「やったしこ」
職人の世界において、私は古臭い考えの持ち主なのか?積み重ねたものしか身につかないと思っている。
私が竹細工を始めたころは、やっただけ、自分の技術が上達するのが感じられ、面白くて面白くて時間を忘れて竹細工をしていた。
今は時代がゆったりしているので、就業時間の短縮や、週休3日制など、世の中は楽な方向へ進んでいっている。
公務員や大企業の社員であれば、それも良いかもしれないが、職人の仕事は地道な積み重ねでしか、身につかないし、感じることが出来ないものだと思う。
「9時5時」ならぬ、「5時9時」の就業時間であった。
朝目が覚めたらすぐに作業部屋に行き、夕食後も8時9時まで、毎日作業していた。それが全然苦痛では無かった。ある意味、楽しかった。
結婚し、自分一人だけの生活リズムではやっていけないので、休日を取るようになり、家族団らんの時間を楽しむようになった。
最近は、65 歳を過ぎ、高齢者と呼ばれる年齢に入って来たので、若いころほどがむしゃらにすることは無くなった。
しかし、普通に「9時5時」 は仕事をしている。今は新しい試作品を作ることや、今までの作品の作り方や伝達する方法の見直しを楽しんでいる。
今でも、毎日発見があり、同じ作品でも、「こうしたらもう少し楽になるのでは?」「この方が収まりが良いな」などと・・・・・