2009年秋・アニメ最終回の感想文その9

2009-11-24 21:42:08 | 2009年夏アニメ関連

 はわわ…気がつけば今年も残すところあと1ヶ月ちょい。世間では紅白歌合戦の出場歌手も決まり、その中に天下の水樹奈々もいらっしゃるようで…しかしVIPPERが人気投票で1位を取らせようと裏で暗躍しているらしく、見ていて少々痛々しくなることもしばしば。そんな中今回はローカル局で放送された多分GONZO最後の作品「シャングリ・ラ」「プリンセスラバー!」の最終回を視聴したのでそちらの感想を書いてみたいと思います。

Shangrila3 Shangrila4 「シャングリ・ラ」…月刊ニュータイプで連載されていた、池上永一の小説「シャングリ・ラ」のアニメ化作品で、アニメ制作はGONZOです。春に放映されたGONZOアニメの中で「咲-Saki-」は途中から制作がピクチャーマジックに代わってしまい、もう一つの「スラップアップパーティ-アラド戦記-」のほうは韓国スタッフが多く関わっていたため事実上この「シャングリ・ラ」がGONZOブランド最後のテレビアニメ作品だと思われます。そんなこの作品の第1話を見たときは、なかなか気合いの入った作画に加え炭素経済の説明もそれなりにあったためイイGONZOの雰囲気を感じました。

 …感じましたが、早速2話目から大量の伏線が出てきて良く分からない展開が続いていました。そしてメデューサや炭素経済の仕組みがイマイチよく分からないうえに、抽選でアトラスに入居できる…などいきなりそういう設定が出てきて困惑することもしばしば。そのあたりの展開をもうちょっと分かりやすくしてほしかったと思いました。

 話の展開や設定は置いておいたとしてもこの作品で一番問題だったと思われるのはキャラクターで、個性強いキャラは多かったと思いますがとにかく見ていて腹が立ってくるキャラの多いこと…最初に感じたのは秋葉原にいた3人組の話聞かないオジサン連中でしたが、総理大臣のあのお方に美邦の従者のあのお方にメデューサ作った香凜…と最後のほうでイイ人になっても遅いよと思わざるを得ない方々が多く、主人公の北条國子も別に魅力感じなかったし萌えも皆無だし…一番良かったキャラはジョージとミーコのオカマ2人だった気がします。

 原作もこうだったのかGONZOの改変かどうかは知りませんが「電話がつながらなくても心はいつでもつながっている」などとカッコイイ台詞や、いきなり時計塔のてっぺんから飛び降りるなどなんかGONZOらしい展開が続き、さらには原因不明のアトラスの固有震動や7歳までの子供を生け贄に捧げる呪術、超科学とかどんどんファンタジー要素まで加わって、アトラスAAAやアトラス計画などさらに風呂敷が広がってきて原作知らないと完全に置いてきぼり展開になっていました。

 最後は世界が破滅するかどうかの戦いや女王卑弥呼との戦いなどスケールが予想以上に大きくなり、ついには亡霊が弾丸を弾いたり下が見えない高さから落ちたのにほとんど無傷だったりと見ていて納得いかないシーンが延々と続き最後はハッピーエンド?かどうか良く分からないお約束のような終わり方でした。

Shangrila2 話としてはつまらなかったですが、この作品のオープニング曲は「マクロスFRONTIER」で一躍有名になったMay'nが歌っていて動きも良く、エンディングも落ち着いた曲でモモコが非常に艶やかだったので始まりと終わりは良かったと思います。作画も特に気になった回は無かったし、逆に背景とか素晴らしい出来でした。それだけにシナリオや脚本が非常に残念です。そして売れてないせいかGONZOがやばいせいかは分かりませんが、この作品のDVDシリーズは7巻以降は単品での発売が中止となり7~12巻はBOX仕様として1つにまとめて発売されるそうです。

 おそらくGONZO制作のアニメはこれが最後だと思われますが、ある意味GONZOらしいオサレで微妙な作品だったと思います。GONZOさんお疲れ様でした!

Princesslover2 Princesslover3 「プリンセスラバー!」…Ricottaの18禁PCゲーム「プリンセスラバー!」のアニメ化作品で、アニメ制作は元サテライト大阪スタジオが独立して設立されたGoHandsです。魅力的な絵とは裏腹にマニアックなエロで有名なこの作品がアニメ化すると聞いたときは最初ネタかと思ってしまいましたが、一部では話題になっていたこの作品、第1話はいきなり両親の墓参りをしていて?となった直後にいきなり大富豪の祖父の養子になりセレブの仲間入りとかしていて各ヒロインの顔合わせで終わっていました。

 正直この手のエロゲ原作のアニメは微妙な出来で終わることが多い中、この作品はかなり原作の設定を改変して思い切った作品に仕上げていたようです。まず基本的にエロゲの主人公はゲームの性質上あまり性格に個性が無いのが一般的ですが、アニメ版は居合いが使えてバイク通学をしていてかなり正義感が強いキャラクターになっていました。

 そしてなんといっても良かったのが脇役の男性キャラで、執事のマスターアジ…じゃなくてアルフレッド、会社の都合よりも社員の安全を即決で優先させた主人公の祖父(若本)、白石稔が声をやっていたクラスメイト、テロリストの2人組など非常に面白いキャラクターが多く見ていて飽きませんでした。

 脇役が非常に魅力的でしたがヒロインも負けず劣らず良くて、このあたりはさすがエロゲ原作といったところでしょうか。物語としても他のヒロイン達とフラグを立てつつグダグダな展開になって終わることなく、主人公はちゃんとケジメをつけていたのでそこも非常に好印象でした。

 序盤は各ヒロインとの顔合わせから学園生活などが展開されていてお約束な内容が多かったですが、ギャグのテンポも良く見ていて面白かったです。そしてその真骨頂が6話の温泉回で、視聴者に配慮!と作品中で言ってしまい、さらにカイジネタまでパロディで引っ張り出してくるなどぶっ飛んだ内容でほとんど別作品と化していました。後半のシリアス展開は賛否両論でしたが最後は強引ながら第1話の伏線を回収しつつうまく締めていたので全体的に良くまとまっていたと思います。

 作画も最初から最後まで安定していたしシナリオも設定もイイ意味で改変されていたので予想よりかなり面白かったです。12話でここまでまとめたのはさすがだと思いました。