そろそろまとめです。

 先日読んでいた1968年のTMS誌上のコラム「ミキスト」に模型とオモチャの差異について興味深い一文を見つけました。

 「非常に広く考えれば鉄道模型もオモチャの一種であろう。すなわち、オモチャの中に広義の鉄道模型があり、その中にオモチャ的な物とスケール的(或いはホビィ的な)物がある。
 そして、オモチャ的というのは悪いと同義ではない」(11月号)
 「玩具は買う人やそれを使う人にその知識が全くない。模型は作る人はもちろんの事買うだけ使うだけの人でもある程度の知識を持っている。これが大きな違いだというのである。至言だと思う。
 だから玩具の流行は売る人が作るが、模型は買う人が作るべきかもしれない。今の日本のファンにはそんな元気は全く見られないのが残念である」(12月号)

 正に至言であり、読んでいて何度も膝を叩かされました。
 おかげで膝が痛い事(笑)

 あと、ミキストではありませんがこういう寄稿もありました。

 「女性を博物館に連れて行ったことがある。

 そんな具合だから私が16番の車両を見せてこれは実物を正確に1/80の縮尺で作ってあるのだと説明しても納得がいかない。博物館にある1/20の模型と同じくらいの細かさとはどうしても思えない様子である。
 (中略)16番などは彼女には動輪とシリンダーの上に丸棒のボイラーを載せて置けば十分である。工作云々などはとても理解してもらえぬ。ただしよく走らねばならぬ。
 細密機などは走らなくても良いらしい。器用さを認めて貰いたければガラスケースの中に京人形みたいに飾っておけばよい。
 つまり、彼女にとって鉄道模型と模型は違うのである。鉄道模型はよく走るもの、模型は飾って陳列するものなのだ。

 一理はある」
 これなども模型とオモチャの関連について考えさせられる要素をはらんだ話と思います。

 結局のところ、模型もオモチャもそれを手に持つ物の心掛け次第という事なのでしょう。
 そうでなければ社会的にそれなりの実績を上げている大人のひとの中に「リカちゃん人形」や「プラレール」を集める趣味の人が居たりする事が説明できません。
 物事の上っ面だけ見て「幼稚だなんだ」「紳士の趣味だ」とレッテルを貼るだけの不毛な発想ではこの楽しみは分からないし、何かむなしい気もしてきました。

 そういえば上記に関連してTMSの先々月号辺りの記事でいのうえこーいち氏が書かれていた「マイブームの勧め」も膝を打つと同時に感心しました。
 自分だけのマイブームを持ち、それを重ねる事で楽しみだけでなく見識も広げて行くと言うのはまさに周囲の時流に流されないという意味では「大人の愉しみ」と言えます。
 46年もの間が空いていますが個々に書かれている事の本質はまさに一緒でしょう。

 そんな事を思うにつけ、模型だオモチャだと区分けして考える事が正直バカバカしくなってきたのも確かです。
 これまでの考察は私個人の中での模型とオモチャの間のグレーゾーンを考察してきましたが、結局のところそれを決めるのは作る人、買う人、使う人の一人一人の心掛けだけであるという当たり前の結論に帰結してしまいます。

 そろそろ思考のから回りもこれ位にしたいと思います。

久々の新車・KATOのクモヤ90から

2014-05-05 20:35:17 | 車輌・電車
 鉄コレの様な廉価版(とはいえ、鉄コレも動力込みだと最近はかなり高くなりましたが)でない車両としては結構久しぶりの電車の新車(中古車ではない、新規に買った物と言う意味)の様な気がします。

 物はKATOのクモヤ90。ただしT車です。
 本当はT車の2連が欲しかったのですがあいにく店に在庫がなく1両のみです。
 もっともこの状態でも保線列車などと同様に「側線の動くストラクチャー」として配置しても良いとは思います。

