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高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

竹鈴

2009年03月11日 08時09分03秒 | 作品紹介

310_011竹鈴」この小さな小さな作品を見るたびに、ある一人の人を思い浮かべる。今はもうお亡くなりになってしまったが、別府市内の「川上キミ」さんだ。竹業界では知らない人はいない有名な方だ。長年、別府竹製品卸協同組合の理事長をされていた。とても小さな方で身長は150cmも無かったであろう、しかし、存在感は充分。

「竹鈴」は直径2センチほど、たった6本のヒゴで出来上がっており、組み上げたボールの中に小さな鈴を入れ、紐を付けてぶら下げるようにした可愛い鈴である。値段は1個、180円。

この「竹鈴」には経営ノウハウが詰まっている。昭和20年代から30年代に、この竹鈴で一代の財を成したのだ。当時は1個10円くらいで売られていたのか?たいした金額では無い。しかし、この鈴を全国の土産物のルートに乗せ販路を作り、また、主婦の内職仕事として、生産体制を作り上げ、毎月、毎月、何十万個と出荷していった。「竹ヒゴを調達して、生産管理し、販売ルートを作って行く。」文字にすれば、たったこれだけの事であるが、その中には、悲喜こもごもな物語が詰まっている。

自分で企画した作品がどんどん売れる様になって行き、規模が拡大されて行く、鈴に付随して、他の竹製品も販売するようになり、数年後には、別府でも有数な竹問屋に成長していったのである。

私も、この鈴を見ながら「私にとっての竹鈴を育てて行こう!」と。

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プレス

2009年03月06日 08時24分05秒 | 作品紹介

ご注文を頂き製作している「提藍」もほぼ完成に近づいてきた。本体部分が出来上がり、後は蓋になる部分を合わせて、仕上げの漆を塗る所まで来た。昨日は別府の「竹工芸訓練支援センター」に行き、底になる部分の板に竹の編地を貼り付ける作業である。板の両面に接着剤を付け、編地を裏表両方に張り、(編地で板をサンドするような形である)プレスにかける。

36_006 編地というのは、結構凸凹しているので、ただ単にボンドを付けるだけでは張り付か無いのだ。特殊な接着剤を調合し、薄く板に塗る。その上に編地を載せ、3㌧の圧力でプレスをかける。両面が一遍に出来るか?と思ったのだが、片方ずつしか出来ない。翌日、反対の面に貼り付け、もう一回プレスをかける。片面プレスをかけたあと、板に沿って編地をノミで丁寧に削って行く。手間のかかる作業であるが、出来上がりは綺麗である。36_003

こういった特殊な機械や道具が使えるのも、この施設が在るおかげである。しかし、ここも行政機構改革の波に飲み込まれそうなのである。「竹業界自体は、産業の規模としては小さい、その小さな業界のためにこれだけの施設を維持管理していくのは如何なものか?」と。

はたして、「大分県で唯一の伝統工芸品」を市場の論理だけで切り捨てて行って良いのだろうか?

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一閑張り

2009年02月10日 07時24分31秒 | 作品紹介

キティちゃんの話を断る前に、「簡単にキティちゃんをプリントできるもの」として、「一閑張り」を考えていた。丁度それが、ネット販売を強化するため、手頃な値段で買える作品も作っていかなくてはならない。ある程度、買い易い商品で間口を広げ、先ず、「竹細工、竹製品ならオンセ!」というイメージを作っていかなくてはならない。

そこで、遣りだしたのが、この「一閑張り」である。大分県では以前から、竹を編んだ籠や皿に和紙を貼り付けた「一閑張り」が作られている。有名な所では、一緒にミラノで展示会をした毛利さんの所の「佐志生工芸村」が遣っていたが、今は、ご存知の様に「名前の詩」として、和紙にお客さんの文字をはめ込んだ詩を作る方向に転化して行き、一閑張りの方は後輩の若手職人に譲ってしまった。もう一軒、古くから「一閑張り」をしていた業者は「〇〇工芸」である。残念な事に、一昨年、別府観光の衰退や、工芸品の販売縮小の為、廃業してしまった。

