花歩る木

山と旅がすきです

映画 「悪人」

2010-09-30 13:34:48 | 映画 演劇
  9月28日 映画 「悪人」を見てきました。

   深津絵里さんが、モントリオール映画祭で
   主演女優賞をもらったことで、俄然注目されました。
   が、朝日新聞に連載され、数々の賞をもらった吉田修一さんの
   話題作でしたし、なにより我が妻夫木聡くんが原作を読んで
   自ら志願したと言う映画ですもの・・・見ないわけにはいかないでしょう。

  
  授賞式の日                        by NHK
     
   29才 171cm(独身)  好青年でしょう?    by NHK


   犯罪ドラマです。
   九州のとある峠で起きた殺人事件をきっかけに、
   偶然に出会った男女が繰り広げる逃避行を息苦しくなるほど
   リアルに描いています。

  
  
   「悪人」になるためには、「まなざし」が大事。「祐一になってくれ」
   と監督に言われたそうです。 そしてこの「目」になりました。
   自分をすてて、無になって、はじめて演じることに集中出来た・・・ンだそうです。

  

   「光代」の目  平凡な女性を非凡に演じました。
   この人が出演していれば、もう見る価値充分です。
   でも出来たら「博士の愛した数式」みたいなのがイイナ~

  

   地方の若者のどうしようもない「不安」「孤独」が
   背景も雨の日、夜など、明るい要素が全くなく描かれていました。
   とてもブッキーには見えない、この鬱屈した切ない、かなしい
   姿が見たあともず~~っと脳裏から離れません。
   1週間は引きずりそう。
   妻夫木くん、普段のさわやかスマイルを全く封印して
   金髪の犯人を熱演しました。新しい演技の幅が広がりましたね。
   
                              でも、ホントは明るいブッキーがスキ! 

   
   作中、娘を殺された父親がいいました。
   「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎる」。
   大切な人。その幸せを思うだけでうれしくなるような人が1人でもいれば
   悪い事は出来ない・・・はずだというのです。

   久石譲の音楽が素晴らしかったです。
   特にエンディングの「Your Story」という曲がクライマックスを
   盛り上げてくれました。 もう一度聞いてみたいです。

井の頭公園の秋行事

2010-09-26 16:08:58 | いろいろ
 9月26日 井の頭公園で「三鷹国際交流協会」の秋の行事
            に行ってみました。

   昨夕(9月25日)の朝日新聞夕刊に
   「名車と10年 世界一周」 という記事を見ました。
   26日に井の頭公園で開かれる三鷹国際交流フェスティバルで、
   そのアルゼンチンファミリーのお話が聞けるというので、行って見たのです。
   
  
   
   クラシックカーで夫婦で旅立って足掛け10年、
   旅行中には多くの人に助けられたそうです 

    
    車は1928年の米国製グラハムページ。
    旅を始める時は途中で故障したらどうしよう?と心配したそうです。

    
    タイヤホイールは木製。 クラクションは山羊の鳴き声。

    
     旅行の一部始終を本にしてベストセラーになりました。
    今日も英語版とスペイン語版と売っていました。(2500円)
    旅の費用になります。
 
    
    クラシックカーの集まりにも参加するそうです
    フェリー会社が車を無料で運んでくれることもあるそうです。

    
    今までで一番感激したのはアンデスの山の中でザップさん
    一家を家の中に泊めて自分たちは外で寝た家族がいたそうです。
    部屋がひとつしかないので。別れる時、「おかまいもできませんで」
    と言われたそうです

    
         ↑ お兄ちゃん と 車の後姿
    ご夫婦は10歳と8歳のときに知り合い将来結婚することを
    決めたそうです

  
   ザップさんと奥さん。よく話し、よく笑い2人とも とても社交的でフレンドリー。
   おかげで私のさび付いたスペイン語が通じましたよ。

    
         奥さんと     長女 と 次男              三男で末っ子

    今 日本で2ヶ月旅をし、そろそろ次のマレーシアへ行く予定だそうです。
  10年の旅で、4人の子供をさずかった、お金も物もなくてもいい、
  大事なものは 家族、愛、夢  だとおっしゃいました。 
  Have a nice trip !     Buen viaje !!  


   
   バグパイプのパレード              出番を待つフラダンスの子供たち
   


   フェスティバルは毎年行われて、今年で21回目だそうです。
   「みたかで世界を感じよう」 をテーマに テントショップやステージが
   整えられて、国際色豊かなにぎわいで盛り上がっていました。
   国境を越えた交流が民間レベルで辛抱強く続けられていますのに、
   世界のニュースがもっと明るくならないものでしょうか?
   