 両運転台の63系みたいなルックスの事業車ですが実際は回送列車の前後に1両づつ付いていたり(なのでレイアウト上での運用はT車2両で足りる訳です。動力は回送列車のそれを使えば良いわけですから)して使われるそうです。
 ですが改造車だけに元の車体の雰囲気は色濃く残っており、M車などはそのまま「小レイアウト用の20M級単行電車」として使っても違和感は少ない気もします。
 (そう考えれば「KATOの動力を搭載した単行電車」として利用価値は高そうです)

 それにしてもこんな事業車までモデル化してくるとは最近のKATOも随分マニアックになったものです。
 考えてみたら72系と言うとTOMIXやGMのイメージが強かったですが、今回の90はクモヤとはいえ、KATOとしては初めての72系ではないでしょうか。

しなのマイクロのED27

2014-05-05 20:29:14 | 車両・電気機関車
 今回は、しなのマイクロの電機機関車から。
 もっとも入線は大分前なのですが。


 ものはED27。先日さんざん手こずらされたED15と共通の動力のモデルですが走行性はちゃんとしていました。
 尤もその分ED15より割高でしたが。
(ショップや奥の状況によっては軽く1万円以上の値が付く事があります)

 全体の印象は同じ箱型のボディで動力が同じ(とはいえ台車のフレームは専用品です)なので遠目から見たプロポーションはED15と変わりありません。
 が、ボディ下部の黄色いラインが良いアクセントになっていますし、パンタグラフもED17や15よりもいい感じの物が付いています。


 元々南武鉄道で使われていた電機を国鉄へ移籍させたものなので良い意味での私鉄くささがあり、そこもED27の魅力と言えます。

 さて、これに限らず旧しなのマイクロの電気機関車を何両か見て来ましたが単純な箱型ボディでディテーリングも殆ど無いに等しいにもかかわらず実に憎めないモデルと思います。
 模型として走らせる際の肝とも言える屋根上、パンタ周りの造形にメリハリがある事、動力自体は今の目で見れば多少がさつなフィーリングでも力強さを感じる走りを見せてくれる事などが効いている様な気がします。


 機種選択は古典機中心で派手さこそありませんが、小レイアウトに使うにはぴったりな大きさでその場合にはかなりの存在感があります。
 こういうタイプの小型電機は案外モデル化の大穴の様な気もするのですが。

萌えながらぐんぐん身に付く日本の鉄道・入門編

2014-05-05 20:25:59 | 書籍
今回は先月入手した一冊から。
 前回は自分自身のノスタルジーを刺激される本でしたが、こっちは全く対極の本と言えます(笑)
 恐らくこういう機会でもなければ手を出さなかったでしょう。

「萌えながらぐんぐん身に付く日本の鉄道・入門編(と言う事は応用編もあるのか?w)(ヴィレッジブックス)」こちらも2009年初版と先の「国鉄風景」と同時期の出版ですが。

 読んで字のごとく2008年現在の車両・編成を中心に最新の鉄道車両を紹介した入門書と言う体裁で全くの初心者が読む限り現在の人気車両の基礎知識位は身に付く内容です。
 が本書の特徴は見開きページの左側に前述の最新車両の解説と写真を載せ、反対側の1ページを丸ごと使って当該車を萌えキャラに擬人化したイラストを丸々使っている点にあります。
 本書を作った側からすればこちらの方がメインなのでしょう。

 ですからこれはこれで一種の画集と思って読めばそれなりに笑えます。

 先ずこれを見て感じたのは「無理があり過ぎる」と言う印象でしたw

 元々鉄道車両と言うのは擬人化される事を前提にしていないデザインなので下手にキャラクター化するとかのトレインジャーさながら(笑)のヘンテコな代物になりやすいものです。
 本書もその点では例外ではなかった様で