私は古くから「〇〇工芸」と取引があり、随分可愛がってもらった。息子とは30年近い付き合いがあり、今私が住んでいるログハウスを建てる時も、息子が相当加勢してくれた。

そんな関係なので、「今度、ネットなどで販売する為に、一閑張りを遣ってみようと思う」と相談に行ったら、それを聞いた奥さんが大変喜んでくれて、「あんたなら、何でも教えてやる!」と。ありがたいことです。

どんな作品にも、コツがある。ほんの小さなある事が判らなくて四苦八苦する事もある。ちょっとした力の入れ具合や、時間の取り方など、何回も何回も失敗を繰り返すうちにノウハウが蓄積されるものなのだ。  その、ノウハウを教えてくれるというのだ。今までの付き合いや信頼関係が物を言ってくる。

和紙の仕入先から、糊はこれが良い、こういう道具を作るんよ、……、終いには、「作り出したら、私が行って細かいことをしどうしちゃる!」と「迎えに来てくれたら、いつでもいっちゃる!泊り込みでも良いよ!」「いえ、泊り込みはちょっと?」

本当にありがたいことです。

今回の経済危機は私にとって大変なチャンスになっている!

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こんなんできましたー! 2

2008年12月24日 08時37分49秒 | 作品紹介

12月30日からの「日本橋三越」での「巧の技展」でお披露目する革小物たち。

Photo 携帯入れ、

Photo_2 長財布、

Photo_3折財布、

この写真は黒っぽいものばかりになりましたが、今の所、色は黒・こげ茶・薄茶の3色ですが、赤や緑や黄 も作って行こうと思ってます。この他、名刺入れ・眼鏡ケースなども作りました。まだまだ、いろんな革小物が作れますね!

先日、この作品を同じ竹業界の人に見せたら、「この網代編みを自分の所で作れるのが凄いね!」「輸入の編地では無くて、自社生産できるのが強みだね!」本当にそう思います。値段の追求だけで、産地を誤魔化し、輸入生地で作った品物をよく見ますが、私のところでは、少し高くなっても本物を正直に作っていくしか出来ない!

「理由あってこの値段なんです!」と言いたい!

是非、関東方面の方、12月30日から1月12日まで日本橋三越へ見に来て下さい。お待ちしています。

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こんなん出来ましたー!

2008年12月21日 10時53分53秒 | 作品紹介

Photoキーホルダー」

網代編みと革を組み合わせた小物シリーズです。やっと、やっと、ここまでこぎ着けました。

Photo_2 こんなんのも、出来ました。「印鑑入れ」。この編地のハリがとっても良くて、竹だけが持つ張りが特徴です。

まだまだ、あるよ。

Photo_3 「小銭入れ」

試作に試作を重ねて、やっとここまで出来ました。

特に、こんな景気になった時は、高額な品物より、少し買い易い品物も必要ですよね。それと、最近写真を切り抜くことを覚えました。

竹工房オンセ

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新商品 革財布

2008年12月16日 13時57分01秒 | 作品紹介

1年掛りで、試作に試作を重ね、今月30日から始まる日本橋三越での「匠の技」展でお披露目することになった。12月30日から1月12日までの長丁場である。

以前から、竹のバッグだけでなく、それに合わす事の出来る、お財布や小銭入れ、携帯入れ、がま口、眼鏡入れ、キーホルダーなどの小物が作れたら?と竹で試作していたのだが、どうしても小さな物になればなるほど、竹だけで作るという事が難しく、出来上がっても高額な物になってしまう。

