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高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

大分に帰ってきました。

2009年04月21日 08時12分56秒 | 工房

イーグレ姫路での最終日は 朝のうちに殆どの荷物を片付け、バッグを10個ほど、その他はお箸などの小物だけにしておいた。デパートの催事のつもりで、荷物を送っていたので、全然飾る場所も無く、また、飾ったとしても、体勢に影響は無かったと思うが!全部で12箱送っていた物を、中日の三日目に6箱送り返した。そして、最終日の朝には3箱荷造りしたので、最初から、3から4箱にしとけば良かったと、後悔しきりである。

朝のうちに殆ど片付けたお陰で、17時閉場であったが、17時10分には会場を飛び出して、姫路駅まで走った。17時28分の新幹線に飛び乗り、岡山で「のぞみ」に乗り換え、小倉で日豊線の特急ソニックに乗り込んだ。別府に着いたのが21時。迎えに来てくれていた妻の車で、家に着いたのは21時半であった。

3週間ぶりに帰ってきたほっとする。「やはり、我が家が一番!」

昨日は、3週間溜まった事務仕事をするだけで精一杯。疲れが溜まっているのか、夕方からバタンキューと眠ってしまった。

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職人の置かれた立場

2009年02月21日 08時34分31秒 | 工房

毎年、年初めに工房のメンバーと個別面談をして、「今の工房の状況と今年一年をやる気があるのか?」の話し合いをしている。特に今年は、世界的な経済危機を背景に毎日、毎日、「派遣労働者の解雇だ。人員削減、減益、減収、リストラ……」とそんなニュースばかり流れている中での個別面談であった。

私の所でも、既存の作品群を同じように作っているだけでは、生き残っていけない!新しい作品つくりをしていくので、製作作品が変わることになる旨、話をした。その中で、ある職人さんが、「もう、止めようと思う。丁度良い機会だと思う。」と切り出された。よくよく、話を聞いてみると、以前20年近く厚生年金をかけていたのだが、今の状態の国民年金のままでは、60歳を過ぎてから、少ない国民年金だけでは生活できそうにない。そこであと5年ほど厚生年金の掛けれる会社に勤めて、以前の厚生年金とプラスして、ある程度の年金が貰えるようにしたい!」という事であった。「ある程度の年金が取れるようにしてから、副業的にここに戻ってこれれば?」と。

その後、よくよく話を聞いてみると、この人は結構な頑張り屋さんで、以前は毎月20万円以上生産していた。しかし、「5年ほど遣って、手仕事では、これ以上にはならない!どんなに頑張っても、何年やっても変わらない!」と思った時から、気持ちが切れてしまったそうだ。それからは、どんどん、生産量が減っていった。確かに、一般の社会に比べて、職人の生産量は低い、もっと生産性の良い職種であれば、もっと、もっと、彼のモチベーションを持続できるような対応も出来たかも知れないが、残念ながら、今の私の置かれた状況では無理である。

昨年入ったばかりの職人さんにも「5年を目処に技術を付けなさい!一生懸命やれば、手取りで20万円になるだけの技術は付く。それと、5年間のするだけの仕事は作ってあげる!」と言っている。しかし、手取りの20万円と言っても、サラリーマンの手取りとは違う、その中から健康保険を払い、国民年金を払わなければ為らないのだから。

厳しいけど、これが現実である。

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落語を聴きながら

2009年02月16日 09時06分46秒 | 工房

昨日は一日中、事務所で作業をした。日曜日なので、工房のメンバーは誰も遣ってこない。こんな時の方が雑念が無く、仕事が出来る。

普段だと、作業場で仕事をするのだが、今日は、誰も居ないので、事務所に道具を持ち込み、ヒゴを取ったり、机の上で竹編みをしたりと……。ここならば、12畳ほどの広さなので、ストーブ一つで事が足りる。また、他のメンバーの耳を気にしなくて良いので、自分の好きな音楽をかけたり、落語のCDを聴いたりと気ままに作業が出来た。

注文の作品を作っているのだが、途中まで編みこんだ所で、どうにも竹の微妙な色の違いが気になってきた。どうしても、天然素材なので、多少の色の違いは有るのだが、前回ヒゴ取りをした時のヒゴと、追加でヒゴ取りした時のヒゴが、微妙に違うのだ。ヒゴの時はそれほど気にならなかったのだが、編み合わせて行くと、だんだん気になってきた。染色するのであれば、全然気にならないのであるが、今回の注文品は、染色しない天然素材のままなので、何となく奥歯に物が挟まった様な感じが残っているのだ。

