高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

あささんの記事を読んで!

2007年09月22日 10時38分36秒 | 友人

ミクシィの仲間で、竹の大先輩の「あさ」さんhttp://blog.goo.ne.jp/takae_1/d/20070530の記事を読んで

“久しぶりに百均(百円均一ショップ)を覗くと、竹製品があるわ、あるわ。これじゃやっぱり安い物は百均で買わないと損ですね、庶民の感情もわかります。
とすると日本のカゴ屋さんは、何をターゲットにしてものを作ればいいのかな? 私が云わなくても当然、考えているでしょうが。海外ボケしている私も、たまにはこういった店も覗いて勉強しないと。
かって日本は、安価な労働力を背景にしてダンピングしているとヨーロッパ市場からボイコットされ叩かれたけど。カゴに限らず、中国大陸から押し寄せて来る廉価攻勢に、なにも打つ手はないのだろうか。
難しいことを言っていても仕方がないので、元に戻って「我が道を行きます。」
まずは、百均では、売ってないものを狙え。
 (でも、かなり大きいもの、ザルや盛りカゴもある。)
それでも小物も作りたいね。売れる?売れない?は別にして。
今日、勉強したことを明日から実践に移さないといけない。考えてばかりいても前進はないから、とりあえず、またもの作りをしながら、少しずつ考えましょう。という結論に達しました。”

この記事に対して、沢山の方が書き込みをしていました。私もも思うところがあり、ブログに書いてみます。

今回の100均のテーマは大変奥深く、また、広範囲に渡る価値観の問題で、私達もいつも考えさせられる所です。
私自身、値段が張っても自分の手元に置いて楽しみたい、納得して使いたい物については拘って、高くても良いものを買いますが、取りあえず便利で間に合わすものや、100均でも充分役に立つ物などもありますので、購買動機を分けています。

竹製品でも、何でも同じですが、買う側の購買動機によって需要が違うので、その中で「私は何を作ったら生き残っていけるのか?」を選択していくことになります。
日本中で以前はあれほど沢山日常雑貨の竹製品を作る職人がいたのに、日常雑貨を作っていたのでは、日本の中での人件費に追いついていけれない現状、「年金を貰いながら小遣いくらいになれば良い」と考える職人ばかりになってしまうと、当然、後に続く後継者がいなくなってしまいます。若い人が職業として竹細工を選んでも、家族を養っていけるだけの収入が得られるような職業にならないといけませんね。本人の才能にもよりますし、消費者の考え方、経済状況など、いろんな事が関連してきます。

私の所では高額な竹のバッグを生産していますが、海外ではまねの出来ない完成度の作品を作ることでお客様の支持を頂いています。「高額でも、良い物を納得できれば欲しい!」という客層に絞り込んだ作品作りをしています。相反して、「少しでも安く沢山の人に!」という気持ちもありますが、どちらもやろうとすると、どうしても焦点のぼやけた作品になってします。また、私の所より、高額な一品物にターゲットを絞ってやっておられる方も居られます。

たとえば、時計を買うときに、100均でも売っていますし、はたまた、一つで何百万、何千万もする時計もあります。どれを選ぶかは?消費者の価値観の問題になってきます。バッグでも1000円くらいから何百万まで巾があります。その中の何を選ぶかは人それぞれなんですよね。

_004_12 ちなみに私が今使っている時計は二十歳の時に姉が成人のお祝いにと買ってくれたものです。当時としては随分高い贈り物だったのですが、成人して「大人になったのだから、人に見られても恥ずかしくないように!」と姉の気持ちが伝わってきました。45歳まで使っていたのですが、長年の汗などによる腐敗で時計に穴が開いてしまいましたが、それを聞いた姉がまた、同じものを贈ってくれました。ちょっと余談になってしまいましたが、ちょっと自慢なのです。

どれが良いのか?悪いのか?100均でも高額品でも、いろんなニーズのお客さまが居られる中、自分の作品をどの位置づけに持っていくのか?考えていかなくてはならない。その部分を間違うとピントはずれな作品になり、生き残っていくことが出来なくなってしまうのですよね。作品の完成度、職人の賃金などを考えて、あくまで、適正価格で適正利潤を頭に置いて、消費者を騙すことなく値段を付けていってます。

今日は随分、「あささん」の記事を読んで長くなってしまった。このブログを見て、何かご意見がありましたら、是非、書き込みしてください。

竹工房オンセ

コメント (1)
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