もう少し、お手頃な値段で提供できないか?と模索していると、シナ織りの石田さんの所で、いろんな小物を作っていた。

http://blog.goo.ne.jp/takae_1/d/20070706

印伝屋さんにも。財布など小物が沢山ある。石田さんに、革の業者を紹介してもらい、竹と革を組み合わせた物が出来るのか?試作することから始まった。まず、竹にミシンを掛けて編み目が割れないか?そこが一番心配であったが、形状によっては弾きが出るが、「工夫次第では充分行ける!」こととなった。

1120_0121 革の業者さんには、随分無理をお願いしている。我々も最初の試作が中々決まらなくて、形が決まるまで、2倍3倍の労力を使うものだ。それを何度も何度もやり直しをして頂いてやっと形が決まった。形と一緒に、使う革の質感や色など、納得行くものに仕上げるには、相当な時間と失敗の積み重ねが必要なのだ。

今まで、他の竹の業者が、中国で編ませた編地や籐の編地で作った財布などは見るのだが、国産真竹を職人が編み上げ、本皮に縫い合わせた物は見た事が無い。全部、国産で自分の所の工房で作っているのが、わが工房の強みであり。魅力なのだから、この部分を大切にもっと伸ばしていきたい。

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堤藍の試作品

2008年12月03日 13時01分25秒 | 作品紹介

お客様の注文でランの鉢を入れて持ち歩く籠を頼まれた。頂いた注文は「一番細かい編み目の波網代で作って欲しい」とのことだが、大きさも巾42センチ、マチ幅27センチ、高さ32センチという大きなものである。使い勝手も判らないので、取りあえず、もう少し簡単な編み目の物で試作して、データを割り出す事にした。

122_005 どんな作品でも、最初の試作が大変で思わぬ所に落とし穴がある。細かい編み目でこれだけの大きさの物を編むことも大変であるが、今回、一番苦労したのは、上下の縁である。

まず、巾20ミリ長さ160センチほどの縁を取ろうと思うとよほど直径の大きな竹で、真っ直ぐで、丁度曲げる四隅の位置に節が来ない竹を探し出すのだが、なかなかそんな竹は無い。

1128_0031 太い縁を熱を掛けて曲げていく。この火加減一つで形の良いものか?そうでないものか?決まってしまう。今回の試作品にも、大きな落とし穴があった。

底の部分に板をはめ込んで、鉢が置けるようにするのだが、ただ、置いてあるだけでは、動いてしまう。動かないようにするにはどうしたら良いか?試行錯誤の末、やっと、解決方法が見つかった。

試作の作品から、手直ししなくてはならない所が数点見つかった。やはり、頭の中で考えていた物と比べ、実際に作ってみると、「ここがオカシイ?」と気付くのだ。特に実用品は、中に重量のある物を入れて、耐久性は?使い心地は?など留意しなくてはならない。

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波網代手提げ籠

2008年11月11日 08時44分02秒 | 作品紹介

10月の中旬から、出張は無いので、一日中工房で物作りをしている。販売のシーズンが終わり、シーズン中に頂いた注文を作っていく。今日はその中の一つ「波網代手提げバッグ」だ。

1031_010網代編みの中でも一番高度な技術がいる波網代、ヒゴの巾を変えることで模様にうねりを出し、波模様を作っていく。ヒゴ巾と同じように厚みも微妙に変えていかないと、目の積んだ美しい模様が出ない。素材の竹は、真竹を高圧窯で蒸して炭化させた物だ。昔は、藁葺きの屋根の骨組みに使われて、囲炉裏の煙で何十年も燻された竹を「煤竹」と言うのだが、今は殆んど手に入らなくなってしまった為、人工的に高圧窯で燻製にして作ったものだ。使い込んでいくと飴色に光沢が増してくる。

今まで、ハンドバッグとして作っていたのだが、お客様の要望で、「蓋付きの手提げ籠」として作ってほしいと依頼があった。蓋付きはバッグを二つ作るより手間が掛かる。上下の大きさを微妙に変えながら、開きやすく、簡単に開かない、見た目に美しい表情を作らなくてはならない。バッグの底の様に、角がでる編み方でなく、網目を縁に押し込んで丸い形状を大事にした。この方が優しい表情になるが、手間は3倍掛かってしまった。

