ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

ポルポトと空白の五マイル

2011-04-12 10:31:31 | つぶやき
今朝の朝日新聞にカンボジア人が「ポルポト時代」を描いた映画
を作った、という記事が掲載されていた。

何でも、これまでの「ポルポト」に関する映画は、すべて欧米人
によるものだったそうで、それが今回、初のカンボジア人自身で
の製作ということで取り上げられていたようである。

ちょうど昨日、「ポルポト伝」デービッド・P・チャンドラー著
を読み終えたところだったので、つい反応してしまった。

「ポルポト伝」

読むのにひと月もかかってしまったが、以前からずっと読みたい
と思っていた本であった。タイトル通り、ポルポトの伝記である。

虐殺の王やカンボジアのヒトラーなど、大悪人のイメージが拭え
ないポルポトだが、実のところ彼ほど謎めいた独裁者もいない。

本が書かれたのは、未だポルポトが亡くなる以前である。しかも、
彼を知る相当数の人にインタビューを行なっているものの、それ
でも彼の実態を正確には捉えられていない。彼が行なった大量虐
殺の大罪は、結して許されるものではないが、独裁者にありがち
な富の独占や身内への優遇は一切なく、ただひたすら共産主義に
理想を求めたその信念は、他の独裁者とは一線を画している。ま
た、彼の人柄は、常に穏やかで紳士的だったと、あれだけの人々
を殺害したとは到底思えない人物像だったことも解り、そんなと
ころも面白く読めた。

時々、こうやって興味を持った人の伝記を読むのもいいなと思
った次第である。

そういえば、角幡唯介の「空白の五マイル」が、大宅壮一ノンフ
ィクション賞を受賞したそうである。確か、開高健賞も取ったの
で、ダブル受賞である。

しかし、ノンフィクション賞の格でいえば、応募選考の開高賞よ
りも、すべての作品が対象の大宅賞のほうが、ステイタスはずっ
と高い。中でも大宅賞は芥川賞と直木賞に匹敵するといってもい
いと思われる。

ということからすると、群像新人文学賞に応募して賞をとり、そ
れが芥川賞にもなった村上龍の「限りなく透明に近いブルー」に
匹敵するということであろう。

早稲田の探検部出身にしては、船戸与一以上の逸材かもしれない。
(それはないか…)

「空白の五マイル」

タイトルもかっこいいな。

実は読もうと思いつつ、未だ読んでいないのだが、今後、半年の間
にはぜひ、読みたいと思っている。



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