結局、悩んだ挙句、半分ほど編み戻し、もう一回、後からヒゴ取りしたものと同じ竹でヒゴを取り直し、編みなおすことにした。「後悔、先に立たず!」という通り、「あの時、やっぱりやり直せば良かったのに!」とは、思いたくない。 時間をかけて編み上げた物を解く時は涙が出てくる。

しかし、ヒゴを取り直し、編み始めたら、「やっぱり、やり直して良かった!」と思えてくる。

それと、今日は例の大阪からやって来ている、お惚けちゃんの、竹の学校の合格発表の日である。受かったのか?ダメだったのか?ホントに気になる日である!

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万年筆 2

2009年02月12日 06時19分28秒 | 工房

最近は、日本の拘りを持った、高級万年筆を欧米に輸出する事も始めたそうだ。蒔絵をあしらった万年筆など、高額な商品への需要は結構あるそうだ。今まで扱った中で、一番高価な万年筆は、1本1500万円だったそうだ。

私の所で、万年筆の軸に竹をあしらった何かが出来無いか?と相談に来たのだ。限られたスペースに相当制約のある仕事である。しかし、何でも、挑戦!やってみる価値はある。とりあえず、サンプルを作ることになった。

言うことは、実にはっきりしていてビジネスライクであるが、ある意味インチキが無くて好感が持てる。「私たちは商売ですから、一つでも多く売れればいいのです!」と言う。「そちらの作れる値段と、製作日数、ロットを言って下さい。」と。

http://ww35.tiki.ne.jp/~thtinc/index.htm

はたまた、どんな結末に成るか?判りませんが、新しいお付き合いの第一歩です。

211_001 一緒に付いて来ていたインド系の青年は、彼の所でアルバイトをしている留学生であった。別府にあるAPUアジア立命館大学の学生で、彼のような留学生アルバイトが5人ほど居るそうだ。彼らに、外国向けのネットでの記事を書かせるそうだ。将来は、学校卒業後、帰国した時に、それぞれの母国で、彼の仕事のお手伝いをする事になるのかも知れない。

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万年筆 1

2009年02月11日 08時20分09秒 | 工房

先日、突然のお客様があった。男性2人で、一人はインド系の外国人。もう一人は、日本人かな?中国人かな?見ただけでは判らない。

また、訳の判らないセールスだろうか?と思いながら、話を聞いてみると、同じ、大分県にある、豊後高田市から来たそうだ。

「万年筆をネットで販売しているのですが、万年筆の握りに竹で細工が出来ないだろうか?と思い、やって来た!」そうだ。

話を聞いてみると、そんなに怪しい、胡散臭い人間ではなさそうだ。「では、事務所でお伺いしましょう」と言う事になった。元々は鳥取県出身の人だが、大分県の農業後継者事業などに参加したアイターン組である。しかし、農業で生計を安定的に立てるのは難しく、以前、やっていたコンピュータ関係の仕事を始めたそうだ。ジェトロにも関係した仕事をやっていた事もあり、海外の物を輸入して、ネットで販売する事業を始めたそうだ。

今は、中国の万年筆を輸入して日本国内に販売している。万年筆だけで年商、億を越える商売をしていると言う。現在、中国の万年筆を扱う業者としては、日本では一番大きいのでは無いか?

私は常々言っているのだが、「中国製品がみんな悪いわけでは無い!中国製品の方が日本の物より、優れたものも沢山ある。悪いのは、中国製品を日本製と誤魔化してインチキする業者が悪いのだ!正々堂々と中国製品は中国製として、国産品は国産品として販売してくれれば、どんなにか気持ち良く商売できるのに!」   つづく

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研究会!

2009年02月04日 07時18分18秒 | 工房

「今年は、工房の製作作品もどんどん新しい分野に変えていかなければ成らない」と、危機感を持っている。私の発想だけでは限界もあるし、どうしても、偏りがちに成る。以前から、工房のメンバーに「自分なりに何か作ってみて!」と言っても、なかなか出てこない。出てこないと言うよりは、出さないのか?