1031_011 持ち手も2枚の竹を火で炙りながら曲げていく、曲がりの違う竹を張り合わせることでしなりのある、曲がりが戻らない形を作っていくのだ。籐で2枚の竹を巻き上げ、飾りをつける、これでぐっと高級感が出る。後は内布を張って出来上がり。

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  1031_013

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励ましの声!

2008年10月24日 07時23分34秒 | 作品紹介

昨日はクレームの声を書いたのだが、今日は逆に喜びの声を。9月の展示会でご注文を頂いた作品をお届けした。1件は少し特別なご注文で、「横笛を入れる背負い籠」という注文でお作りした。

109_013この籠の中に横笛を入れる袋と背負える様に紐はご自分で作られるそうだ。 私も、どんな使い方をするのか?初めてのことなので、使い勝手など心配しながら送ったのだが、お客様から

「自分の描いていた通りの籠が届いてとても嬉しい。細かいところまで丁寧に仕上げてくれてありがとう御座います。」

とお礼の電話を頂いた。同じ日にもう一件、網代のA-4サイズバッグをご注文頂いたお客様からも、喜びのお葉書を頂いた。

「待ちに待ったバッグが届きました。嬉しくて目に付く所に置いて眺めています。本当に美しいです。……」

こういったお客様の声が一番の励みになります。

昨日のクレームで少し勉強し、今日のようなお客様の声で励まされ、上がったり、下がったり、…   結局、使ってくださる相手がいて、育てられているんだと思います。

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そんなの出来ないよー!

2008年03月20日 07時20分35秒 | 作品紹介

お客様からのオーダーでいろんな事を頼まれる。明らかに竹では「そんなの出来ない!」と思われる物もある。が、果たして本当にそうだろうか?自分の頭の中での固定概念がそう思わせているだけでは無いだろうか?はたまた、今の自分の技量では出来ないだけでは無いだろうか?

先日の横浜高島屋での「柘植屋」さんの記事にアップしたが、昔ながらの「柘植の櫛」は現代の社会に合わなくなり、需要が減っている。柘植細工のブローチや彫刻などもあまり売れなくなっている。そんな中で「柘植のブラシ」を作ったことで柘植業界全体が浮かび上がって来たのだ。「柘植の滑らかさは髪に馴染む、又、彫刻技術でブラシに掘り込むことで高級ブラシとして!ブラシ一つで一日に驚くほどの売り上げを上げることが出来るのだ。」

1126_022 実は私が竹のバッグを作り出して12~13年になるが、それより以前の20年ほど前に私の母の知人から「竹のハンドバッグを作ったらきっと売れるわ!」と言われた。その時はまだ技術も未熟で知識も無かったので、「そんなの出来ないよー!」と断っていたのだ。それから10年ほど経って竹のバッグを作り始めた時はこれほど竹の業界を変えてしまうほどの作品になっていくとは思ってもいなかった。

今の私の中での「そんなの出来ない!」は果たして本当に出来ないのだろうか?もう一度、深く考え直してみる価値はある。

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商品開発

2008年02月06日 12時25分12秒 | 作品紹介

昨年はミラノに向けての気が行ってしまっていた。その分、新しい商品開発が疎かになっている。今、私の工房で、一番懸案になっているのは 新しい客層のアピールできる商品開発である。また、若い世代の人たちに気軽に入って貰える商品を作っていかなくてはならない。本格的な「竹ハンドバッグ」としては、全国の多くの方に認知して頂き、また、応援して頂いている。しかし、手を掛ければどうしても値段的に高額な物になり、敷居が高くなる。もう少し、お値段的にも機能的にも20代、30代のお客様に使って頂けるようなバッグや小物を作っていかなくては?しかし、安くする為、中国で生産するなどモラルに反したことだけはしたくない!

