はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

遠江33観音3-1

2010-05-19 15:29:45 | 寺社遍路
遠江33ヶ所観音霊場巡り3-1回目        2010/05/14


     1.5k     12.8k     16.4k     5.0k  
原田駅 - 長源庵 - 顕光寺 - 知蓮寺 - 掛川駅
     20      2:51      3:40      55 

 歩行距離     35.7k
 総時間      9時間25分
 歩行時間     7時間45分
 平均歩行時速   4.6k

  --------------------------------------------------

   12番 長源庵へ

 天浜線の原田駅を降りたのは私一人だった。ワンマンカーでしかも下車駅は無人の為運転手のいるドアから降りなければならないらしい。前の駅で見ていたので慌てず降りることが出来た。

          

7時20分12番長源庵に向かって歩き出す。今日は標高661mの大尾山(おびさん)山頂にある13番を打って掛川駅まで歩く37k程のハードな行程になりそうだ。
しかも大尾山までの道も判然としないし、行きと帰りを別な道を歩こうと思っているので余計複雑になる。
行きは西側にある西の谷から大尾山の北側から登る予定だが、地図で見ると林道が何本も延びていて分岐点で迷いそうだ。下りは南側の居尻に降りるが、林道でなく山道になるようだが、その入口は何所にあるのだろう?
こういうのはいくら調べても調べきれないので現地に行くしかない。そう割り切ってここに来ている。

 歩き出すとすぐ旧道らしき道があったので県道と分かれて旧道に入る。ゴルフ場の入口がありその先に第2東名が見えてきた。予想ではその第2東名の先に12番の札所があるはずだと注意深く辺りを見ながら進んでいく。カーブした道を曲ると正面に第2東名が覆い被さっている。その額縁の枠のようになったガードの先に墓が見えている。きっとあれが長源庵だろう。

          

 
  13番 顕光寺へ(林道)
  
 県道には行かず、そのまま旧道を歩く。右手には第2東名も並んで走っていく。ここの第2東名の橋桁はカーブを描いているが、何の為なのか、重力軽減?見た目?分からないが区間ごと設計者が違うのだろうか。質実剛健だけでは面白みがないと設計者が考えたのか。

          

 橋の先の高台に学校らしき物が見える。地図では橋を渡って小学校の手前を左折して川沿いに西の谷のに行くようになっている。だが橋を渡っても西の谷への標識が無い。有るのは左に行く「明ヶ島キャンプ場」の標識だけだ。地図やガイドブックを確認するが、そんなキャンプ場の表示はない。さてどうしたものか。あの高台にある建物さえ判明すれば良いのだが。タイミング良く幼稚園児を連れた母親が来た。
「あの建物は原田小学校ですか?」
「ハイ そうです」
「ジャこの道は西の谷のへ行く道ですか?」と確認して左折して川沿いの道に入る。
標識の無いのは私が歩いてきた道は旧道だったからだろう。県道を歩いていればきっと西の谷への標識は有ったのだろう。

          

 旧道も交通量は少なかったが川沿いの道に入ると車は全然走ってこなくなった。軽い爪坂上がりの道が続き左右には茶畑や田圃が見える。茅葺の農家もあり道脇には可憐な雑草も咲いている。アレー蕨がある。大きく葉が開いてしまった蕨の横には、まだ蕾のように丸まった蕨が見える。ここにも、あすこにも、あっちにも。蕨を追いかける先にはゼンマイらしき物もみえる。あららウドもある。コリャー山菜の宝庫だ。道脇にこんなに見えるなら奥に入れば凄いだろうな。時間の余裕が有れば採って行きたいが今日はまだ先が長い。

          

鶯も鳴いている。季節は最高!のんびりした道も素敵だ。そこで一句
「ウグイスや ウドにワラビに ゼンマイも」季語が四つもあるから俳句ではないって!
ジャー「目に青葉 山ほとぎす 初鰹」だって季語が幾つもあるじゃないか。