 この辺はまだわかるとして

 これをVSEと思ったり

 これをEH500と思うには相当の脳内補完を必要とします。

 さっき上で擬人化を前提にしていないと書きましたが、それでも人間には車両の最も特徴的な部分を誇張して感じる視覚作用があり、例えば車のフロントなどから人の顔を感じたり、木の葉の影を幽霊に見立てたり出来たりするものです。
 鉄道車両でも同じ事が言え、列車をぱっと見ると最も特徴的に感じるポイントと言う物が必ずあるものです。

 今回、書かれている萌えキャラの大半はそこをまず踏み外しているのが惜しい所でしょう。
 車両の塗り分けや細部のディテーリングにこそその車両特有の特徴は感じますが、全体の印象把握が今ひとつな物が大半でした。

 こういうイラストを描くには大なり小なり対象への拘りか愛情が必要と思うのですが見たところ本書のイラストを描いた型の大半は実車の写真を何枚か渡されてその細部だけ見て描いた様な気がします。
 萌えキャラでもゆるキャラでも実車の特徴的な部分を一発でアピールできるイラストであればよかったのですが…

 とはいえ鉄道車両の擬人化自体が非常に難しいのは確かで、それに果敢に挑んだ努力は大いに評価できると思います。


 最近でこそこういう形式の本は他ジャンルでいくらでも出ていますし、萌えキャラそのものを街おこしや会社のイメージキャラクターに使うのも珍しくなくなっていますが、2009年当時はまだそこまでのムーブメントにはなっていなかったと思うので、仕方ない面もあると思います。

 もし今こういう本が出ているなら描き方に進化があるのか見てみたい気もします。

「模型」と「オモチャ」のあいだに3・「HOゲージ」に思うこと

2014-05-05 20:24:00 | 思いつくままに・考察
 久しぶりに酔っぱらいの戯言から
 模型と玩具のはざまにその3です。

 移転後のこのブログを読んで下さる方の一部にはお気付きの向きもあるかと思いますが、16.5ミリの線路幅のモデルについて「16番」と「HO」を併記する形をとっています。

 この世間の一部では16番かHOか、あるいは16番とHOは同じものかと言った論争が喧しいですが、私がこれを併記する形としたのにはこのサイズのモデルの場合、NやZ以上に所有する車両で日本型と外国形の比率が接近しているという事情があります。
 したがってこのブログの上では「日本型=16番」「外国形=HO」と言う大雑把な分け方で区別しています。

 実際このサイズのモデルではサイズこそほぼ同じですが、日本型と外国形の設計上のポリシーやコンセプトの差異が大きくて同じ呼称を使うのに少し違和感を感じてきたという事があります。
 ですが最近、その差異をより顕著に感じるようになってきました。

 このサイズのモデルにも手を出し始めて気づいたのですが、日本型はプラ製、ブラス製を問わず作りやディテーリングこそ優れている反面、異様なほどに華奢なモデルが多く、飾り物には適しているものの「走らせるモデル」として常用するには少し躊躇させられるものばかりです。
 一方(中古が中心なので最新のモデルもそうとは限らないのですが)外国形の場合はそれなりにディテーリングの甘さがあるものの走らせる際の安定性や信頼性が非常に優れている物が多く、ちょっとやそっとの事ではトラブルが起こる事が少ない印象の物が多かったです。
 加えて走行系の分解・整備については方法が簡便だったり、走行系の調整がしやすい様な配慮が払われている(量産品のダイカスト&プラ車体のモデルでも動力の分解方法のマニュアルが付属しているモデルが多いのには驚かされました)事も大きな特徴です。

 私自身は別にモデルの国粋主義者でも西洋かぶれでもないと思っているのですがそれでもこのコンセプトの違いの大きさを見ると安直に16番とHOを混同できない様な気がしてきています。
 それこそ先日来考えている「模型」と「おもちゃ」の本質に触れるところっではないかと思えるからです。

 「鉄道模型」それ自体が「模型」と「おもちゃ」の両方の側面を持っており、そこに魅力を感じている(少なくともNやZについてはそうです)事はこれまでにも書きましたが、16.5ミリゲージのスケールの世界ではその要素が分裂しかけたまま推移している印象を感じます。