草津白根山

2010-09-22 16:15:23 | 山歩き
 9月21日 草津白根山(2165m)を歩いてきました。

   山の会の9月の行事でしたが、まだ下界は猛暑、
   秋の気配を感じることは出来るんでしょうか?・・・といぶかっていましたが、
   2000mの駐車場へついたら、風がひんやり、あわててヤッケを羽織ました。

   一行は30名、大型バスでやって来ました。リーダーの書いた「案内」です。
   
   『 温泉で有名な草津の西方に白根山とともにそびえる本白根山に登ります。
     観光客で賑わう白根山周辺と対照的な緑におおわれた静かな山を、
   紅葉の時期に訪ね、下山後草津温泉に入浴します。』


 
 登山口へ向かう舗装道路から「弓池」と「湯釜」方面をみる。 紅葉が始まっています。


    
    リンドウ、ヤマハハコ、シラタマノキ、アキノキリンソウなどが
    秋のお花畑を飾っていました。

    
    登山口からはダケカンバやコメツガの山道で、
    木道がしっかり整備されています。

  
    1本の木に見えますが、4種類の木が固まって仲良くしています。

    
    ゴゼンタチバナの実     ハクサンオミナエシの実       ナナカマドの実
  
  「から釜」 夏はコマクサの群生地です。左の頂上が展望所。
  
  「本白根」の最高点への道がないので、頂上に立つことは出来ません。
  代わりに三角点のある峰を目ざすことになります。
  
  「本白根山展望所」 でようやく一休み。

    
           

   「 オヤマリンドウ」の高貴さとわびしさを併せた紫色の花が点々として
    私達を喜ばせてくれました。 弓池付近で。

 
  

  草津白根山のシンボル、ターコイズブルー の水をたたえる「湯釜」
 
  

  

   距離はみじかいが自然の大きさを感じさせてもらえる山でした。
   何度も登った山ですが、お天気がよくて、今回は30人で満足できました。
   リーダーさんご苦労様。14夜の月もきれいでしたね。

                               

                                
                                 弓池のカモ     また行くカモね

 奈良の古寺と仏像展

2010-09-16 14:25:20 | 美術館
 9月14日 平城遷都1300年記念
        「奈良の古寺と仏像」展   會津八一のうたにのせて
            三井記念美術館で             9月20日まで

  

   何日か前にNHK TVで同趣の番組があり、さきの大戦のさなか、
   会津八一が戦地に赴く学生達に、 奈良に行き仏像を見るように呼びかけ、
   みずから観仏のプログラムを立てたことを知りました。

    美術館は平日にもかかわらず、沢山の仏像ファンが詰め掛けていたのには
   まず驚きました。8~9割が中高年のオバサマ。


   特別展は7室に分かれ、それぞれのテーマに沿った展示がなされて
   いました。圧巻は国宝を含む比較的大きな仏像の並ぶ第7室
   でした。
 
          
   何と言っても注目は法隆寺の国宝 「観音菩薩立像」 (夢違観音)さま。
   奈良時代、銅製。   パンフレットの表紙にもなっていますが、
   悪夢をよい夢に変えてくださるお力があるそうです。
   お顔立ちも体つきもしっかりとしていらっしゃって、思わず手を合わせました。


            

   
   興味深かったのは、「東大寺の五劫思惟阿弥陀如来坐像」
   (鎌倉時代、東大寺)で、五劫 というのは仏の長い時間 と言う意味で、
   髪の伸びるのも構わず 修行に没頭していた時の 姿を表しています。
   髪が長く延びて 大きい
帽子をかぶっている様な頭になってしまった像です。
    ユニークなお姿ですが、おだやかで、きれいなお顔でした。

                      
          

   重文 如来型立像 平安時代 唐招提寺
     胴体だけの姿でありながら、形の美しさから「唐招提寺のトルソー」
   と親しまれて来ました。ギリシャ彫刻のようだと言われるそうです。
   かや材の1本作り (7月27日~9月20日)

   
   それぞれの寺に八一の歌が配せられ、例えば
   唐招提寺には
        おほてらの まろきはしらの 月かげを
        つちにふみつつ ものをこそおもへ
   

   薬師寺には
        水煙の あまつおとめが ころもでの
        ひまにもすめる 秋のそらかな
 

                              

