ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

幸福な国の不都合な真実

2014-02-05 12:09:26 | 
タイで「ブータン・幸福な国の不都合な真実」根本かおる著を読んだ。

あれは2年くらい前だったか、ブータンの若き国王夫婦が来日して、ちょ
っとしたブータンフィーバーがあった。いや、そこまではいかなったけれ
ど盛んにGNHなる国民総幸福感という言葉が取り上げられた。

なんでも「豊かさとは何か?」ということを物質的なものではない尺度で
測るのが国民総幸福感らしい。
しかし、この本を読むとそんな言葉もむなしくなってくる。

ブータンがネパール系住民を追い出し、その多くが難民となったことは以前に
も聞いてはいたが、まさかブータンの謙虚な国王がここまでひどいことをやっ
ているとは思いもしなかった。ところが、本書を読むと前国王(今の国王で
はない)は結構、酷い奴である。いや、もしかするとブータンの先代国王は二
十世紀を代表する人権犯罪者の可能性すらある。
かなり好意的に解釈しても、ブータンという非常に国民にとって住みやすい国
は、住みにくくさせる可能性のある国民を徹底して除外したことによって実現
されたことになる。

これを読めば、誰でもブータンに対する好イメージは無くなる。

しかし筆者は最初から「ブータンという国の裏側を暴く」ということを目的に
本書を書いたのではない。彼女はUNHCR (国連難民高等弁務官事務所)の職員
として、たまたまブータンのネパール系難民事務所の所長として勤務した当時
の仕事を通じて知り得たことやブータン政府とのやり取りから見えてきたもの
を限りなく中立的に記している。
なので、ブータンを非難するようなことはほとんど書かれていない。

インドと中国という大国に挟まれ、しかも同じ文化圏であるチベットは中国に、
シッキムはインドへ併合されたことを目の当たりにしたことで、生き残りをか
けた手段の一つが他民族の排除であったようにも思えるが、未だに基本的人権
や表現の自由が普通に認められていない国であり、どんな理由があっても人権
犯罪の国であるのは間違いない。

国民の97%が幸せ…なんて言うが、そもそも国や国王への批判が自由に出来な
い国で、そんな統計なんてまるで信憑性がない。

それを思うと、強制着用の民族衣装も強制建築の伝統的建造物も茶番にすら
思えるが、それでも、一度、ちゃんと訪れてみたい思いは変わらない。

せめて1日100ドル程度にしてくれれば…。やっぱり、無理だろうな。


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