Photo 一つの方向として、「皮」の部分を取り入れた作品を作ることにした。昨年、お客様のオーダーでお作りしたランドセルなどは、どうしても竹だけでは製作できない。ランドセルは特殊な物としても、蓋の部分だけ皮になったポシェットや手提げ篭を作っていけば、また、違ったお客様にアプローチできると思うのだが?

早速、大分市にある、皮工芸のお店に行ってみた。しかし、小売値段でしか販売して頂けない様で、皮の部分だけの値段でとても高い物になってしまいそうだ。あちら、こちらと伝手を頼って部材を作ってくれる所を探すことになる。早速、知り合いを通じて1軒、紹介していただいた。東京の業者であるが、今は宅急便が発達しているので、大分でも東京でもあまり問題はない。今月の19日からの東京出張に合わせて相談に乗って頂くことになった。

良い作品が出来ると良いのだが?

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初荷!

2008年01月21日 06時45分52秒 | 作品紹介

116_0081 井戸のバタバタで振り回されたこの二日間、しかし、そんな事とは関係なくどんどん仕事は進んで行く、今年最初の催し、名古屋松坂屋での「大九州物産展」の荷物の出荷である。一年で最初の催事というのは、毎年の事ながら緊張する。何となく一年を占うような気がするからだ!

テレビのニュースでは株価が下がり、景気はどんどん悪くなるだろう?などと、暗い観測ばかりをコメンテーターが言っている。こんなことばかり言うからますます先行きが不安になって、消費にブレーキが掛かるのだ。規模を大きくすると、こういった不確定要素をモロに影響されることになるのだが、中身のしっかりした、本物のお客様との関係をしっかり作って行けば、あまり影響されないと思っている。

昨日、先日「再生」でhttp://blog.goo.ne.jp/takae_1/d/20080115

修理したお客様から、喜びと感謝のお電話を頂いた。「何時も、このバッグばかり使うんです!今回は、また新品同様にした貰って本当にありがとうございます!」と、こちらの方こそありがとうございます。  嬉しいですね。手を掛けて、こちらの気持ちが作品を通じて相手に伝わっているのだから。

119_0121

この作品も名古屋のお客様から注文頂いた籠である。ご主人とお寿司やさんをされていたそうだが、数年前に、ご主人が亡くなられたそうだ。そのご主人が竹篭が好きで、お店にも良く飾ってあったそうだ。最初はその飾ってあった花篭を修理してあげたことからご縁が出来た。今回、「びく型の小さな花篭を!」という事で黒竹で掛け花を作った。一つの花篭を飾るにも、人それぞれの思いがある。この掛け花篭を見るたびに、元気な頃のご主人との思う出が、懐かしさが、優しさが、力を与えてくれるのだろう。

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119_0171

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パッチワークの箸袋

2008年01月17日 14時48分35秒 | 作品紹介

116_0021 正月明けで段々とエンジンがかかって来た。ネットの方でも、お箸の注文が好調である。是非とも、お奨めしたいのが、「マイ箸にマイ箸袋」。

昨年、この箸袋を試作することになったのだが、最初は既製品を買ってきて、名入れ箸の横において、箸を買って頂くための援助ツールとして置いてみようか?と考えたのだが、工房のメンバーから「やはり、工房手作りの箸袋を!」と熱い熱い要望がでた。簡単に2枚の布を三角形に縫い合わせて作るつもりであったが、竹のバッグに使っている大島紬のあまり布を使ってパッチワークする事になり試作してもらった。

116_0121 こういった事になると妙に張り切るのが、昨年から入社した「k」さん。何時も、「エヘヘヘヘ、」と笑っている。「ニコッ」では無い、「エヘへへ、」である。彼女は凝り性らしくパッチワークの組み合わせを考えたり、絞りのワンポイントを持ってきたり、また、「工房オンセのタグが116_0141入っていた方が良い」などと、いろいろアイデアを出してくる。「えー、そこまで考えて無かった!」というのが正直なところであるが、良いものが出来ることは万々歳である。