           會津八一は明治14年(1881年)新潟市生まれ。
           八月一日生まれで、八一と名付けられました。
           (西暦でも81で 名付けた人は気がついていたのかな~)
           歌人,美術史家、書家で、早稲田で教壇に立っていました。
           27歳の時にはじめて奈良を訪れ、和歌と美術の道に
           進むきっかけになったと言われています。
           和歌はひらがなで書かれています。
           奈良を愛し、多くの奈良賛歌を残した人です。
   

 
   目をひいたのは茶室に掲げられた「学規」で
         ふかくこの生を愛すべし
         かへりみて己を知るべし
         学芸を以って性を賞ふべし
         日々新面目あるべし

   という学問をする人の心構えを書いたものでした。
   作られた茶室の中が 「如庵」 
を模したものであるという説明がなくて、
   オーディオガイドを聴いて初めて分かりましたけど。
      (犬山城近くにある 国宝「如庵」へわざわざ足を運んだフアンなのです。
      その時中はみせてもらえませんでしたのでラッキーでした)



          見終わってから、「Museum Cafe」で摂った食事はおいしくて
          しゃれて
いて、お値段は手ごろ。次もあそこにしよう!
        
          「會津八一と奈良」  ~歌と書の世界~
          と言う本を買いました。入江泰吉の写真がすばらしいです。
      


       奈良の20寺からの仏像、工芸品が展示されていて、
       日本橋でこんなに間近に拝観できるのは、奈良好きとしては
       たまらなく有難い展覧会でした。
       来月奈良にいきますが、周りの風景がより深く感じられるんじゃないでしょうか。
       
      

高尾山 (119)

2010-09-16 11:14:51 | 山歩き
 9月13日 高尾山に行ってきました。

   猛暑が今日はそろそろ終わりになるだろうと
   久しぶりに高尾山を訪れてみました。
   6号路から登ってみました。登山路の植物は秋のものに入れ替わって
   いましたが、蒸し暑さは大変なもの。
   蒸し暑い~ 風もない~
   今年の山行で一番暑いんじゃないかしら?
   
     
     お馴染みですよね         八つ手の花ににていますが、小さな草花です。
 
    
           ノブキ                     ヤブミョウガの実
 
   
           かわいい、小さな花ですね     名前は  ??

       汗をあまりかかない私が今年一番汗をかいて、まいってしまいました。
       その上、カメラが止まったので、電池切れかと思って開けてみたら、
       メモリーが入っていませんでした。アキレター!!
       早めに「秋の空気」を感じたくて登りましたが、山もまだ猛暑でした。
       お粗末な登山でしたが一人だし、早めに引き上げて帰りました。
                                                  

山の写真展  そして  院展

2010-09-10 19:56:42 | 美術館
 9月8日  日本山岳写真協会展を見てきました。

   六本木の 富士フィルムフォトサロン で
                  9月3日~9月9日まで

     皇太子さまの作品が2点特別出品されていました。
     2点とも 富士山
     1点は 「機窓から」   もう1点は「雪煙をあげる富士 河口湖付近」 
     日本人はみ~んな富士山が大好きですが、
     皇太子さま あなたさまも勿論ですよね。すばらしい作品でした。

                                                                        
     

   全国の会員、一般公募による入選作品を合わせて、約180点が
   展示されていました。
   山の自然は四季折々に豊かな表情を見せてくれます。
   「山とは、如何にかけがえのない自然であるか」
   を見て、感じて頂きたい・・・とのメッセージが込められていました。

                                                                               

  9月8日 院展を見ました。

   
     

   「ふたたび 三越へ」
    出品総点数が298点という日本画の展覧会です。
 
  

   院展は上野の東京都美術館(都美)で行われてきましたが、
   今年は都美が一部改修中のため、
   三越本店で開催することになったのです(来年も)。
   (先に亡くなられた平山郁夫画伯の「最初、院展は三越で
   開いたのだし、今回三越さんに頼んで見たら?」というお言葉に
   従い)  「困ったときの三越頼み」だったそうです。

   会場が狭くなったため、各作品の大きさを100号までと制限し
   会場も第一会場・第二会場・第三会場と三つに分けての開催でした。

  
  ギャラリートーク
 
   午後2時から松尾敏男さんと那波多目功一さんによる
   「ギャラリートーク」が同人中心の展示室で行われました。
   松尾さんが同人の作品数点について解説して下さいました。