考えてみると、「新しいデザインを起こしても、具体的にどういう風に自分に利益が帰ってくるのか?」判らないからだろう。もっと、「自分の作品が、どういう形で販売され、具体的にどの位の収入になるのか?はっきり意識した上でないと物作りは出来ない。」自分の作品が、お客様に選ばれ売れた時の喜びを判ってもらわなくてはモチベーションは上がらない。

そこで、工房のメンバーに呼びかけ、ヤル気のある人だけで「研究会」を作ることにした。

工房の職人には、それぞれ違った生活条件の中で働いている。若くてこれから独立を目指す人も居れば、年金を貰いながら体力が続くまで工房の仕事をしたい人、主婦をしながらそこそこに、……。全員を同じ思いで引っ張って行くには無理があるのだ。やはり、「将来に向けて、自分のデザインを起こして前向きにやりたい!」と思う人だけを対象にやっていかないと、まとめるのに大変である。

第一回の集まりは、「研究会」の性質を話し合うところから、まづ、勘違いの無いように、

「これはあくまで、自発的な研究会にしたい!皆さん個人個人の作品つくりである。工房から依頼する注文では無い。」

「各自が作りたい作品を、研究会でいろんな意見を聞き磨き上げて行きたい。また、その作品を、どんな販路で販売するか?あくまで、工房オンセは一つの販売チャンネルだと思って頂きたい。工房意外で売って頂く事も全然かまいません。」

「当然、個々人の作品だから、リスクと責任を持って作ってもらう」  (通常、工房から依頼した試作品は、試作に掛かる時間には、時間給で対応している。また、どれだけ失敗しても、材料費は工房負担でやっている。)

「リスクを背負って、商品開発しないと、本当の意味での原価率も見えてこないし、責任も芽生えて来ない。」

「原則、月2回のペースで開催する。」

などなど、「研究会」をするに当たっての下地つくりと確認を行った。次回から、具体的な作品の話にしていきたいのだが、途中で空中分解してしまうかも知れない。

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大掃除と忘年会

2008年12月27日 06時49分58秒 | 工房

年末は慌しい気がするが、工房も全員で大掃除。棚の道具や荷物を引っ張り出し雑巾がけ。いろんな材料が出てくる。「また、何時か使えるかな?」と思って取っておくのだが、結局1年間使うことも無く、翌年に持ち越される。今年は、目を瞑って、「エーい!」と処分することにした。1年間使うことが無かったら、恐らく、これからも使うことは無いであろう。

1222_0031 作業場が綺麗になり、窓ガラスもピカピカになった。軽トラック一台分、大きなゴミも処理した。

大掃除が終わって、一年間の報告と反省会、「来年からの大不況に備えて、気を引き締めて行かないと生き残っていけない!」と。

1222_0061 最後にささやかな忘年会。今までは、近くの料亭で(近くと言っても6キロほど離れている)で、忘年会をするのだが、毎年毎年同じ所ですることへのマンネリ化もあり、今年は工房で、豚汁とから揚げ、お寿司などで簡単に行う事にした。残念な事に、私の工房のメンバーは飲めない人が多く、今回は特に時間も早くから、という事もあり、3人ほどが軽くビールを飲んだだけだ。

「来年は本当にどんな年になるのだろう?」まったく予想がつかない!それでも、竹細工しか無いのだから、「この仕事の中で足を踏ん張って、足元をしっかり見て一生懸命やるしかない!」

竹工房オンセ

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無借金経営

2008年12月14日 10時38分35秒 | 工房

若い頃によく、「借金は財産のうち」とか「借金できなかったら大きくなれないぞ!」とよく言われた。なるほど、確かに大きな事をするには銀行からお金を借りて、大きな勝負をしなくては大きな発展は望めないかも知れない。しかし、その時は高度経済成長の時期であり、今のように社会が成熟して、人口もこれからは減っていく右肩下がりの経済になってくると、そうも言っておれない。

先日、今期の決算を終えた。私の所は税理士に頼んでいないので、自分で経理から決算までする。経理の記帳をしていないと、本当の意味での、自分の会社の問題点やプロポーションも解らないのである。

私は今住んでいる家を建てる時も、工房を興す時も、借金をしたことが無い。大体が、名古屋出身なので、「名古屋的な経営はトヨタで代表するように、無借金経営が目標なのだ。」

借り入れが無いので、売上が無い時も決まった金利や、元金返済などの固定されたお金が要らない、これは実に大きなことである。固定経費が少ないと経営的に安定している上に自由が利くのである。「いーや、そんな事は無い!」という人も沢山いるのだろうが、人それぞれで、私には「借金までして事業を大きくしたい!」という気は無い。「自分の身の丈に合った、しかし、自分の丈の内は精一杯」。これをモットーにしている。

はたして、これが吉と出るか?凶と出るか?

