竹の「爪とぎ」
https://www.take-once.com/SHOP/tumeyasuri-S.html
今回、デビューしたのが、この「爪とぎ」です。
ちょっと長くなりますが、この爪とぎが出来るまでの顛末を紹介します。
昨年の夏、初めのお客様から、おじいちゃんがお気に入りの「竹の爪とぎ」を作ってくれないか?と、問い合わせがありました。
「竹の爪とぎ」?????
今まで、40年近く竹細工をしているが、聞いたことがない。
先輩の竹職人さんに聞いても誰も聞いたことが無いという。
そこで、どんなものか送ってもらうことにした。
送られてきたものには、靴ベラの様な竹片に何か、横じまの物が張られていたような物が届いた。もう古くて何が張り付けてあるのか?全くわからない。
細い竹ひごを作って張ってみると、ひごに張りがあり過ぎて、うまく接着できない。それでは、柔らかい籐ならどうだろうか?と、張ってみると、何となくいい感じだか、籐は柔らかいので、肝心の爪を研ぐことが出来ない!
いろいろな形状に籐を加工し、貼り付けてみるのだが、どうも違うようだ!
いろいろネットで調べていると、どうも、「木賊」では無いかというヒントが見つかった。
早速、花屋さんに行って、「木賊」の鉢を買ってきて、実験をしてみる。
竹に薄く削ったトクサを張り付けてみる。
木賊というのは「研ぐ草」とも言われ、とても表面がザラザラしており、物を研ぎあげるものとしても使われているようだ。
「おそらく、この竹の爪とぎには木賊が張ってあったのだ!」と、確信した。
問い合わせを頂いたお客さんに、これではないですか?と、送ってみると、
おじいちゃんが、「正に、これだ!どこにあったのか?」と、大喜びされたそうです。
それから2か月ほどして、
「その後、爪とぎの使い心地は如何ですか?」と、問い合わせてみると、
「おじいちゃんが、とても気に入っていつも使っています。
ありがとうございます。ただ、使い方が荒いのか?ところどころ剥がれて来ています。」と返事が返ってきた。
いったん、送り返してもらい、
どうして剥がれていくのか?
今度は、接着剤をいろいろ変えた見たり、接着方法、下処理の仕方、制作方法・・・・・・etc
そして、やっと納得できるものが出来ました。
耐久性の実験もしてみました。実際に爪を削るのでは、爪が無くなってしまうので、竹を10万回ゴシゴシゴシゴシと削っても剥がれません。
これなら、大丈夫だ!
やっと、出来上がりました。
「木賊の爪研ぎ」で調べてみると、明治時代にはこれで爪を削っていたようです。
「荒城の月」の滝廉太郎も木賊の爪とぎの大の愛好者だったそうです。
今回、デパート催事にこの爪とぎを持ってきたのですが、お客様に商品説明をすると、皆さん大変興味を持ってくれます。
10個ほどもて来たのですが、前半の三日間で売り切れてしまいました。