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高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

爽やかな春風にのって…

2009年05月10日 07時00分39秒 | 工房

朝晩はまだ寒いが、日中は実に気持ちの良い日が続くようになった。爽やかな春風にのって、燕が工房に飛び込んできた。毎年、この時期になると燕が巣作りの場所探しに舞い込んでくる。「あー、今年も春が着たんだ!」 人の世は、やれ倒産だ!やれ派遣切り、新型インフルエンザ……と姦しいが、自然の世界では、何一つ関係ないように、燕が春の到来を告げに来てくれる。

燕と一緒に爽やかな報告が、昨年、ウチの工房から独立した遠藤君が結婚の報告に来てくれた。独立する時の挨拶に「竹細工をしながら、ちゃんと結婚して、普通の生活が出来るようにして行きます!」と言っていたので、もう、この時に結婚するつもりだったのだ。

同じ竹細工をしている彼女を連れて、「先日、籍を入れてきました。お世話になった方に、報告に回っています」と、晴れやかな顔で言う。遠藤君も新妻の「あすか」さんも同じ愛知県出身。二人のご両親に報告がてら、愛知県の役所に婚姻届を出してきたそうだ。

「親戚筋の結婚式は愛知でして、こちらでは、仲間内だけのささやかなパーティーをしたいと思います。」と。

この二人の事は数年前から、それとなく噂には聞いていた。しかし、真面目一本やりで浮いた話などは一切しない、遠藤君にはみんなも聞き辛く、知ってはいても誰も口には出さないという状態がずっと続いていた。「カツラを被った友人が居て、誰が見てもカツラと判るのだが、誰一人その事には口を出さない」という様な感じであった。

この、どん底の厳しい不況の中からの出発だ。何もかも、一から二人で作り出して行く事が、彼らの大きな財産になっていく。恵まれた状況で何もかもが揃った出発より、何も無い中から、二人で作り出して行く、楽しさの方が幸せな気がする。若い二人に乾杯!

竹工房オンセ

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