それも解らないほどの経済混乱の今である。

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カタログ撮影

2008年12月13日 04時47分58秒 | 工房

別府の竹問屋の中でも、1・2を争う問屋さんに「竹苑」さんがある。どうも、最近の問屋さんは、自分の所では在庫を抱えずに、生産者に在庫を持たせ、自分ではリスクを抱えようとしない。そんな中、確実に在庫を抱え、真っ当な商いをしている数少ない問屋さんである。その「竹苑」さんが、だんだんと衰退している竹業界の中で、また新たな切り口の展開をし始めた。

今までの、既存のルートでは、1次卸し、2次卸しと掛けて商売をしていると、どうしても間に沢山の業者が入り、高い品物になって行く。今度は、取引の数量は少なくても、直接小売店へ卸すルートで、「本物だけを扱ったカタログを作りたい!」と言ってみえた。「作品だけのカタログではなく、作者や背景が判るカタログにしなくては!」と言う事で、プロのカメラマンを連れて取材にやって来た。

1211_0101この写真はデザイナーの女の人と、カメラマンが私の道具を撮っている所である。この前に、私の作業風景の撮影があったのだが、竹苑の社長がカメラマンに注文をつけたのが、「一枚はイケメンに見える様に格好良く、もう一枚は人間国宝の様に見える様に、重々しく!」という事であった。

1211_0141 当の本人は何をしているのか?というと、事務所にいた妻に「茶碗回し」を教えていた。

何故か?鞄の中に茶碗とお箸、それから、手品道具等が入っている。いつも、ひょうきんな人なのだが、必ず、何か芸を見せてくれる。ここまで人を楽しませる事に徹しているからこそ、この不況といわれる中でも前向きに企画が出せるのだろう。いつもこの社長の回りには笑いが耐えない!

今度、私も何処かの宴会でこの「茶碗回し」を披露してみようと密かに思っている。ムフフ!

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スーパーカブに乗って遣って来た! その後

2008年11月16日 05時34分20秒 | 工房

昨日、嬉しいメールが2件入ってきた。一つは10月始めに、秋風に乗って遣って来た、「D]君から、「ついに、日本縦断の旅を達成しました!」と。

http://blog.goo.ne.jp/takae_1/d/20081005

Sany0020なんとも、彼らしい爽やかな写真と一緒に、お礼のメールであった。 大分を出た後、阿蘇に入り、鹿児島まで南下して、スーパーカブは鹿児島に置いて、船で沖縄に渡ったそうだ。そして、最後に日本で最南端・最西端の地を訪れて日本縦断を達成。

私も18歳の時に半年ほど、放浪をしていた時があり、彼の今回の旅が自分の放浪旅とオーバーラップして感じられる。彼が今回の旅で得られることは、人生の中でも、一番大切な体験になっていくものだと思う。

もう一つのメールは、先日、工房見学に来た「GEN]さんからのお礼のメールであった。彼女は来春、竹の学校に入学希望で別府に下見に遣って来たそうだ。もうすでに、5年ほど竹細工を地元で習っているそうだが、竹の本場である、別府の技術を身に付けたいと意気込み満々である。

http://tarino.hamazo.tv/e1540617.html

1112_0071 朝、突然、「工房の見学をさせて下さい。」と電話があった。交友のあった竹の学校の卒業生に連れられて遣って来たのだ。別府に遣って来て、竹に関するいろいろな施設を見て回ったり、若い竹職人達との交流から、良い体験が出来たそうだ。来年、竹の学校を受かると良いのだが。   そう言えば、大阪のお惚けちゃんからメールが入っていて、「来春、別府に行く準備を着々と進めていますと」とあった。彼女も受かると良いのだが?