 中西の谷のに案内板があった。ここまでは間違いなく来ている。小学校から迷う場所もなかった。この調子で行けるといいのだが。
次の標識は上西の谷の分岐地点にあった。ここは明ヶ島キャンプ場の大きな表示もあったので迷う事はない。案内板の略図を見ると此処を左折して次は田代と言う場所でキャンプ場と大尾山と別れるようだ。そこには案内板のイラストが書いてあるのできっと標識があるのだろ。更に大尾山の下から南の登り口居尻へのハイキングコースの絵も描いてある。この入口を登りのとき見つけておこう。
 案内板を見て気が楽になった。PCの地図では林道の分岐の場所が多かったが、実際は細い道が多く迷うほどでもない。太い道の分岐には、この様に案内板が立っているのだから安心だ。

          

 案内板のある分岐を過ぎると道が急に暗くなる。今までの道の両側は茶畑などが多かったが、此処からは杉や桧が植林された森の中の林道になる。だがこの辺りの森林は間伐や下枝切りが行われ手入れがされている。見るべき物も無くなり、ただ下を向いて歩くだけになった。

          
          どれが大尾山?

 道が尾根に出ると森が終わり明るくなった。茶畑が現れて家も数軒建っている。ここが田代なのかと思ったが分岐点がない。そのまま通り過ぎ5000mほど行くと分岐点に出た。主道は左側で右の少し細い道の両側には神社の幟を立てるようなコンクリートの柱が立っている。道の標識は無い。
さてどうしよう。この支柱らしきものが無ければ迷わず左の主道を行くのだが。さっきの案内板の略図では田代と言う場所で右に行くようになっていたはずだ。デジカメで写した画面を呼び出してズームにして確認をするが間違いない。先程の集落が田代なら此処を曲らなければならない。サー困った。
 悩んでいても仕方ない、集落まで戻って確認しよう。と戻り始めた。100mも戻っただろうか、すると茶畑の中から農家の人が現れた。ラッキー心掛けが良いから観音さんが味方してくれる。
「すみません。大尾山に行くにはあの道を右に行くのですか?」とさっきの分岐点を指差す。
「違う違う。右の道は茶畑に行く道で左の太い道が大尾山への道だ」更に
「大尾山の分かれ道は峠になっていて標識が立っているからすぐ分かるよ」と教えてくれた。
確認して良かった。聞かずに行けば、どちらの道を行っても、ズット不安な気分で歩かなければならなかったのだから。確認した今は清々した気分で歩ける。

          

 峠。確かに峠だった。西の谷から来た道は、此処から下り坂になってキャンプ場から川根の方面に抜けているらしい。右の尾根道が大尾山に向かっている。左にも林道があるが、鎖で通行止めになっている。峠の名前は特に付いていないようだ。
そうだ案内板の略図では、この辺りが田代となっていたが集落があるようには見えない。
休憩していると車が停まって声を掛けてきた。
「雨に降られなかったかね」エッ!雨?そういえばさっきポツンとしてきたが、
「雨ですか? 降られませんでしたよ」
「そうかね、下のでは大分降ったらしく道端に水溜りが出来ていたよ」そりゃぁ助かった。これも心掛けがいい証拠か。
その人はこの先にある田代ゆずり?とか言うだと言う。田代と言う地名が有るには有るんだ。

          

 大尾山に行く道を歩きながら居尻に下るハイキングコースの入口を見落とさないように気を付けていたが見当たらない。結局の大尾山の駐車場に着いてしまったが入口は無かった。参道の途中にでも有るのだろうか?
駐車場からは林道と分かれて顕光寺の参道になる。今まで歩いてきた林道には石仏が一つも無かったが参道に入るとすぐ石仏が出てきた。居尻からの道が昔の参道なのだろうと思ったが、それが最初で最後で寺までの間にはもう石仏は無かった。

          

 顕光寺に11時到着。犬に吼えられながらベンチで休憩した。この寺も一風変わっていて寺と言うより2階建ての昔の旅館?と言った風情か。境内にも特に気になる石塔も無い。ただ時季が遅くて花滓が少し残っただけの海棠の大きな木が目に付いただけだった。
観音堂は更に上の大尾山の山頂にあって寺の入口に立っている石灯籠の間を登っていく。人気も無く静まり返った参道を行くと杉の巨木が目に付くようになった。そこが観音堂のある山頂だった。石段の両脇には鳥居のように2本の杉の巨木が生えている。その名も鳥居杉と言うらしく静岡県の天然記念物の石碑が立っていた。

               

大きな声で経をあげてお参りしているとブルと震えがきた。感動して?イエ汗で濡れた体が冷えてきたようだ。慌ててお寺に向かって下りだした。