 車両自体は手工芸品と言っていいレベルの作り込みがされていながら、非常に高価な上に造りも華奢で思い切った運転用途に特化できない16番モデルの完成品を見ていると時折「なんでこいつにモータとギアが付いているんだろう」と疑問を感じる事があります。
 実際、棚か何かに飾って日がな眺めている用途には向いていますし、その意味では「模型」としてのスペックは非常に高いと思えます。
 この点では外国形モデル、或いはほとんど玩具一歩手前の運転用日本型の方が割り切りと思い切りがはっきりしていてすがすがしい感じすら受けます。

 ディテーリングの省略ばかりか一部のスケールアウトやディフォルメに対しても寛容(とはいえ、実車に基づいた考証にはそれなりに神経質だったりもするのですが)その代り走りについての妥協は殆ど無く、常識の範囲内ならどんな線路条件でもきちんと走る(フランジがでかいだけに日本型の線路、特にポイントの通過時に派手な音を立てる場合が多いのですが、それでも走行不能になるケースは少ない)信頼性と安定性を兼ね備えています。
 
 ですがそれらの特徴とスペックは「模型」と言うよりも「おもちゃ」の要素が高いが故に実現している信頼性です。

 前にも書きましたが「模型」だから良くて「おもちゃ」だから悪い、あるいは幼稚だとは思いませんし(その逆も同様です)むしろ「模型」と「おもちゃ」の二面性がある所に鉄道模型の魅力の大半があると思っていますのでこの点について二つを区別、または隔離する必要はそれほどないと思います。

 ただ、その魅力が発揮されるにはこの二つの要素の釣り合う「均衡点」をどこに設定するかが問題だと思います。
 おそらくこの点については16番のメーカーの大手は常に考慮している、あるいは悩んでいる点ではないかと思えます。
 同じ事は最近のNゲージでもいえますが。

ふたつのED41に思うこと

2014-05-05 20:19:46 | 車両・電気機関車
 今回は中古モデルのはなしから。

 ワールド工芸のED41.
 同形車のマイクロ仕様を昨年春に入線させたばかりですがワールドからも同型機が出ていたとは知りませんでした。

 しかも驚くべき事に中古価格がマイクロとほとんど同じ(因みに新車価格はマイクロの3倍です)
 私の中では(ワールド=精密だけど高価格)という先入観に近い刷り込みがあったので少なからず意外だったりします。
 とはいえ入線させてみると今回のED41に関して言えばその造りには「値段相応」という印象も受けてしまいました。
 不満点は主に足回りです。


 動力ユニットの都合からか台車のインナーフレームがカプラーボックスも含めて一個の「黒い箱」に見えてしまうこと、折角ロッド駆動の足回りを持ちながらロッドがシャンク軸と連動していないこと、床下機器が箱でなく「板」で表現されてしまっていることなど正直「ワールドにしてはちょっと」という感じです。


 前面手すり類の細密感は無類ですが、それだけに足回りとのアンバランス感が気になります。
 後継機のED42もこのメーカーから出ていますが、それも同じユニットなのでしょうか。とするとマイクロのED42との差はそれほど大きくないことになり新車では若干割高感があると思います。

 但し、走行性はピカイチです。これも性能的に安定した汎用型動力ユニットを使ったためと思われますが確証はありません。
 少しきつい書き方になったかもしれませんが、要はそれだけ「高価だけれど完璧に近い仕上がり」というワールドのブランドイメージが私の中に浸透しているという事でもあります。

 実際AB10とか、クモルとかはかなり独創的な動力改修やユニット開発を実行していましたから、ED41にも同様の凝り具合を無意識に期待していた所もあったと思います。

 先に書いたように走りはしっかりしていますし、使える機関車であることは間違いないのでマイクロのとペアで(とはいえ色が違うのですが)活躍してもらうつもりです