コース4
満観峰 - 丸子富士 - 朝鮮岩 - 丸子
14:10 20分 55分 60分 17:00
3.4k 2.0k 1.4k 21.5k
疲れが蓄積されてきたのか段々休憩時間が長くなってきた。残りの行程は1/4でほどで十字の最後のとんがり部分を残すだけになった。国道が走っている丸子には後2時間も歩けば着くだろう。今は2時だから4時頃には着きそうだ。しかし丸子から車を置いてある宇津ノ谷の道の駅まではどうしよう。歩いて行くかバスで行くか。距離は5k程なので1時間強で着くだろう。今の調子なら歩いて行けそうだが---
丸子に着いてから考えよう。
サーそろそろ出発しないと。重い腰を上げて歩き出した。
ここから次の丸子富士には最初は下りで楽だが、最後に丸子富士への登りが中々大変だ。そこさえ過ぎてしまえば後は楽勝の行程だ。
満観峰から下りきった所に小坂に下る分岐がある。その道の途中に駿河一国の11番札所の観音堂があり、その先は万葉時代の東海道に続いている。その事を歩きながら考えていてある事を思い出した。
確か万葉時代の東海道は、この下の小坂から井尻峠を越えて丸子に下って安倍川に出ていたはずだ。ただ安倍川が増水した時は上流の藁科川を渡ってから安倍川を渡っていたので、その時は丸子から安倍川に出ずに更に上に行き、矢張り札所のある歓昌院坂を越えて藁科川に出たという。
今立っている所は、その歓昌院からの延長線上にある。ようは分岐を右(南)に下れば東海道、左(北)に行けば東海道の巻き道の歓昌院になる。それならここは峠になっていて左にも下る道はあるはずだ。と思ってみてみるが今はその痕跡はない。
古道を歩いていると楽しくなる。自分が考古学者になった積りであれこれ想像して、専門家から見れば見当外れな事も大発見したかのように思ってしまう。今もあたかも古道発見とばかりに興奮してしまった。でもここは峠だったと思うのだが------
丸子富士へは山頂へ行く道と山頂を避けて行く巻き道がある。今回は当然山頂の三角点を確認する必要があるので山頂に向かう。
最後の一踏ん張りをして山頂に到着。この山頂に立てば先程の巻き道がある理由がわかる。山頂は祠と三角点があるだけで視界は一切利かない。一度登れば次からはわざわざ登る気も起きない所だ。なのに富士と言う名前が着いているのは何故か?それは山頂部分が三角形になっているからのようだ。なんとも安易な名前にしたものだ。富士山を見えない土地でならいざ知らず、富士山の麓の静岡でこんな名前にするなんてセンスを疑ってしまう。
山頂にある石碑に「金光山藏王権現」と彫ってある。それなら金光山でも良さそうだ。また麓の紫屋寺ではこの辺りから月が出るので「吐月峰」と詠んでいる。それなら吐月峰と付ければもっと風情がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/3d/8c17334962449c03e1db6aa0753356a2.jpg)
丸子富士山頂 後ろの白い杭は三角点の表示
丸子富士から朝鮮岩に行く途中る両膝の内側辺りが痛くなってきた。時折立ち止って手で押さえるのだが痛みは少しづつ頻度を増してくる。平らな道や登りになると痛くないのだが下りになると痛くなってくる。所謂膝が笑うという現象なのかもしれない。今までこんな経験はなかったが、どうしたのだろう?歩き過ぎた?いやそんな事はない。まだ18k程度しか歩いていない。それではどうしたのだ。下りが多く膝への衝撃が強くなりすぎた?ウーン分からないが後残りも少ないのだから頑張ろう。
紅葉台と看板のある所に花が咲いていた。黄色の管のような花弁で仄かに甘い香りもする。最初は蝋梅かと思ったが近づいてみると違った。ではマンサクか?花の付き方は似ていても花弁の長さが短すぎて全然違う。
よく見るとなんだ名札が付いていた。「檀香梅」と書いてある。家に帰り調べてみるとこんな説明もあった「花 密にして香濃く、色 深黄なること紫檀の如きものは、檀香梅(ダンコウバイ)と名づく。最佳なり」と。ここではこの花は蝋梅科に属するとなっていた。更に「ダンコウバイの黄色は鮮やかでしかも花が密集してつくのでひと際美しい。和名は檀香梅の字をあてているが、中国ではこの名はロウバイという園芸品種を指している。檀香(だんこう)とは香木の総称で、本種にも芳香があるため、別名を鬱金花(うこんばな)と呼ぶ地方もある」ともかく蝋梅に似ていて香りが良く黄色の花が咲く花には間違いはない。