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卒業

2008年11月01日 06時48分37秒 | 工房

うちの工房で7年間修行した遠藤君が、この秋をもって工房から卒業。独立しました。私のブログにも時たま出てきた青年である。真面目な青年でコツコツと弛まなく物事を積み上げていくタイプの青年だ。独立して、丁度一ヶ月。「独立のお祝いに」と思い、切り出しナイフを記念にあげることにした。熊本県の湯前にある「上米良鍛冶店」でサイズを指定して作って貰った。20数年、ここの竹割り包丁を使っているが、刃こぼれなど一切しない信頼の置ける鍛冶屋さんである。

遠藤君が始めて工房に来た頃を思い出す。遠慮しがちで丁寧すぎる話し方が印象的であった。工房の近くに家を探して入植しようと思っていたが中々見つからず、結局、見つかるまでの1ヶ月ほど、工房の漆部屋に寝泊りしていた事もあった。経験もお金も何も無く本当にゼロからのスタートであった。あったのは根気強さと健康な体だけ。時たま、覗かせる負けん気の強さもあったな。その彼が独立するに当り、

「お世話になりました。独立して、せめて最低限食えるだけ…などとは言いません!この仕事でちゃんと結婚もして家族を養えるような生活をして行きます!まずはどんな仕事でもやってみようと思います。」と、挨拶した。

私が竹細工を始めた時も、ただがむしゃらに仕事をしていた。失敗ばかりして随分情け無い思いをした事や割に合わない仕事もした。でも、失敗の数が多いほど、巾もできるし味わい深い物になる。根気強さと言う何者にも代えれない財産を持った彼なら、必ず、成功するだろう。

遠藤君頑張ってください!

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ストーブ!

2008年10月26日 10時28分46秒 | 工房

109_002つい先日まで、夏の暑さが残っていたと思っていたが、あっという間に寒くなってしまった。工房でも、そろそろ冬支度、先日の大掃除のときに、扇風機を片付け、ストーブを出した。

灯油の配達をお願いした。私のところでは、ガソリンスタンドが給油車で配達しに来てくれる。18リットルタンクを15本入れてもらったら、何と30000円にもなる。ポリタンク1杯が1980円「嘘だろう!」私の記憶の中では、ポリタンク1杯580円とか600円というような、昔の記憶がよみがえって来て、何と灯油が高くなった事か?ため息が出てしまう。

しかし、寒冷地に住む私どもにとって、お金は掛かっても、寒さ対策だけはしなくてはならないのだ。以前は学校の払い下げになった、大型石油ストーブを使っていたのだが、半日で一斗缶を一缶使い切ってしまうほど、燃料を使うため止めてしまった。今は、部署部署で細かく暖房できるように、家庭用のストーブを工房で6台、家で3台使っている。それでも、これから本格的な冬を迎えるに当たって、灯油代が心配である。

昨年導入した、太陽光発電システムが漸く一年を過ぎ、大体どれくらい発電するのか?年間の統計も取れてきたが、結果的には、業者が言うほど発電はしていない。投資金額を回収するのには約20年掛かると言うのが今のところの成果である。業者が言うように、夜10時から洗濯をしたり(オール電化にすると夜10時からの電気料金が安くなる)、ご飯の炊飯器のスイッチを朝6時までに炊き上がるようにしたり、……、そこまでしなくても、普通に生活して、ソーラーシステムの発電のおかげで、電気代が減り、余剰の売電が出来、最初の設備投資を10年くらいで回収できる様にならないと、なかなか広がらないな!

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またまた、バイクに乗って遣って来た

2008年10月08日 18時02分30秒 | 工房

10月2日の出張を終えてから、毎日、工房で仕事をしている。今、製作中なのは、お客様の注文で、横笛を入れる、「背中に背負える籠」と言う事で、初めての作品である。形を作ることはそんなに難しい事では無いが?笛を入れたときに重心は何処に行くのだろう?地面に置いた時のバランスなど、何本くらいの笛を入れるのだろうか?その強度は?などなど、  どうしても、新しい作品を作るときは、普段の倍以上の労力を使うことになる。

しかし、私の精神衛生上はすこぶる良いのだ。やはり、販売で外に出ているより、工房で物を作り出している方が、ずっと楽しく、落ち着くのだ。工房の若いメンバーとも、仕事をしながら、世間話をしたり、何を作ったら売れるかな?とか、こういった、毎日の何気ない会話の中に師弟関係は構築されていくものだと思う。

外に出ていない分、次から次へとお客様がやってくる。仕事の打ち合わせで来られる方もいれば、先日の「スーパーカブの青年」の様な、フラッと飛び込みのお客さんもいる。

107_002昨日も、同じような、「日本中をバイクで回りながら、伝統工芸を継承しようとしている若手のポートレイトを撮っている」というカメラマンの青年が遣って来た。見るからに研ぎ澄まされた精神力が顔に表れ、哲学者を思わせる風貌であった。

