2009年秋・アニメ最終回の感想文その7

2009-11-10 15:25:15 | 2009年夏アニメ関連

 秋アニメも一段落したので現在は残っている夏アニメを視聴しているところです。なんだかんだで今年もあと残り2ヶ月を切っているわけで…気がつけばあっというまに年末とかなっていそうで恐ろしや。目標としては今月中に夏アニメは全部見終わりたいところです。今回は「バスカッシュ!」とローカル局で放映された「化物語」の最終話を視聴したのでそちらの感想を書いてみたいと思います。

Bascash2 Bascash3 「バスカッシュ!」…河森正治とロマン・トマによる日仏合作のアニメ作品で、アニメ制作はサテライトです。アニメ本編が始まる一週間前から特番「レジェンド・オブ・バスカッシュ!」が組まれたり、バスケットシューズデザイン協力にNIKEが関わっているなどなかなかの力の入れようだったこの作品、第1話は素晴らしい作画力を発揮しつついきなりの伝説誕生から始まっていました。

 そこからは破天荒な主人公ダン・JDが活躍する話が続いてましたが…残念なことにイマイチ盛り上がりに欠けていました。その要因の一つと考えられるのはキャラクターにあまり魅力を感じず、主人公のダンが悪い意味で熱血馬鹿のため周りに迷惑をかけまくっていて、見ていてあんまり良い感じではなかったことやデストロイことアイスマンがバスケではなくドッジボールやってたり…と意味不明なものが多く、ヒロインのセラも序盤はただのエロ要員だったのもイマイチでした。

 それが数字にも出たのかは分かりませんが11話からは放送中のテコ入れで今まで監督だった板垣伸氏がクビになり、代わりに佐藤英一氏が監督に就くという出来事がありそこからはエロ要員だったセラがエロくなくなり空気キャラになったり、1話を4分割にして逆に話の展開早すぎて訳が分からなくなったり、物語の重要イベントのはずの月へのパスポート賭けたキングオブキングスとの決勝戦が15分で終わってしまったり…と作品としての迷走がさらに加速する結果となっていました。

 後半からは何やら伝説の復活やら世界を救うやらと段々壮大な話になってきて、主人公の目的も妹を救うために月に行きたいとなっていたのが真のヒロインルージュを救いたいに変わって最後は世界を救うために月へ行くとかどんどん目的が変わり、後半はバスカるとかバスカーッシュとかバスカッシャーとかそればっか連呼していた気がします。結局最後までバスケをやって勢いだけで終わってしまい、シトロンは歌を歌い続けていたのでマクロスと変わらないじゃないかと思ったりしました。

Bascash4 しかしこの作品、シナリオや構成はどうしようもありませんでしたが作画は相当良く、ビッグフットのメカデザインは河森正治らしい完成度の高さだったし、フランス作画スタッフによる建物や背景美術の細かさは目を見張るものがありました。音楽も初代オープニングや後期エンディングを歌っていたユニット「エクリップス」の歌は非常に良く、この辺りは非常に良かったです。それだけにシナリオが…個人的には「IGPX」のようにリーグ1位を目指す戦いだけを繰り広げたほうが良かったと思いました。

 そしてこの作品、最終回はオリンピック委員会の投票日と重なったため特番が組まれていたらしく、東京が落選して特番が中止になり急遽最終回は前倒し放送が決定したため自分含め録画できなかった視聴者が続出しました。しかし「あ~録画できてなかった…まぁいいか」というレベルの残念な作品だったため、DVD、BD売り上げも相当悪いらしくロマン・トマ氏涙目でした。しかしプロジェクトバスカッシュはまだまだ終わらない!らしいです。前人気の高さとは裏腹に見事に期待を裏切られた作品でした。

Bakemonogatari4 Bakemonogatari5 「化物語」…講談社BOXから刊行されている西尾維新のライトノベル「化物語」のアニメ化作品で、アニメ制作はシャフトです。アニメやゲーム化などのメディアミックス戦略を否定し、することも不可能と呼ばれていた西尾維新作品を新房監督×シャフトがアニメ化するという企画「西尾維新アニメプロジェクト」の第1弾として制作されたこの作品の第1話は、いきなりの視聴者おいてきぼり展開に加え新房監督独特の演出が非常に多く、原作者を知らない人から見るとあまりに訳が分からなくて通称「新房監督のオナニーアニメ」とか言われて評判は散々でした。おそらく第1話だけみてアニメを判断していたらここで視聴をやめる人も少なからずいたと思われます。

 自分も原作を知らなかったので第1話は確かに訳が分かりませんでしたが、かえって逆に原作を見てみたくなるような印象でした。そう思いながら第2話を視聴してみると、戦場ヶ原ひたぎのエロ過ぎるシーンがあったと思ったら予想外の展開を見せて終わり、ひょっとしてこの作品面白いんじゃ…?という雰囲気を出し始めていました。

Bakemonogatari6 そしてこの作品の人気を決定づけたのが、「バスカッシュ!」の監督をクビになった板垣伸氏が制作した「まよいマイマイ」のオープニングでした。この作品、2~3話で話が一度完結するショートストーリー形式ですが、メインキャラが変わる度にオープニングを総入れ替えするとう非常に贅沢な使い方をしていてその演出も好評でした。

 オープニングも評価が高かったですがエンディングの方も初音ミクの「メルト」や「ブラック★ロックシューター」を制作したryo氏率いるアーティスト集団Supercellがエンディング曲を制作していて、そちらもフルコーラスで聴きたくなるほどの素晴らしい良曲で、こちらもオリコンランキング5位に入るなどしていました。

Bakemonogatari7 音楽も非常に良かったですがそれを上回る勢いだったのがキャラクターで、メインからサブキャラに至るまで非常に魅力的なキャラクターが揃っていました。ツンデレ?からロリっ娘まで幅広くそしてその全員の個性が強すぎるため見ていて非常に面白かったです。

キャラクター萌えだけでも十分視聴できる作品でしたが、西尾維新独特の言葉を使った演出のようなものを新房監督×シャフトは見事に活字のカットインなどを入れて表現していて、普通に視聴しているつもりがいつの間にか見入ってしまいました。物語も妖怪モノとはひと味違う独特の解釈を見せてくる今までに無い作品で、思わず原作を見たくなってしまう作品です。

 気になったところといえば、アニメでは2~3話で完結しているためかなり話の尺を短くしていて、良く分からないまま終わってしまうところがあったのと、制作が間に合わず作画崩壊…にはなりませんでしたが止め絵で話が進んでしまった10話など問題になったところも少なからずありました。

 しかし裏を返せば作画が間に合わなかったところはDVDやBDで修正されてるし、話の尺が短くて良く分からなかったところは原作読めば補完できるし…とそういう意味ではこの作品の完成度はかなり高かったと思います。さすが2009年夏アニメランキングで1位になった作品、非常に素晴らしかったです。テレビ放映版は12話で終わっていますが続きはWeb配信で15話まで放映されます。今回は一応テレビで最終回になったため書きました。

 BD売り上げではテレビアニメ歴代1位になったし商業的にも大成功、西尾維新アニメプロジェクトとしては最高のスタートではないでしょうか。続く第2弾にも期待してしまいます。