はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

遠江33観音1-6

2010-05-11 12:00:43 | 寺社遍路
   6番岩松寺江(勅使塚)

 法多山の門前町を抜けて西に進む。62坊もあった昔はこの辺りも寺に境内だったのだろうか。
次の6番岩松寺には県道のトンネルを抜けた方のが近い気もするが、トンネルは余り好きではない。しかもこの豊沢トンネルは長そうなので、それを避けて静岡理工科大学の入口を通る道にした。
地図を見ると6番に行く途中にJAの施設らしい「茶ピア」が載っている。そして丁度その案内板が立っていたので、当分はこの案内板に従って歩けば良さそうだ。

          

 道の脇に「勅使塚」の案内がある。立ち寄って説明を読んでみると、こんな事が書いてあった。
「昔、後白河天皇が勅使が法多山へ参向された。参拝する日時が決められていたため、勅使は茶屋で一休みしてから参拝しようと寝込んでしまった。そのとき月夜の光で夜明けと勘違いした雉が声高く鳴きだした。勅使も夜明けと勘違いして出発してしまい、決められた時間に参拝できなかった。それを悔やんだ勅使は切腹してお詫びをした。
土地の人はその死を哀れみ、塚を作って葬り、雉を飼う事を遠慮した」とあった。
昔話、伝説だと言ってしまえばそれまでだが、この様な塚まであるのだから、何か事件があった事は間違いないだろう。しかし案内板に書いてあるような勘違いは現実には起きようもないし、例え起きたとしても早すぎたのだから時間調整は出来たはずだ。

          

そこで素人探偵が空想するには
「一休みしていた勅使に村人が夕食にと猪の肉を雉の肉と称して供した。珍しい味に満足して勅使は満腹するまで食べてしまった。翌朝参拝した勅使が発する臭いに法多山の和尚が叱責すると勅使は、それを恥じて切腹をしてお詫びした。一方村人は猪の肉を供したと分かると、自分達も罰せられる事から言い出すことが出来ず。お詫びに先のような話を作って勅使を葬った」

 くだらない妄想をしながら歩いているうちに「茶ピア」への入口に着いた。その入口方面には行かず右折すると前方に細長い建物が見えてきた。何だろう?余りに細いので中に人間が入る部屋があるようではない。
確か袋井の1号線の近くにはシンドラーエレベーターの試験か研究するかの細長くて高い建物があったはずだ。その関係の建物だろうか?しかしそれにしても細すぎる気もするが。
折りよく犬を連れた人が通りかかった。
「すみません。あの建物は何でしょうか?」
「アーあれね。あれは煙突ですよ。以前ここが市の焼却場だったので、その煙突ですよ。今は使っていませんがね」
煙突か!煙突とは思わなかったな。洒落た感じで何に使うか分からなかったが煙突とは思わなかった。きっと建設費は高かっただろうな----

          

 やっと岩松寺の近くの篠ヶ谷の交差点に着いた。ここを左折すれば寺は近くにある筈だ、注意して行こう。それにしても急な下り坂だ。帰りはここを帰らなければならないので、下りが続くのは嬉しくない。そんな気が通じたのか十字路にすぐ出た。さてここはどちらに進めばよいか。時間は5時半になっていて当たりは薄暗くなってきた。ここで間違えたら行き着くことが出来なくなる。先ず右の方を除いてみよう。お墓が見える。あれがそうなのだろうか?ばか近い気もするが。一先ず行ってみようと歩き出すと左側の薮の中に案内板や階段が見えた。近づいてみてみると、間違いなく6番の観音堂だった。

 自然石の階段の横に見慣れない石仏があった。一枚の石に下に3体、上に3体の計6体の地蔵を彫ってある。下の2体は釣竿のような物を肩に掛けている。
後で知人に聞いたところ「静岡県西部地方では道祖神として道脇に祀ってある。名前は六羅漢と言う」と聞いた。インターネットで調べたが六羅漢ではヒットせず、また道祖神にもそのような石仏があると書いたものは見つからなかった。

          

 階段の上に方形の屋根先が見えている。あれが観音堂だろう。薄暗い自然石の階段を登っていると昔の遍路にタイムスリップしたような気がする。だがそんな気持ちも境内に立つとなくなってしまう。黄土色に塗られた観音堂は薄暗い暗い中でも浮き立っていている。屋根も瓦葺なので古さを感じる事が出来ない。維持管理を考えれば茅葺の屋根は無理とは分かっていても、周りの雰囲気がいいとどうしても欲張った考えが湧いてしまう。
それにしても下の案内板には
「1713年再建 木挽棟梁 近江国甲賀高野村 ○○△△
 明治34年 軒を短くして茅葺を瓦にする」と書いてあったが塗装の事は書いてない。明治時代に塗装したとは、とても思えないほど鮮明だった。
(辺りが暗かったので、そう感じたのかな?)

          

 斜向かいの本堂にもお参りをする。サーこれで今日の予定は終わった。後は袋井駅まで3kも歩けばいいだけだ。

 それにしても今日はくだらない歩きをしてしまった。予定では
掛川-3-2-1-33-32-4-5-6-袋井
だったが、実際は
掛川-3-2-1-33-32-1-2-3-4-5-6-袋井
となった。本来なら
掛川-1-2-3-4-5-6-袋井 とするべきだったろう。