まずは、今年最初の名古屋松坂屋での「大九州展」でお披露目、お値段は2100円である。これが50枚ほど皿に並べられた所を見るとホントに可愛らしい。

ネットでも、数量を限定して、5種類くらいづつ載せてみようか?と思っている。

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「餌ふご」その後2

2007年12月10日 10時16分38秒 | 作品紹介

121_016_a この単純な高さ20センチほどの篭が、これほど英知に満ちた篭とは誰も思うまい。私どもが心配したのは、ご注文くださったお客様に、「果たしてこの篭を作るのにどれほど手間が掛かるか?」「どれほどの特殊技術がいるのか?また、特別なノミまで設えたのか?何度、試行錯誤して失敗したのか?」  そんな部分が代金に掛かってくるのだが、果たして納得してくれるのか?少し心配であった。

しかし、作品を送って見て頂くと「素晴らしい、完璧です!考えていた以上です。」と納得していただいた。お値段の事も、「そんなに安くて良いのですか?」と逆に心配して下さった。と言うのも、いろんな業者さんに頼んだのだが、誰も出来なかったそうだ。明治以降、この篭を作った人はいないそうだ。あちら、こちらに職人さんに合うと、お願いしてみたが作ることが出来ないシンプルであるが、非常に高度な技術がいる事を知っておられたのだ。

物の価値を判ってくれる人の所に行くことになり、本当に良かった。後は実際に使って頂いて、もし、使い勝手など不都合がある時は何時でも手直ししましょう。と言うことでお買い上げ頂いた。

こんな、作品に挑戦する機会を頂いた事を感謝いたします。ありがとうございました。

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「餌ふご」 完成!

2007年12月05日 11時56分33秒 | 作品紹介

121_001_a 今年の1月に特別注文を頂いた。以前、鷹の餌を入れる「口餌かご」を注文で作った人から、同じく「餌ふご」を作ってくれと言う。この人はまだ、30代であろうと思われるが、日本でも珍しい「鷹匠」だ。

依頼された、篭は鷹が取ってきた獲物を入れ、腰からぶら下げる篭だそうだが、私達にすれば、見たことも聞いたことも無い。唯一、東京の「日本民藝館」にその実物が飾ってあると言う。2月に、日本民藝館に見に行き、ガラスケースの中に入っているので触ることは出来ない。私と工房メンバーの遠藤君が見に行ったのだが、彼が、その時のスケッチだけでついに復元した。一見、見ると簡単そうな篭であるが、ところがどっこい、シンプルであればあるほど難しい。まず、厚みのある竹を均一に厚さ1ミリくらいまで薄くすることが大変である。

121_002_a普段作っているヒゴのように、巾が数ミリの物であれば簡単に薄くすることが出来る。これは巾5センチもあるものを割れないように薄くするのだ。平たい物でなく、湾曲した半割の状態の竹の中身だけを根気強く、のみで削りこんでいく。厚さに不均一な部分があれば割れてしまうので、何度も何度も失敗をしながら。竹の粘りも問題である。新しい今年出たばかりの柔らかい竹を削らないといけない。最初は巾の広いヒゴを取るため、直径の大きな孟宗竹を削りこんだが旨くいかない。結局、柔らかさと弾力を併せ持った「真竹」で作ることになった。何度も何度も失敗しながら。

厚紙で模型を作り、大体の形を作っていく。粘り強く、根気の要る仕事だ。恐らく遠藤君自身も途中で何度もあきらめかけたようだ。しかし、200年前、江戸時代に作られた先人の技術に挑戦。一言で言えば簡単であるが、なかなかゴールまで辿り着くことは容易で無い。

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