2時間ほど、お話する時間があり、国内だけで無く、海外も放浪しながら、自分の心の襞に触れるものをカメラを通して記録しているようだ。澄んだ、彼の目を見ていると引き込まれていくようだ。彼が撮った写真をブログでアップしているので、興味のある人は見てみてください。

www7b.biglobe.ne.jp/ryosuketoyama

実にシャープな良い写真が出てきます。彼は、きっと将来、カメラマンとして大成するだろう。

二人、続けて全国を旅している青年の来訪が続き、私も、自分が放浪してきた頃の事を思い出しているこの頃です。

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整理整頓

2008年09月13日 08時45分00秒 | 工房

工房内をもう一度使いやすくする為に、片付けをしている。無駄なものはどんどん処分していかないと、要らない物がどんどん溜まっていく。「1年間一回も使わなかった物は恐らくこれからも使うことは無いだろう。」と決断し、処分していかなくてはならない。お陰で随分スペースも出来綺麗になってきた。工房のメタボ検診の様だ。

工房や家の回りの草刈も毎日している。一通り草刈をするのに一週間ほど掛かる。役1時間、汗びっしょりになって草刈機を回すと、体にも良い運動になるような気もする。

竹を付ける水槽も、デッキブラシでゴシゴシと擦ってやると、水槽についていたぬるっとしたコケなどが取れて行く。綺麗になると気持ちが良いものだ。新しい水を張った翌日には体長7センチ(足を伸ばすときっと15センチくらいあるだろう?)ほどの、大きなアマガエルが張り付いていた。910_007 「大きなアマガエルが居る。」と、工房のメンバーでワイワイやっていると、今年入った「W」君が「それはアマガエルではありません、青何とか蛙です。」と言う。最近、この「W」君の存在が実に面白い。

工房の屋根裏には大きな青大将が居た。最近、小さな鼠が工房の中に住み着いて困っていたのでちょうど良い。青大将が鼠に引かれてやって来たのだろう。蛇は見た目が悪いだけで、危害を加えるわけでは無い。鼠の方が、箱をかじったりするので困るのだ。

小さな虫から、蛙、鼠、蛇。大きなものでは狸、イタチ、猪、鹿と自然が一杯の工房である。

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竹細工クラブ 見学

2008年09月11日 04時31分41秒 | 工房

夏が過ぎ、少し落ち着いてくると、あちらこちらから工房見学の申し込みが来る。と言うのも、8月までは私が全国を飛び回っている事と、忙しい仕事に追われている時に来てもらっても困るからほとんどお断りしているのだ。「催事が無くなって、落ち着いてから見に来てください!」と言う事になる。

910_003 昨日、見学に見えたのは、同じ大分県の豊後大野市三重町の竹細工クラブの方達である。普段は、日用雑貨の笊とか、花篭を作っているそうだが、勉強させて下さいと言う事で見学に見えた。いつも、言っているのだが、私どもでは「中国製品などを仕入れたり、まがい物を仕入れたりしていないので、堂々と全部見ていって下さい。写真を撮っても良いです。職人の顔を取るときだけは必ず、本人の了承を取って撮影して下さい。その他は何を撮ってもOKです。判らない事があれば何でもお答えします。」という姿勢でやっている。

皆さん熱心に、次から次へと質問されてくる。「このヒゴはナンボくらいですか?」と、それに対して「この、バッグを作るには巾がこれ位で、厚みがこれ位です。でも、同じものを最低100個は作らないと、人様にお出しする物は出来ませんよ!」と。

実際問題、私がデパートの催事で実演していると、いろんな所で竹細工を趣味でやっている人が見に来る。作品を持って、なめる様に見ていくので大体、「竹細工をしているな!」と判るのだが、しかし、趣味で作っているものと、職人が作っている物では、明らかに違いがある。完成度の違い、センスの違い、強度、耐久性、漆の仕上がりなど、似てはいるが、見る人が見ると明らかに違うのである。

今回も、「私の所では、染色した染料が衣服に付かないように、こう、こう、こいった事をしています。もし、お着物を着ている時に染料が着物に付いたら、責任問題ですから弁償しなくてはならない。 そうならない為にこういった事をするのですよ!」とお話しすると、「へー、全然、そんな事は気が付かんかった!」と仰る。伊達にこのお値段を付けている訳では無いのです。「訳あって、このお値段になってます。」という部分が少しでも判って頂けたらと思い工房見学を受け入れているのです。

最後に冗談半分で「皆さんは明日から、商売敵になるのですから?頑張ってください」と。

竹工房オンセ

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