 
   作品の大部分はサイズの制限のために殆どが正方形に近く
   作品と作品の間隔も狭かったのですが松尾敏男さんに
   よれば、いつもと違った雰囲気のなかでの展示となりこれもまた
   おもしろい、とのことです。
 
 
   ご自分の作品「刻(コク)」については、今回サイズの制限もあって、
   描きずらかった 着手もだいぶ遅くなったが、                                        長いことお蔵入りにしていた構想を作品にして見た。
   ヴェニスの古い壁面をベースにスケッチ風に描いて見た、というご説明。
 
   隣の郷倉和子さんの「春に舞う」については「この方は96歳で私より
   一廻りお年が上ですが、みずみずしい絵で梅と雀という新しい組み合わせ
   がすばらしい感動を与えてくれる」
 
   福王寺法林さんの「ヒマラヤの朝」はヒマラヤシリーズのひとつだが、
   お年がお年だけに今回はヘリコプターを飛ばし、高度に対応するため
   酸素ボンベを身につけられての労作と聞いている。ボンベがはずれたり
   ご苦労もあったようですが、ネパールの国王にも会われたそうです。
 
   那波多目功一さんの「燦燦」は開花していない蕾の状態の菊
   をかいたものだが、大胆な発想である。
   田渕俊夫さんの「華清池」は墨だけを使ったもので、
   いわば引き算の絵であり、要らないものをすべてそぎ落としている。
 


       我々院展には112年の歴史があるが一貫しているのは
       新しいものを描こうという気持ちである。
       別の言葉で言えば誠実な生き方を貫き
      「空気を描く」ことであり「見えないものを描く」
       ということだ。
             ・・・  というお話を頂きました。
 
                                                 

田淵行男写真展

2010-09-06 16:31:14 | 美術館
9月1日 山岳写真家・田淵行男の写真展を見てきました。    

   武蔵野市立吉祥寺美術館で8月7日~9月12日まで。  
      

        
     「 知ることとは 愛すること 」 という副題が付いています。


    田淵行男は1945年に現在の安曇野市である西穂高村に  
    疎開したのをきっかけに、北アルプスと安曇野を活動の場として、
    高山蝶の研究や山岳撮影を続けた人です。               
    
                             
                  
              田淵行男さん(1905年~1989年)
   

    展示品は
    高山蝶の写真や細密画、多くの山岳写真や生前の愛用のカメラ、
    テントを始めとする登山用品などが展示されています。
    1960年代の写真が多かったけど、モノクロだったんですね。
    ロビーではビデオライブラリー(約20分)が鑑賞できました。

      
                                                 HPより
    安曇野にある「田淵行男記念館」 です。
    一度、常念岳に登る前日に行きました。
    1階と地下で80坪という山小屋風のこじんまりしていて、
    周りにわさび田があって、常念の風が吹いてくるような記念館でした。
    今年創立20周年記念として、友好都市で結ばれている武蔵野市で
    写真展が開かれたようです。  
        
       安曇野は来春のNKKの朝ドラの舞台になるそうです。

    帰りに一人の田淵フアンのおじさんに声を掛けられました。
    「あなたは田淵さんの写真がすきですか?」
      「行った事のある山ばかりでしたので、好感がもてました」   ←ワタシ
    「わたしは、田淵さんの写真には柔らかさ、やさしさがあって
    大好きです。白はた史朗や、白川義員のようないかつさ、鋭角さは
    ないでしょう?  和みますね~」         ・・・だそうです。
                 

                               

 9月4日
    対談「田淵行男を語る」 を聞いてきました。

    田淵穂高さん (田淵行男御長男 70代)      ×
    財津達弥さん (田淵行男記念館学芸員)

    誰よりも「人間田淵」を知っている人、 誰よりも「田淵の作品」を知っている人
      という紹介でした。

    スライド・短い動画をみながらのお話でした。
    財津さんの問いかけに対して穂高さんが答える進め方。
    田淵さんは穂高さんに対し、いい加減なことを許さず、何かするにも、
    まねは駄目、思いつきも駄目、何のためにどうするのがベストかよく考えよ、
    とさとしました。自然を破壊することは駄目。生きているものの命を奪うのは
    駄目。蚊が腕にとまっても殺しては駄目。
    父の前では許しがなければ正座をくずしては駄目。・・・・・・・
    そして、母はいつもお金がないことを愚痴っていたそうです。

    完全主義者で、画期的な研究をなしとげた博物学者で、明治の気概
    を持った田淵行男の在りし日を垣間見たようなトークでした。