それにしてもこの花は自然にここに生えたのか、それとも名札を付けた人が植えてくれたのだろうか。
こうして山歩きや遍路をしていると物知りになってくる。と言っても最早前期高齢者。少々晩すぎだが。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/74/86ec13bd2b89f86d94a1621a262940a4.jpg)
紅葉台の檀香梅
フー中々朝鮮岩に着かない。もう登りはないと思っているとまた登りが現れる。やっとこの山塊で唯一ロープを設置してある岩場(大袈裟過ぎか)についた。いつもなら軽くロープに触る程度だったが今日は違う。足が痛いのでロープに全身の体重をかけてブル下がるようにして下った。ロープ様々だ。
岩が終ると朝鮮岩は目の前。ベンチにズシンと腰かけ静岡の町並みを見る。ここからの景色は何時見て楽しくなる。新幹線や在来線。東名高速や国道。海に浮かぶ船など、さながらジオラマを見ているようだ。
芋切干をつまみながらボケっと景色を見ていると時が経つのが早い。もう20分もこうしている。すでに4時になる。満観峰では4時過ぎには丸子に降りれる予定だったが、それには遅れてしまった。しかし5時前には充分着くだろう。いやだが歩くことにしよう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/8d/710cad2879d5a96b932b873e26bf746c.jpg)
朝鮮岩から静岡市街
朝鮮岩の平らな部分が終わり下り坂になると「アッ痛い!」悲鳴を挙げてしまった。左の膝の内側に鈍痛が走った。慌てて体重を右足に移すと「ウアー」こちらも痛みが走る。先程までの痛みより数段痛い。休んだのが悪かったのか、それとも終りが近づき気が緩んでしまったのか。ともかく痛い。今日は杖を持ってきて良かった。杖に体重をかけながら膝を曲げないよう、摺るように進むしかない。下り坂だというのに汗が出てくる。冷や汗かもしれない。少しづつ少しづつ進むしかない。
何とかお寺の入口に着いた。しかしお寺の参道には階段があるので回り道をする。道はザラザラした簡易舗装がされていたので歩きやすく痛みが減ってきた。それでも横になって歩いたり、後ろ向きになって歩いたり工夫をしながら歩いた。
やっと民家のある平地まで降りてきた。アー良かった。本当にホッとした。これが山頂付近だったらどうしたらよいだろう。今日のような日は登山者もいないし山で作業している人もいない。携帯電話も持っていない。それらを考えるとゾーとなる。やはり山は例え低くても甘く見てはいけない。今日も朝6時に出発したから何とか明るいうちに下山する事ができたが、これからはもっと慎重に行動しよう。
傾斜の少ない車道を歩き出した。アレー痛くない。あんなに痛かった膝がなんともない。指で押してみても痛くない。早足で歩いてみると---矢張り痛くない。これは一体どうしたのだ?鼻を摘まれたようだった。
そんな訳で丸子の交差点に着いたのは丁度5時だった。
これから先の宇津ノ谷までの後5kは既に歩く気は無くなっていたのでバスで帰ることにした。
宇津ノ谷に着いたのが6時5分。12時間の行程はこうして終りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/21/fcd40576878e497912cbdb52c07f6d32.jpg)
暗くなった宇津ノ谷トンネル
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家に帰り風呂の中で脚を良く揉んだが、ふくらはぎも太ももも柔らかく痛みは無い。膝も痛くない。翌日は大事を取って温泉に行き再度良く揉んでおいた。
次の日の朝、布団の中で伸びをするとふくらはぎがビリビリ痛い。触ってみると柔らかかったふくらはぎがパンパンに張っていて押すと痛い。何なんだこれは。訳が分からずともかく湿布をしておいた。結局5日後の今日も痛みがあって同じ状態だ。
ただ平らな所を歩く限り痛くないので先程思いきって河川敷を10k歩いてきた。今特に変化はない。果たして明日どうなっている事やら--------